アスペルガー症候群の方の就職・復職・転職活動のポイントと事例
アスペルガー症候群は、社会性やコミュニケーションなどに偏りが見られる発達障害のひとつです。現在では、「ASD(自閉スペクトラム症)」として診断されますが、成人の方のなかには、旧診断名の「アスペルガー症候群」で診断された方も多いため、ここでは「アスペルガー症候群」の名称を使用します。
アスペルガー症候群のある方の働く上でのよくある困りごと、就職・復職・転職活動のポイントやLITALICOワークスを利用して就職された方の就職事例をご紹介します。
・アスペルガー症候群の診断を受けたときのこと
・アスペルガー症候群の特性により苦労したこと
・以前の仕事・職場のこと
・LITALICOワークスで学べたこと
・企業実習(インターン)や就職活動のこと
・就職後も長く働くための工夫 など
障害・年代・業種ごとのさまざまな就職事例をご覧ください。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は、「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「パターン化した興味や活動」の3つの特性がある障害です。ICD-10(※1)では、広汎性発達発達障害のひとつに含まれていました(DSM-Ⅳ(※2)では「アスペルガー障害」という名称で広汎性発達障害のひとつに含まれていました)。アスペルガー症候群の原因は、はっきりとは解明されていませんが、先天的な脳機能の障害だと言われています。生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生すると考えられています。
※1 ICD-10…WHO(世界保健機関)が作成する『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版。2019年5月に最新版のICD-11が承認され、日本語訳は今後発表される見込み。
※2 DSM-Ⅳ…アメリカ精神医学会発刊の『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版。その後2013年(日本版は2014年)に第5版発行。最新版は2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』。
就職・転職での困りごとは?
大人になり就職すると、創意工夫や臨機応変な対応を求められる場面が増え、人間関係もより複雑になります。それに伴ってコミュニケーションも難しくなるため、アスペルガー症候群の特性による困りごとが顕著になるケースもあります。
また、職場での理解がなかなか得られず環境調整などが難しい場合、ストレスが蓄積されていくうちに、うつ病や双極性障害(双極症)、適応障害(適応反応症)などの精神疾患を併存することもあります。生活に支障がある場合は、症状に合わせた心理療法や薬物療法などをおこなうこともあります。
就職・転職活動を進めるために
初めて就職活動をおこなう場合は、自分の特性や適性を知ることがもっとも大切になります。
特性や適性に合う職種選びをすることで、アスペルガー症候群の特性を「自分の強み」として活かすことができるからです。一方、転職や再就職の場合には、以前の職場でうまくいかず二次障害があらわれていることがあります。
このような場合は、まず医療機関を受診して心身の症状を改善したり、公的な支援機関や就労移行支援事業所などを活用し、コミュニケーションスキルなどのアドバイスやトレーニングを受けることをおすすめします。
LITALICOワークスでできること
LITALICOワークスでは、SST(ソーシャルスキルトレーニング)などのコミュニケーション能力を培うプログラムや、履歴書の添削・面接対策など様々なカリキュラムを多数ご用意しています。
また、企業での実習を経験しながら、自分に合う職種や働き方を見つけられるように、一人ひとりに合った職場探しをサポートします。
※本サイトで紹介している就職事例はごく一部です。
アスペルガー症候群の方の就職・雇用事例
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