統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 －プログラミング－

事務職を受け続け、なかなか就職が決まらなかった7年間

Wさんは、LITALICOワークスに通い始める以前、7年間にわたって1人で就職活動をしていました。就職活動では事務職を受け続けていましたが、なかなか就職が決まりません。そこで、役所の生活保護課から就労移行支援のサービスがあることを紹介され、LITALICOワークスに通うことになったそうです。

しかし、集団行動が苦手なため、履歴書の添削や面接対策などの就職活動のサポートをしてもらえればいいという思いもあり、グループワークや個別プログラムには参加していませんでした。そんなとき、人間関係のちょっとしたトラブルから1ヶ月お休みが続いてしまいました。LITALICOワークスに通う利用者と、言い争いになってしまったのが原因でした。

そこで、私たちスタッフはWさんとしっかり話し合いできる場を設けました。グループワークや個別プログラムに参加する意味や、企業に必要な情報を伝えるにはWさんのことを知ることが必要であることを説明し、改めてプログラムへの参加を促しました。

面談を重ねるうちにWさんの気持ちも少しずつ変わり、LITALICOワークスの利用を再開することになりました。

グループワークの必要性は理解しているものの、集団行動への苦手意識もあって、復帰後もしばらくはグループワークへ参加できませんでした。そんなWさんを変えるきっかけとなったのが、土曜日に特別プログラムとして開催されているコミュニケーションプログラムへの参加でした。

お休み前にトラブルになった方も参加しており、Wさんも最初は気まずい思いをしましたが、「このままでは気まずい状態が続くだけだ」と、あえて積極的にその方と話すようにしてみたそうです。すると、以前のトラブルがその方への誤解だったことがわかり、打ち解けて話すことができるようになりました。

この日を境に、Wさんは少しずつグループワークに参加するようになり、就職活動だけではなく、ほかのプログラムにも積極的な姿勢で取り組んでもらえるようになりました。

「本当は正社員のSE（システムエンジニア）として働きたい」

グループワークなどに参加できるようになったものの、就職活動の成果は停滞気味。募集が出ている事務系の求人はすべて受け尽くしたという状況で、今後の就職活動の進め方についてスタッフと面談を実施します。その中で「本当は正社員のSEとして働きたい」という希望を伝えました。

実は、以前に就職活動をしていたときにそのことを告げると「業務経験がないのにSEは難しい」と言われ、それ以降はずっと事務職を受け続けていたのだそうです。しかし、夢をあきらめられなかったWさんは、独学でプログラミングの勉強をするなど努力を続けていました。

職業訓練でがあることを伝えると、すぐに通うことを決意。ちょうどその頃、SEの募集を出している企業が見つかり、さっそく面接に向かいます。

業務経験はないが自分でプログラミングを勉強していること、これから職業訓練に通う予定であることを伝えると、具体的なアドバイスとともに家計簿アプリ制作という課題が出されました。Wさんは「これは最初で最後のチャンスかもしれない。このチャンスを逃したくない」と3カ月職業訓練に通いながらアプリ制作にも励みました。

誠実さが決め手となり、就職が決定

Wさんは職業訓練が終了するタイミングで、課題をもらった企業を再び訪れました。課題である家計簿アプリのプログラムの提出と併せて、前回の面接で指摘されていた履歴書の写真についても修正し、履歴書も再度提出しました。採用担当者は、課題であったアプリ制作が完了していたことに加え、些細な一言でも要望に合わせて履歴書をきちんと修正してきたことなどWさんの誠実な態度が評価され、無事に採用が決まりました。

面接が終わった帰り道、Wさんはスタッフに「7年かかっても就職できなかったのに、LITALICOワークスにきたら1年で希望の就職ができた！」と、今までにない笑顔を見せて話してくれました。

現在は採用された企業で新人の指導もしており、LITALICOワークスのスタッフに顔を見せるたびに「仕事が楽しい」と話してくれます。

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