障害者雇用の企業事例
多様な人材が活躍できる環境を実現する目次
プルデンシャル生命保険はどんな会社ですか?
プルデンシャル生命保険株式会社は、生命保険業を通じてお客さまとご家族に一生涯にわたって安心をお届けする会社です。
プルデンシャル生命は、世界最大級の金融サービス機関であるプルデンシャル・ファイナンシャルの一員として1987年に設立された会社です。生命保険業を通じ、お客さまとご家族に生涯にわたって安心をお届けすることを使命としています。
私たちが働いているドライデンカスタマーセンターは、東京本社に次ぐ第2本社として2004年に仙台市泉区紫山に設立されました。生命保険契約にかかわる事務業手続きを行い、コールセンター機能も有するカスタマーセンターとしての役割を担っています。
ドライデンカスタマーセンターは、障害のある方が働きやすい職場環境の整備など、障害者雇用の功績が特に顕著な事業者を表彰する「仙台市障害者雇用貢献事業者」として仙台市より表彰を受けることができました(令和4年度)。
多様な人材が活躍できる会社に
プルデンシャル生命では、創業時より「お客さまにパーソナルなサービスを提供すること」を経営戦略に掲げ、お客さまの価値観も多様化する時代に十分に対応できる会社を創ることを目指してきました。これがプルデンシャル生命のダイバーシティ推進のルーツとなっています。設立当初から現在まで、積極的に障害のある方の雇用を推進してきました。
ドライデンカスタマーセンターでは2023年4月現在、27名の障害のある社員が勤務しています。仙台本社に勤務する社員は330名程で、8%以上が障害のある社員となります。
<障害種別>
● 身体障害:19名
● 精神障害:5名
● 発達障害:2名
● 知的障害:1名
上下肢障害、心臓機能障害、聴覚障害、視覚障害などの身体障害がある方、うつ病や双極性障害、高次脳機能障害、てんかんなどの精神障害がある方など、さまざまな障害のある社員が活躍しています。
障害のある社員は特定の部署に集まるのではなく各チームへそれぞれ配属されていくため、担当業務は人によって異なります。業務は大きく分類すると下記のとおりです。
・生命保険の事務手続きに関する業務
・コールセンターのサポート業務
・間接部門における本社バックオフィス業務 など
多くの障害者雇用スタッフの勤務時間は9:00〜17:30です。
フレキシブルな環境づくり
ドライデンカスタマーセンターは館内すべてがバリアフリーの作りになっており、多様な人材が働きやすい環境を整えています。
例えば、車いすが通れる通路幅の確保やユニバーサルトイレがあったり、通常の壁よりも柔らかい素材が使われていたりします。これは、補聴器を使用している聴覚障害の方にとって通常の壁だと音の反射が負担になるため、音を吸収する柔らかい素材を使い負担を軽減するためです。
社内には休憩スペースも充実しています。周りが見えないつくりになっている個室型の休憩スペースも多数、周囲を気にせずに休める環境があります。
物理的な環境だけではなく、今後も障害の有無にかかわらず社員と会社が共に成長していくことを目指しています。社員が継続的に障害者雇用の理解を深められるような研修の機会を持つことを企画しています。
充実した福利厚生も安心材料の1つだと思います。有給休暇の他に傷病休暇制度があり、通院時などに利用できます。社内の相談窓口も上長や産業医、保健師の他に、外部の相談機関と契約しており、相談内容を会社に知られることなく気軽に相談することもできます。
採用選考の進め方
プルデンシャル生命の採用選考は、基本的にオープンポジションでの募集です。
書類選考を通過された方は、会社見学とカジュアル面談を実施し、応募者の強みや障害についてなどざっくばらんにお話しいただきます。
その後、応募書類や面談の情報をドライデンカスタマーセンター内の管理職に共有し、面接を希望するチームを募ります。
各部署が必要としている人材の要件と合致した場合に面接にお進みいただきます。
私たちは障害者雇用のメンバーであっても、あくまでも一緒に働く会社の戦力として入社していただきたいと思っています。そうすることで、本人も自己効力感を持ちながら活き活きと活躍できる環境をつくることができると考えています。
例えば、プルデンシャル生命には「My Mission」という社員がそれぞれ自分の使命(行動指針)を決めて行動するという取り組みがあります。社員投票の結果、実際にその行動が評価された社員として障害者雇用の社員も表彰されています。
選ばれたメンバーの1人は、社内のさまざまな仕組みを効率化することが上手な障害者雇用の社員です。この方はまさに、システム化できるような人材を探している時期に応募のあった方です。
障害の有無に関わらず、それぞれの適性や業務能力をいかんなく発揮してもらいたいと考えています。
遠慮ではなく、合理的な配慮をする
入社後は月1回、外部の支援員に協力いただきながら定着支援面談を実施しています。面談の前半は本人と支援員で話し、後半は上長と総務の障害者採用担当者も入り困っていることや必要な配慮などについて話します。
配慮について気を付けているのは、「配慮が遠慮にならないように」ということです。障害があっても会社の中で活躍したい、貢献したいという気持ちはみんな持っていると思います。
「障害があるからこの仕事をお願いするのはやめておこう」「この業務は難しいだろう」と気を遣って判断してしまうと、その方の成長の機会を奪ってしまうことに繋がる可能性があります。同じ障害名であっても特性や必要な配慮は個人によって様々です。その人にとって必要な配慮をしながら業務を担当してもらうことで、組織の中で活躍してもらえるよう意識しています。
このような支援をしていても、時に体調不良になってしまう社員もいます。面談の中で遠慮せずに本音で話をしてくれるような関係性づくりや、本人の障害理解や体調コントロールに関してのサポートなどについて、外部の支援者と連携しアドバイスをいただきながらノウハウを積んでいきたいと思っています。
障害者雇用を検討している企業に一言
私たちも最初は手探りでのスタートでした。繋がりもノウハウもなく、ハローワークに求人を出したり、近隣の就労移行支援事業所などの福祉事業所に直接連絡をしたり、合同説明会に出たりと試行錯誤しながら進んできました。
これから障害者雇用に取り組む企業の方には、まずは地域の支援機関や就労移行支援事業所などへの相談から始めることをお勧めします。採用の進め方や受け入れ体制に関してなど、専門的な知識のもと様々なアドバイスをいただくことができると思います。
私たち自身も、外部の機関と連携することで当事者との関わり方の幅が広がってきました。企業が関与できない生活面のフォローを行ってもらうことで、社員の安定した勤務にもつながっています。
応募いただく障害のある方の中には、プルデンシャル生命では残念ながらマッチしなかったけれど、他の企業なら活躍できるのではと感じる方もたくさんいらっしゃいます。地域で企業や支援機関が繋がることで、よりいいマッチングが作れるのではないでしょうか。
これから障害者雇用を目指す方へ
自分にしっくりくる障害者雇用をしている会社を見つけることは、とても大変なことだと思います。
諦めずに情報収集をして、いいなと思えた企業には「こういう配慮をいただければ、私はこういうことができ、力になることができると思います」と自分についてポジティブに伝えることでいい方向に進んでいけると思います。
自分の居場所となるような職場に巡り合えることを願っています。
今回訪問した企業様の会社概要
企業名 |
プルデンシャル生命保険株式会社 |
---|---|
従業員数 |
6,728人(2021年度末) |
事業内容 |
生命保険業及びそれに付随する業務 |
ホームページ |
インタビュー:2023年4月12日
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。