障害者雇用の企業事例
ダイバーシティ&インクルージョンは企業の成長力になる目次
デル・テクノロジーズはどんな会社ですか?
デル・テクノロジーズは 、企業や人々がデジタルの未来を築き、仕事や生活の仕方を変革することを支援しています。
データ時代に向けて、業界で最も包括的かつ革新的なテクノロジーとサービスのポートフォリオをお客様へ提供しています。
また、私たちはグローバルレベルで多様性を受け入れるための取り組みを推進しており、さまざまなマイノリティグループのキャリア形成の機会も提供しています。障害者の法定雇用率の達成はもちろん、障害者を雇用することは真の意味でインクルージョン文化醸成につながる、必要不可欠な取り組みです。
研修型雇用という障害者雇用
2012年、宮崎にてキャリアサポートセンターを設立し、就労経験のない障害のある方や、就労経験があっても離職期間が長い方を対象に、ビジネススキルトレーニングの提供を始めました。
2021年には東京オフィスでも同様のトレーニングを展開し、入社後1年間、業務に入るまでの実務能力を高めるトレーニングを障害者の方へ提供しています。2022年度は、キャリアサポートセンター東京で以下のような障害種別の方が研修を受けています。
<障害種別>
・身体障害:1名
・精神障害:5名
・発達障害:1名
キャリアサポートセンターへ入社すると、まずは10時~17時(休憩1時間)の6時間勤務からスタートします。
いずれフルタイムで勤務したいと考えていれば、少しずつ勤務時間を伸ばすこともできます。また、週3日を出社推奨日、2日を在宅推奨日とし、体調に合わせて自律的に出社と在宅勤務を使い分けて勤務いただきます。
身に付けたいスキルを自由に学ぶ「自己学習」の時間も多く設けています。体調やメンタルの波に合わせ、量を調整しながら業務に従事できますし、通院などの事情がある場合には休みを取ることも可能です。
また、2名のトレーナーそれぞれと、毎週30分ずつの1on1(ワンオンワン)面談も行います。困りごとの相談や自己理解など、早いタイミングで適切なメンタルサポートを受けることができます。
研修型障害者雇用の内容
キャリアサポートセンターでは「貢献・継続・挑戦」という3つのテーマで、以下のような研修プログラムを実施しています。
貢献:
ビジネスマナー
Officeソフト等の使い方
ビジネスコミュニケーション(メール)など
継続:
ストレスマネジメント
セルフコントロール
仕事の効果的な進め方
先輩講話
挑戦:
プレゼンテーション
プロジェクトワークの実施
現場部門業務のOJT
社内イベントサポート
これらの研修を経て現場部門に配属された卒業生は、営業サポート事務や、英語ドキュメントの日本語翻訳、テクニカルサポートチームのデータ分析などの業務についています。うち1名は研修修了後、研修を実際に担うトレーナーへの配属となりました。
キャリアサポートセンターの卒業生である障害当事者が、卒業後に今度はトレーナーとしてかかわることにとても大きな意味があります。これにより、本人が気づけていない、あるいは言語化できない悩みや困りごとについて、当事者だからこそ気づいてあげることができます。トレーナーから受け入れ部署(現場)社員へ共有すれば、最適な対処法について理解が進み、障害のある方と健常者の社員との良好な関係も築くことができます。
柔軟な支援体制を整える上でも、障害当事者がトレーナーとして果たす役割は大きいと考えています。
研修型障害者雇用の目的
障害のある方が就職する際、就労に向けたトレーニングを受けたとしても、実際に企業に入って働くとなるとどうしてもギャップが発生するのではと感じていました。
「研修型雇用」という方法を採用することで、不安を取り除きながら、実務に必要なスキルを着実に身に付けられるようサポートしています。
私たちとしても1年間かけて研修を実施することで、本人の適性や強み、どんな困りごとがあるかをしっかり把握することができます。そうして、活躍できる現場でインクルーシブに働けるようつなげていくことができます。
毎週実施するトレーナーとの1on1面談も大切なトレーニングの1つです。
1on1面談の目的の1つは、自身が持つスキルや自分自身を客観的に知ることです。
