不安障害(精神障害)の仕事・就職事例 -事務-
就職前におそわれる不安、安心材料を増やして
男性/20代/官公庁/事務職
精神障害
見た目と能力のギャップに悩む
人あたりもよく、はきはきとした返事のFさん。高校卒業後、すぐに事務職で就職したといいます。職場では信頼も厚く、「Fさんはデキる人だから」と、どんどん仕事を任されていました。しかし、増え過ぎた仕事の量に対応できず、やがてスキル不足とみなされてしまうように。ついには事務職を辞めることになってしまいました。
「障害のある自分は、人の役に立てないのか……」
スキル不足とみなされたことがショックだったFさんは、仕事を辞めてからもしばらく落ち込んでいたといいます。そんな時、両親の知り合いからLITALICOワークスを紹介されました。
「もう一度仕事がしたい。社会に貢献したい」という強い希望から、FさんはLITALICOワークスの就労支援を利用することに決めました。
憧れの仕事「○○市に貢献したい! でも……」
Fさんは、生まれ育った地元が大好き。そのため就職する場所にはこだわりがありました。
「○○市民として○○市で事務の仕事をしたい」
そんなFさんがLITALICOワークスを利用し始めて数ヶ月後、○○市役所の求人を発見します。心待ちにしていた職場だったので、さっそく試験を受けることになり、結果は見事に採用となりました。
「Fさん、やったね! ○○市で働けますよ!」
スタッフが声をかけると、Fさんの顔はあまり晴れやかではありません。
「あこがれの場所で、僕なんかが働けるだろうか? 迷惑をかけたりしないかな。新しい仕事だし、ちゃんとできるかどうか……」
喜びよりも未知の仕事への不安が大きくなってきたFさん。ついには「やっぱり辞退したい」との一言がもれてしまいました。そこでスタッフは、Fさんの不安を解消することを考えました。
「Fさん、辞退する前に、一度実際の仕事場を見に行きませんか」
まずはFさんに、一度職場の様子を見てもらって仕事の内容を確認しました。さらに市役所の職員さんとも連絡をとって再度顔合わせをして、Fさんが安心できる材料を増やしていきました。
「至らないところもあるかもしれませんが、できる限りサポートするつもりです。よかったら、一緒に働きませんか?」
顔合わせの最後に、職員さんはそう言ってFさんに手を差し出しました。Fさんはしばし迷って「よろしくお願いします」と職員さんの手を取りました。
仕事の不安を乗り越えて
Fさんの課題は、過去の失敗体験から自分に自信が持てないことでした。
そこで就職先の担当の方には、できそうに見えてもどんどん仕事量や内容を増やさず、指示を1人の担当の方に集約するなど、Fさんが少しずつ自信をつけられる環境づくりをお願いしました。
ところがFさんが仕事を始めてから1か月後のことです。LITALICOワークスに電話がかかってきました。
「緊張している日々が続いていて、胃が痛いです。やっぱり僕にはできないのでしょうか……」
泣きそうな声のFさんに、スタッフは企業に訪問して面談しました。Fさんの現状を聞いてみると、LITALICOワークスにいたときよりもずいぶんと成長されていました。
そのことをFさんに伝えると「そうか、僕も成長できているんだ」と納得したように頷くFさん。面談の後、Fさんから「胃が痛い」という電話は来ていません。
現在も○○市役所で、自信をもって仕事を続けられています。
※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。