うつ病・強迫性障害(精神障害)の仕事・就職事例 －事務－

「障害を開示して働きたい！」不採用が続く中で出会った企業

Tさんは、これまでうつ病や不安障害・強迫性障害の精神障害を開示せずに働いてきました。しかし、仕事における人間関係のストレスや、障害について誰にも相談できない状況が負担となり、就職しても長く働き続けることができませんでした。この経験から、「今回は障害を開示した上で働きたい」という強い気持ちがありました。

また、「家族にお金を渡したい」という思いもあり、正社員の事務職関係を中心に就職活動をしていました。しかし、転職回数の多さなどを理由に不採用が続いていました。LITALICOワークスの就労支援スタッフが、落ち込むTさんの希望する条件にマッチする求人を探していると、ハローワークから製造業を営んでいる企業での清掃業務の求人を紹介されました。

しかし、Tさんの就職の希望は事務職関係の仕事です。スタッフは企業の採用担当者に、「清掃以外の業務が得意な人がたくさんいることを知ってもらえれば、より多くのLITALICOワークス利用者に興味を持ってもらえるのではないか？」と考えました。そして、企業の採用担当者と連絡を取り、LITALICOワークスへ見学に来てもらうことになりました。

見学当日、企業の採用担当者にLITALICOワークスに寄せられる他社の求人票を見ていただいたり、各種プログラムの説明や、これまでの様々な就職事例を説明。また他社でおこなっている事務の業務内容を伝え、業務イメージを持ってもらえるように努めました。そして、事務系業務の求人を出してみてはと、企業の担当者に提案しました。

採用担当者は、他社での就職実績や具体的な業務内容をお伝えしたことで、業務のイメージがわいたようで、事務業務を中心に求人票を作成することになりました。

障害者雇用に臨むのがはじめての企業だったため、条件面についても様々な相談がありました。そこでスタッフからは、「企業インターンの中で、LITALICOワークス利用者のスキルを確認しながら決めていってはどうでしょうか？」と提案。検討を重ねながら求人票の作成を進めていきました。

とても働きやすい環境で、気持ちよく仕事してます！

できあがった求人票は、総務部のサポート業務でした。事務の仕事で、時給制契約社員としての募集です。Tさんは正社員を希望していたため、「正社員でないなら、受けても意味がない」と、はじめは消極的な態度でした。

しかし条件をよく読んでみると、正社員登用の可能性があることや、自宅から近いこと、企業の雰囲気や採用担当者の受け入れ姿勢に好感がもてたことから、長く働けそうだと感じ応募することにしました。

雇用前実習をする中で、Tさんは「働く環境も、業務内容も、無理なくがんばっていけそう」という手応えを持ちました。また、企業からも「Tさんはよくやってくれている」との評価がありました。

そこでLITALICOワークスのスタッフは、Tさんの希望である「半年後か1年後には月給16万円以上で働きたい、長期的には正社員になりたい」という思いを企業側に伝えたところ、担当者から正社員になるために3つの条件が提示されました。

１、遅刻欠席早退が著しく多くないこと
２、上長の指示に従って報連相ができること
３、任せた業務に失敗がないこと

この条件をクリアしながら6ヶ月間勤務できたら、正社員登用で、月給20万円とすることを約束してくれました。

企業の採用担当者は後日、「なにせ障害のある方の採用がはじめての試みだから、正直どんな人が来るかとドキドキしていました。ただ、雇用前実習の様子や、LITALICOワークスからもアドバイスをもらえたので、正社員登用も視野に入れて採用を考えることができました」と話してくれました。

また、Tさんの働きぶりを参考に、今後は同様の採用を拡充させることも視野に入れて検討する予定だとも話してくれました。

面談に来たTさんは、「障害を開示して働くことに、最初は少し不安もあったけれど、とても働きやすい環境です。担当の方も何かと気にかけてくださるので体調も良く、気持ち良く業務にあたっています。目標は変わらず正社員登用！　正社員になって、もっともっと長く働き続けたいです」と、スタッフに話しました。

現在、企業に就職して3ヶ月が経ちました。心配された体調についても、大きく崩すことなく、3ヶ月後に控えた正社員登用を目指して日々仕事に打ち込んでいます。

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。