本人ができると思っているスキルが実務レベルに達していないこともあれば、できているのに自信が持てていないこともあります。
また、「分からないことが自分でも分からない」「どう悩めばいいかが分からない」と感じてしまうことも、仕事においてつまずくきっかけになります。現場でどんな困りごとが想定されるか、困った際にどのように本人から相談すればいいかをトレーナーと一緒に考えていきます。
1on1面談はメンタルサポートを受けられる機会であると同時に、自己理解を助ける機会にもなっています。
外部の支援機関との連携
研修型雇用は、まだ広く知られていません。一般的な就業と異なりイメージが持ちにくい点も課題と感じ、就労移行支援事業所との連携を図っています。
東京オフィスでは2022年から、体験実習「プログラム体験会」を開始しました。LITALICOワークスの利用者の皆様にも多くご参加いただき、採用になった方もいます。
私たちとしても外部の支援機関とつながっておくことは心強いです。本人に必要な、けれど私たちではカバーしきれない医療や福祉などの側面でサポートが得られる安心感があります。何か困りごとが生じたとしても、信頼関係のある中で解決することができます。
今後もいろいろな就労移行支援事業所と連携を取りながら、門戸が開けるように拡大していきたいです。
配属先開発のために工夫していること
研修型雇用の1年を通して、本人の特性やスキルを深く理解した上で、彼らが十分に活躍できる配属先と最適なマッチングを行いたいと考えています。そのためには、研修トレーナー自身が配属先の社員とつながり、障害のある方に任される業務について知っておくことが必要です。
私たちキャリアサポートセンターは採用組織に属しています。新卒採用や中途採用を担当するチームメンバーに「この部門にこんな仕事ない?」と聞くなど、ポジション探しの相談がしやすい環境です。
他にも、社内の部活動や社内イベントで障害のある社員が登壇する場をつくるなど、社内におけるキャリアサポートセンターのブランディング活動も行っています。そういった場を活用して、「こういった業務はありますか?」と、障害のある人が活躍できる可能性を積極的に探り、配属先となる受け入れ部署を増やしていくことを目指しています。
東京キャリアサポートセンターは2021年入社の卒業生を送り出し、現在はセンターとして2期目の研修を進めています。卒業生とは1on1面談を1~2ヶ月に1度実施し、何かあった時には連絡がとれるよう現場のマネージャーとつながり、継続的にサポートする体制を作っています。
デル・テクノロジーズが目指すインクルーシブな障害者雇用の実現
障害者雇用に取り組む際、障害がある人のことを「できない人と捉えない」ことが大切だと思っています。
その方の特性によって「困りごと」が生じることはあっても、それが「できない」こととイコールではありません。この考えから、キャリアサポートセンターでは取り組むトレーニング内容のレベルを過度に配慮することなく、さまざまな業務やシチュエーションに対応できるような内容でトレーニングを実施しています。
障害の有無を問わず、誰かの「困りごと」に気づいたとき、適切な対処が分からずただ戸惑ってしまうことがあります。そんな時こそ、相手そのものを見つめ、「この困りごとは、こういうことなのか」と理解が深まれば、多様性に対して寛容になることができます。
人類の進歩を牽引するテクノロジーの創出を目指す企業として、誰にとっても働きやすい環境づくりは欠かせません。ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みにより、組織を構成する一人ひとりがさまざまな違いについて寛容さを育むことで、多様なお客様に応えていきたいと考えています。
今回訪問した企業様の会社概要
企業名 |
デル・テクノロジーズ株式会社 |
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従業員数 |
3,142人(2022年3月現在) |
事業内容 |
日本におけるデル・テクノロジーズ製品、ソリューション、サービスの販売、ならびに保守業務 |
ホームページ |
インタビュー:2023年1月25日
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。