障害者雇用の企業事例
全員が気遣う組織風土は、発信しやすい環境から目次
ビズリーチはどんな会社ですか?
エントランス
「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月よりインターネットサービスを運営。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡に拠点を持っています。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開しています。
障害者雇用をはじめた経緯
株式会社ビズリーチは(以下ビズリーチ)2009年の創業以来、事業の成長に伴い会社規模は急速なスピードで拡大し、従業員数も約1,400名になりました。2017年に従業員数が800名を超えたタイミングで、会社全体で働き方改革や生産性の向上について意識的に取り組んで行くことを決めました。
生産性の向上という観点で具体的な取り組みを検討していく中、1つの案として社内のノンコア業務(企業活動において直接利益に繋がらない業務のこと。)を1ヶ所に集約していくことが決まりました。
その取り組みを実現するための施策として、障害者雇用に目を向け、「生産性の向上×障害者雇用」という発想のもと、2018年から積極的に障害者雇用をスタート。また、障害のある方も安心して働けるような、安定した受け入れ体制を構築するため、専門チームを設立し、取り組みを開始しました。
障害者雇用を促進する中で苦戦したこと
人事本部 オフィスサポートセンターグループ 山本 様
専門チームの担当者は2名。その両名とも障害者雇用を経験したことがなく、会社としてもノウハウがほとんど無かったため、何から検討すればいいかも分からない状態でした。その中でも特に苦戦したのが、業務の切り出しと採用です。
業務の切り出しでは、当初、一つひとつの業務にマニュアルがなく、定型化されていないことが多かったので、なかなか移管できない状態でした。そこで、どんな業務であれば障害のある方を受け入れることができるのかを関係部署の担当者と相談しながら明確にし、マニュアルを作成することからはじめました。その後、発達障害のあるスタッフが、マニュアルを障害特性に合わせた内容にブラッシュアップするなど、進化を続けています。
採用では、障害者雇用の前例が無い中で、ビズリーチと合う方をどのように採用していけばいいのか、採用基準を1から考えていく必要がありました。当初は障害に関する知識も浅く、手探りで進めていきました。
障害のある方が安心して働ける体制を整えていく上で、まずは彼ら・彼女らが働きやすい・働きたいと思える環境をつくることが大切だと考えていたため、実際に採用に至るまでは半年近くかかりました。現在は、13名の障害のある社員が働いており、障害別では精神障害10名、発達障害3名の社員が活躍しています。
配属先のミスマッチ解決法
ビズリーチでは障害者雇用において、採用~配属まで5つの段階を設けています。
1. まずは「会社説明会」に参加いただき、当社の事業や働き方を知っていただく機会を必ず設けています。
2. その後、興味のある方には「職場実習」に参加をしていただき、実際の働き方を体験していただきます。
3. 実習参加後に担当者と「面談」をしていただきます。
4. 希望する方のみ「面接」を受けていただきます。
5. 入社後は正式な配属前に様々な業務を体験していただく期間を1~2ヶ月設けています。
最初は気が進まないと思われた業務も、やってみると意外と自分の強みに合っていたり、楽しいと思えたりすることもあるので、まずは業務体験の期間で様々な体験をしていただき、本人の「できること」「やりたいこと」「得意なこと」にフォーカスできる業務分担に努めています。
安心して働き続けるための取り組み
毎日提出していただいているセルフケアシート
本人から発信しやすい環境づくりを心掛けています。月1度の上長との面談に加えて、私たちオフィスサポートセンターグループ担当者とは毎週30分間の面談と、毎日帰宅前に業務や体調の変化について振り返りを行う時間を必ず設けています。
また、その日の体調や疲れ具合、相談ごとを記載する連絡帳も活用し、さらに、自分自身の体調を客観的に把握することで体調の悪化を未然に防げるように、毎日セルフケアシートも記入してもらっています。
就業時間中は、1時間に5分の休憩取得を推奨しており、無理をしすぎて体調を崩さないよう、休憩を取得しやすい雰囲気作りも心がけています。
働く時間も3つの段階を設けており、週5日6時間勤務からスタートしていただき、慣れてきた方は7時間、8時間と無理のないように働く時間を増やしていただいています。その結果、全員がお互いの体調に気遣う組織風土ができ、昨年8月から採用を開始して、7月現在まで離職率は0%です。
一緒に働く上で大切にしていること
プロフェッショナルとして業務を遂行していただくように意識しています。障害の特性によって業務の得意・不得意があるため数値目標は設定していませんが、現状の体調の中で今の働き方がベストなのか、先月の自分と比較してできるようになったことや成長度合いにフォーカスしたコミュニケーションを取ることで、本人がパフォーマンスを発揮できるような環境を整えています。
障害者雇用の未来をどう考えているか
人事本部 オフィスサポートセンターグループ 齊藤 様
障害の有無にかかわらず、やりたい仕事ができたり、多様な選択肢があったりする環境になれば良いなと思っています。ビズリーチでは障害者雇用の取り組みの中で採用活動は進めていますが、入社後は障害の有無はあまり意識していません。自分のやりたいことや障害と向き合いながら、社内でも社外でも活躍できる人材になれるような経験を当社で培ってもらえればと考えます。
障害者雇用を検討している企業様に一言
自分たちだけで抱え込まずに、外部の専門機関や他社の人事の方に積極的に相談することは大切だと感じています。私たちも右も左もわからないところから10社近くの企業様へ見学に行き、LITALICOワークスをはじめ多くの支援機関様にアドバイスをいただいて、現在の体制ができました。
様々な企業が連携しあい、どのような方でも安心して働けると思えるような環境を一緒につくっていけたらと思います。
今回訪問した企業様の会社概要
企業名 |
株式会社ビズリーチ |
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設立 |
2009年4月 |
事業内容 |
インターネットを活用したサービス事業 |
ホームページ |
インタビュー:2019年7月11日
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。