障害者雇用の企業事例
キャリア形成に伴走する障害者雇用の形目次
マネーフォワードはどんな会社ですか?
法人や個人を問わず、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供している株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)では、メンバーの可能性を引き出してキャリア形成や能力開発などの多様な成長機会をつくることを大切にしており、障害者雇用にも力を入れています。その特徴や想いについてお話を伺いました。
株式会社マネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をMissionに掲げ、 法人や個人を含め、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供している会社です。法人向けには、バックオフィス業務や経理・確定申告などの効率化につながるクラウド型ソフトなどを、個人向けにはお金の見える化や家計改善をするためのサービスなどを提供しています。2012年の創業から11年が経過し、提供するサービスの開発・提供数は50を超えています。
そして今後も、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる」ために、国内外で事業拡大を目指しています。
障害者雇用のメンバーの仕事内容
私たちの会社には、全社で取り組む重点テーマの一つとして、「Talent Forward(社員の可能性をもっと前へ。)」というものを掲げています。メンバーの可能性を引き出し、キャリア形成や能力開発などの多様な成長機会をつくることを大切にしています。
社員の誰しもが成長できる環境づくりに、日々取り組んでいるところですが、実際に働いてる社員の一人としても、社員がお互いを認めて尊重し合う空気を肌で感じていて、外国籍の方も障害のある方もインクルーシブに交流している姿を目の当たりにしています。
障害者雇用として、私たちのチームでは約40名のメンバーがさまざまな職種・ポジションで活躍しています。
具体的な仕事内容としては、オフィスにおける総務・サポート業務(郵便受付対応、電話・FAX振り分け対応、オフィス環境整備、備品管理等)や、データ入力・事務業務(クラウド記帳サービス『STREAMED(ストリームド)』を支える業務等)があります。
その全ての業務の中で、一人ひとりが成長できる機会をつくっていきたいと考えています。
キャリア形成のためのポリシーと評価制度
以前から取り組んできた障害者雇用ですが、障害がある方のキャリア形成を支援していきたいというメッセージを当事者の皆さまに届けるために、昨年末に「支援ポリシー」を発表しました。これは、私たちが障害のあるメンバーと一緒に働く上で大切にしていることや、その背景にある想いをまとめたものです。
このポリシーには、その方の人生が前に進んでいくための「キャリア形成」を支援していきたい、というメッセージが込められています。これを全社で共有し、障害の有無に関係なくお互いの成長を支援していくという文化形成を、今まさに進めているところです。
また、障害者雇用のメンバーの貢献や成長を評価する制度として、「インクルーシブコース」を2022年に創設しました。こちらは一定の配慮を前提に、それぞれのメンバーを適切にアセスメントした上でその方のミッションや目標を両者ですり合わせ、達成を目指す人事制度です。
障害のあるメンバーに一律に総合職の社員と同じ評価制度を当てはめるのではなく、障害への配慮も踏まえた上でキャリアが描きやすいよう、キャリアステップをグレード制度で明確にしています。グレードにいくつか段階があり、各グレードで求められるスキルや働き方を明示しています。グレードが上がると報酬も上がるようになっていて、一人ひとりの成長が処遇に反映される仕組みにすることで、次のチャレンジへのモチベーションに繋がっていくと考えています。
この制度の導入以来、障害のあるメンバーからも、「今後のキャリアを描きやすくなった」「目標を立てやすくなった」というポジティブな反響をいただいています。
定着支援とキャリアアップ
会社に愛着を持って長く働いていただくために、定着支援にも力を入れています。慣れない環境では不安や緊張もあると思うので、まず入社から1週間は毎日振り返り面談を実施するようにしています。少しずつ慣れてきた後にも、定期的に一人ひとりと対面で話す機会をつくっていて、分からないことや不安は都度解消していくことができます。
また、会社として何を求めているのか、数ヶ月後にはどのような成長を期待しているのかといった目線合わせも、目標設定シートを活用しながら行っています。そうすることで、日々の業務や会社とのコミュニケーションにミスマッチが生まれないように意識しています。
定着後のキャリアアップも、本人の希望に合わせてぜひチャレンジしていただきたいと考えています。実際に、インクルーシブコース(※)の準社員から正社員へと転換したメンバーや、さらにはリーダーポジションへと業務領域を広げたメンバーもいます。
※様々な職務を経験しながら成果・成長の最大化を目指す「総合職コース」に対し、「インクルーシブコース」では、一定の配慮を受けながら、できる範囲の業務をやり遂げることを目標に置きます。
柔軟な働き方の形と、研修制度
障害のあるメンバーが働きやすい環境づくりとして、柔軟な働き方の形も相談してとりいれています。新しい環境になれるまでは、時短勤務(週30時間以上)の選択や、データ入力のポジションではリモートワークを取り入れているなど、できるだけ無理のないように働ける環境を作りたいという想いでコミュニケーションを取っています。
また、昨年はストレス対処などセルフマネジメントについての研修や、キャリアに関する研修もおこないました。今後も、メンバーの成長に繋がるような研修を継続的に実施したいと考えています。
これらの環境整備を通して、障害のあるメンバーの成長に真摯に向き合っていきます。
採用に関して大切にしていること
「キャリア形成を軸とした障害者雇用」と謳うと、高いスキルを持っていないといけないのでは?など、ハードルの高さを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません。採用の際に大切にしているのは、「私たちの会社の想いやカルチャーに共感していただけるか」というポイントです。
マネーフォワードで働くことにやりがいを感じていただけて、ここで成長していきたいと思っていただけるかどうか。実際の面接でも、「弊社のどんな部分に共感されていますか?」と聞くことが多いですね。お互いにミスマッチがないように、複数回の面接を経てご入社いただきます。
特に就職がゴールではなくて、その先の成長までを見据えられる方はマネーフォワードで活躍いただける可能性が高いのではと思います。せっかくならマネーフォワードで働くことを通して、今後にも生きるようなスキルやコミュニケーション力を伸ばしていただきたいと考えています。
実際に、障害のあるメンバーの中には、「自分の意見を相手に上手く伝えられるようになった」とか、「どうしたら業務や会社がもっとよくなるのかを考えながら動けるようになった」というように、成長を実感してくれるメンバーも多くいます。
一人ひとりの成長に伴走したいと思っているので、前向きにチャレンジしたい、興味のあることをやってみたいと思える方と、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
障害者雇用で今後目指していくこと
障害者雇用において正解不正解はないですが、私たちが考えていることや実践していることを、広く社会に示していきたいです。
「良いな、真似したいな」と他社様にも思っていただけるポジティブな事例をつくることで、障害のある方がキャリア形成しながら活躍することができる社会の実現に貢献していきたいと思っています。
そのためにも、今後インクルーシブ制度のアップデートなど、障害のあるメンバーにより焦点をあて、働きがいや働きやすさを高める施策を増やしていきたいと検討しています。障害のある方は、もっともっと社会で活躍できると感じているので、今後の人生を通じて活かせるキャリア形成を、継続的に支援していきたいです。
今回訪問した企業様の会社概要
企業名 |
株式会社マネーフォワード |
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従業員数 |
2,148人(連結、2023年11月末) |
事業内容 |
PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供 |
ホームページ |
インタビュー:2023年12月11日
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。