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障害のある方の就職事例

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -デザイナー-

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -デザイナー-

ブランクをはねのけ、自分の強みを生かせる仕事へ

男性/30代/デザイナー/インテリア

統合失調症(精神障害)

激務から体調を崩し、「統合失調症」と診断

小さい頃から絵を描くことが上手で、学生時代も美術の成績がよかったWさん。デザイナーを目指し専門学校へ進学し、商品化を前提としたデザイン課題に取り組み、充実した学生生活を送っていました。卒業後、広告代理店に就職しデザイナーとして働いていました。雑誌などの紙媒体を主に担当し、日々納期に追われて大変でしたが、希望の仕事で働くことに喜びを感じていました。

就職して3年目になると、仕事の幅が増え、納期がぎりぎりの案件もたくさん対応することに。社内体制が変わり、納期に間に合わないと怒号が飛び交う環境で、毎日朝から終電まで働いていました。しかし朝起きられなくなる状況が続き、無理やり職場に行っても仕事をする意欲・気力がなく、幻聴が聞こえたり妄想が出たり……遅刻・早退を繰り返し、体調不良を理由に退職しました。

退職後も体調が悪い日は幻聴などに悩まされました。体調が安定していても、何もやる気が起こらず1日ぼんやりと過ごしている日々が続きました。両親が心配し、母親と一緒に行った病院で診断されたのは「統合失調症」。Wさんは耳にしたことのない診断名にびっくりするも、幻聴などに悩まされていた理由がわかり、気持ちが楽になったそうです。処方された薬の服用について母親がしっかり管理をしてくれたので、通院後に体調を崩すことはほぼありませんでした。

しかし、昼に起きてオンラインゲームに没頭し朝方寝るという昼夜逆転の生活を送り、4年以上引きこもっていました。両親はWさんがこのまま働かなくていいのかと不安に思う日々を送り、「統合失調症 求人」などをインターネットで検索して情報収集をし続けていましたが、あまり有益な情報を得ることができませんでした。そんな時、新聞に挟まれていたチラシを見て、LITALICOワークスの存在を知りました。統合失調症の人などの就職支援をしているから相談に行こうと、Wさんに提案をしました。

はじめは躊躇していましたが、「ずっとこのまま私たちが面倒をみることになるの?」という母親の言葉がWさんの心を動かしました。LITALICOワークスのスタッフにこれまでの経緯を相談し、見学・プログラム体験をする内に、Wさんは再就職することを決意し、LITALICOワークスに通うことを決めました。

無意識に前職の癖、対人関係に苦戦

LITALICOワークスに通うにあたり、Wさんには心配ごとがありました。今まで昼夜逆転の生活を送っていたWさんにとって、朝9時に行かなければいけないというのは高いハードルでした。

きちんと通うと決めたため、数日前から朝型の生活に戻し、体調管理も気を付けるよう努力しました。その甲斐あってか、初日から7時くらいに起きてゆとりをもって準備できるようになりました。自らの変化にびっくりすると共に、やればできると確信したWさん。その後も無遅刻無欠席で勤怠は問題ありませんでした。

しかし、やればできると思ったことが他の利用者とのコミュニケーションで弊害をもたらすことに。プログラムでのグループワークやパソコントレーニング・休憩時間などの際に、他者の意見にイライラすることが多くなり、上から目線で会話をしてしまうことがしばしば……Wさんにとっての課題は体調管理よりも対人関係でした。

スタッフとの面談の際。対人関係について触れると「広告代理店で働いていた時と同じ雰囲気で対応してしまっているのかもしれない」と、服薬の効果もありフラッシュバックが起こることもなく、冷静に振り返るWさん。「後輩に接していた態度と同じではいけない」と頭ではわかっていても、当時の癖がどうしても出てしまうとのこと。やりたい仕事はイラストレーターでなくてもいいが、今までの経験を生かせる仕事に就きたいと考えていることから、スタッフはWさんと話し合い、企業で働くことを想定したSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、人とのコミュニケーションの方法や距離の取り方、言葉の意図を考えるなどのコミュニケーションプログラムをメインに支援していくことに決めました。

希望と現実とのジレンマの果てに出会った適職

もともとパソコンスキルはあったので、SSTプログラムを進めながら、就職活動の準備を開始しました。デザイン職を希望していましたが、もう納期に追われる仕事は厳しい……自分に向いている仕事が何かわからなくなっていたWさん。

利用開始から3ヶ月経った頃、体験自習に行くことに。企業での再就職を前にして、体調管理や人間関係、日々の通勤や最後まで続けられるかなど数々の不安が急に溢れ出ました。スタッフは「失敗してもいい、それが体験実習だから」と伝えると、落ち着きを取り戻し、気を引き締めました。

1社目はアパレル関連。本社にて事務職を2週間おこないましたが、単調すぎて向いていないと思うとのこと。事務職が向いていないのかもしれないと思い、体を使う仕事も実習をしに行きたいと自らスタッフに伝え、

インテリア・雑貨を扱う企業の配送センターで実習に取り組むことに。実習中に上司の方と話をしている中で、本社にデザインの仕事があるけれど、そこで働いてみないかという打診を受けました。「やってみたい仕事を勧められた」とスタッフに連絡をし、本社のデザイン部門で実習することになりました。

 

デザイン部門の実習では、各店舗に飾るPOPやポスター作成、オンラインショップに使う写真の加工・画像作成などをおこないました。デザイン部門の上司の方から「指示を的確に理解してきぱきと仕事をしてくれるし、創造性が豊かで素晴らしい。このまま働いて欲しい」とうれしい連絡がありました。スタッフは喜んでWさんに連絡し、「自分の経験を生かせることができて、信頼できる上司の下で働ける」とWさんも大喜びでした。

LITALICOワークスに通う最終日、Wさんは涙ぐみながら「統合失調症でも働ける場所があり、さらにやりたい仕事に転職できたのはLITALICOワークスのおかげ。いろいろ問題を起こしてしまい申し訳なかったけれど、通って良かったです。」との言葉に、スタッフの目にも涙が。

就職後の面談で「毎日充実しています。服薬は続けているけれど、体調不良になることもないです」「1人暮らしをすることを考えている。お金がたまったら、迷惑をかけた両親へ親孝行もしたい」としっかり今後の計画も立てていました。また、仕事に慣れてきてからは、土曜日にLITALICOワークスを訪れ、利用者の方に絵を描くことや、POP作成方法などを教えてくれています。

 

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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