肢体不自由(身体障害)の仕事・就職事例 -事務-
企業と利用者双方の熱意をつなげ、就職を実現
男性/40代/事務/製造業
肢体不自由(身体障害)
本人の希望に答え、就職先を新規に開拓
身体障害のあるSさんは、「金型の製作に関わりたい」という強い希望を持ちながら、LITALICOワークスを利用していました。「給与の計算をする経理業務や、社内の備品購入などの細かい作業は苦手」と、事務職にはあまり興味を持てず、軽作業など体を動かす作業を希望していました。
しかし当時、Sさんの希望するような求人はありませんでした。スタッフはSさんの希望を叶えるべく、求人開拓のため一般求人を中心に企業を探しました。複数の企業に電話をかけ、その中に興味を示した企業がありました。
その企業は、障害者の雇用率は3%と法定雇用率をクリアしている状態でしたが、就労移行支援事業に興味を示され、LITALICOワークスに見学に訪れました。
企業の熱い思いに触れた企業インターン
見学に訪れた製造会社の方とお話ししたSさんから、後日「あの企業で梱包業務をやってみたい」との希望がありました。そこでスタッフは、「企業インターン(企業での職場体験実習)をお願いできないか」と採用担当者に相談してみたところ、快く受け入れてくださり、Sさんは希望どおり梱包業務で2週間の企業インターンをすることになりました。Sさんは企業インターンを通じ、この企業で働きたいという想いを持つようになり、そのことをスタッフから企業の採用担当に連絡。しかし、企業から「スピードが求める基準よりも遅いため、今のままでは採用は難しい」との連絡があり、肩を落としたスタッフですが、採用担当者からの連絡はそれだけではありませんでした。
「Sさんはやる気も十分あり、こちらとしてもありがたい。だから、スピードを求められる梱包業務ではなくて、じっくり時間をかけて取り組む事務作業のほうが合っているように思う」と採用担当者から提案いただきました。
さっそくSさんに企業からの提案をお伝えしたところ、Sさんは少し浮かない顔を見せました。そして「事務は性に合わないので、事務職になるのであれば辞退したい」との返答がSさんからありました。
そこでLITALICOワークスのスタッフは、採用担当者に本人の要望や不安を伝え、再度事務作業での企業インターンをできないかを交渉。さらに、三者で事務作業の実習に関わるケース会議をおこない、直接採用担当者の想いを聞くことで、Sさんも事務職が嫌だという姿勢から「こんなにも自分を思ってくれる企業なら、事務職でも良いのかもしれない」と気持ちに変化が生まれたのです。
事務作業への苦手意識もあって、企業インターンへの不安がぬぐい切れない様子のSさんでしたが、「サポートは惜しまないから、1度やってみましょうよ」と話す採用担当者に背中を押され、改めて事務業務での企業インターンがはじまりました。
事務職への就職を実現、新たな就職者も
今まで希望していなかった作業に戸惑いながらも、Sさんの企業インターンは無事終了しました。企業インターンを終えたSさんには、はじまる前の不安な様子は少しも残っていませんでした。「ぜひこの企業に就職したい」と、うれしそうに語ってくれました。
そして、最初は金型の製作に関わりたいという熱い思いを抱き、梱包業務などの軽作業を希望していたSさんでしたが、企業担当者の方の熱い思いに触れ、晴れて事務職としての就職が決定したのです。
就職後、LITALICOワークスを訪れたSさんは「最初は事務作業なんて自分には向いていないと思っていたけれど、真剣に自分と向き合ってくれた企業の方や、サポートしてくれるたくさんの方がいて、今はこの職に就くことができて本当に良かった」と、スタッフに晴れやかな顔を見せてくれました。
その後、Sさんと同じく「金型の製作に関わりたい」と希望していた精神障害の方も、同じ企業への採用が決まりました。Sさんの就職によって、企業内の理解も深まったようです。
精神障害の方については、企業側が体調面に不安を感じていたため、LITALICOワークスのスタッフが採用後のフォローについてまとめた資料の提出をし、定期的な面談などでサポートをおこなっていることをお伝えしました。
そのほかにも、軽い知的障害の方について、「雰囲気が合うのではないか」と感じたスタッフが採用担当者と相談し、検品業務で採用が決定しました。こうして、Sさんの金型製作に対する熱い思いから出会った製造会社には、現在LITALICOワークスから3名の方が就職をされ、毎日元気に活躍しています。
※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。