障害者雇用の企業事例
才能と能力を活かして、一人ひとりが活躍できる職場へ目次
SHIFTはどんな会社ですか?
ソフトウェアの品質保証・テスト事業を軸に成長をはたし、現在では、企業のDX推進支援やより幅広い領域のIT事業を総合的に展開する株式会社SHIFT(以下、SHIFT)では、多様な人材が活躍できる組織づくりのひとつとして、障害者雇用に力を入れています。その特徴や想いについてお話を伺いました。
SHIFTは、ソフトウェア製品のテスト事業で成長し、現在ではさまざまなITサービスを展開する企業です。それぞれ専門とする技術領域が異なる37社(2024年1月時点)あるグループ会社と連携し、企業様のあらゆるDXやITにまつわる課題をトータルサポートできる体制を敷いていることも大きな特徴です。
また「社会課題を解決する会社」として、エンジニアをとりまく就労環境で課題となりがちな多重下請け構造の解消や、IT未経験人材の雇用・キャリア創出にも力を入れています。国籍、ジェンダー、年齢を問わず、多様な人材が活躍できる組織づくりも、SHIFTが掲げる方針のひとつです。障害者の方を含む雇用の促進も、私たちが解決に携われる社会課題のひとつと位置付けています。
障害者雇用における取り組みが評価され、東京都の「心のバリアフリー」サポート登録企業、令和4年度好事例企業に選出されました。また、人材領域ですぐれた取り組みを行っている企業を表彰する「HRチャレンジ大賞」において、第12回日本HRチャレンジ大賞「採用部門優秀賞」も受賞しています。
障害のある方の業務内容は?
SHIFTには、障害者雇用を希望して就業するメンバーが中心となるビジネスサポート部(通称:ビジサポ)があります。働くメンバーは、社内では親しみを込めて「ビジサポさん」と呼ばれていて、現在140名の障害のある方が在籍しています(2023年8月時点)。
障害の有無にかかわらず、すべての人が才能と能力を活かして働ける場をつくることが、SHIFTのモットー。一般的に、障害者雇用というと事務系や作業系の職種に限定される傾向がありますが、SHIFTではその常識を覆すような多様な業務を扱っています。例えば、営業事務、総務、労務といった事務系の業務、社員の福利厚生を目的としたマッサージルーム運営や映像編集などの専門性の高い業務に加えて、フラワーアレンジメントを行うフローリストや、アート作品を制作するアーティストの採用も行っています。
多様な業務が生み出される仕組みのひとつが、社内BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)です。業務の一部をアウトソーシングし、効率化をはかる仕組みを社内で導入。ビジネスサポート部には、さまざまな部署から依頼が届きます。
この仕組みを導入した当初は、ビジネスサポート部に依頼する業務についても手探りで、依頼を躊躇してしまうという声も少なからずありました。しかし、ビジネスサポート部のメンバーが着実に実績を上げてきた結果として、少しずつ依頼内容が多様化し、業務の幅も拡大していきました。現在は、営業事務や総務、労務などの定例業務は221案件、スポット業務は年間で239案件にも及びます(2023年1月時点)。
ビジネスサポート部のメンバーの活躍ぶりによって、社内においても、障害者雇用に対する考え方は大きく変わってきています。今後、ビジネスサポート部の伴走を必要する部署は、さらに増えていくと思います。
定着率85%超を生み出す4つの取り組み
SHIFTの障害者雇用の特徴は、職種が多岐にわたることに加えて、定着率の高さも挙げられます。現在、ビジネスサポート部のメンバーの職場定着率は85.2%※。働きやすい環境を整備していることが、高い定着率にもつながっていると考えています。
※SHIFT FY2023実績(2022年9月1日~2023年8月31日)
■入社前のマイカルテの作成
入社前に、目標や得意なこと、特性、不調時のサインなどをまとめた「マイカルテ」を作成します。マイカルテの作成にはしっかりと時間をかけ、入社前のすり合わせ面談も実施。お互いへの理解を深めて入社を迎えることで、安心して働ける環境をつくっています。
■専門知識を持つマネージャーによるサポート
ビジネスサポート部のマネジメントメンバーには、専門資格を持っている人も多く在籍します。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士、産業カウンセラーなど、それぞれの専門スキルを活かしたアプローチで、不安や困りごとの早期フォローができる体制を整えています。
また、睡眠や服薬などのヘルスチェックも毎朝行っていて、何か相談したいことがあれば、ヘルスチェックにコメントを残せる仕組みをつくっています。
■コミュニケーションの質と量を担保する仕組み
気づかないうちにコミュニケーション不足に陥らないよう、「仕組み化」をはかっていることもポイントです。毎朝のチーム朝会や月に1回以上の定例ミーティングは、ちょっとした相談事項や業務についての疑問をこまめに確認し、解決できる場となっています。
また、必要に応じて臨時の面談や外部の支援機関との面談も設定しています。気軽に相談できるチャットツールも導入しています。
■ロールモデルを生む、多様な働き方
短時間勤務や在宅でのテレワークなど、働き方の工夫も取り入れています。テレワークと出社の比率は、本人の希望や業務内容に合わせて柔軟に調整が可能です。また、最初は短時間勤務からスタートし、少しずつフルタイムへと勤務時間を延ばし、正社員に登用されたメンバーもたくさんいます。
自分らしく働きながらキャリアを構築
SHIFTでは、障害者雇用領域の評価ガイドラインを作成し、成果に応じて正当に評価される仕組みをつくっています。能力がある人は、その力を活かすべき。そこに障害の有無は関係ありません。マネージャークラスで活躍する方も複数いれば、スペシャリストで能力を発揮している方も多数いらっしゃいます。もちろん合理的配慮などは適切に行いますが、それ以外での区別はありません。
一人ひとりが才能と能力を発揮して、価値を創出する。それが業績にも貢献し、社員も会社も成長する。そんな好循環が生まれています。
正社員登用制度で正社員となった事例もたくさんあります。本人が正社員になることを希望し、中長期的に活躍できる人材であれば、積極的に登用していきたいという方針です。
年に2回目標設定をし、「リーダーを目指したい」「アシスタントマネージャーをやってみたい」といった希望があれば、マネージャーも伴走しながら目標に向かってスキルアップをはかっています。
やりがいを感じられるイベントも多数!
ビジネスサポート部のメンバーはさまざまな部署と関わる業務が多いため、他部署の社員から直接「ありがとう」「助かりました!」という声を聞くことができます。こうしたことも、今ではSHIFTの日常的な風景になりました。
SHIFTでは、「社内で活躍している人材を一人ひとり取り上げて紹介しよう」という文化があるのですが、社内広報誌でビジネスサポート部のメンバーが紹介されることも少なくありません。毎週社内に向けて生配信されている代表取締役社長の丹下によるコンテンツでピックアップされることもあります。
さらに、貢献した社員を3ヶ月に1度表彰する「SHIFT AWARD」も、全社員注目のイベント。雇用形態にかかわらず、誰もがノミネートの対象です。アルバイトや契約社員でも、成果をあげればきちんと認められる文化は、社員全体のモチベーションアップにつながるもの。実際に、ビジネスサポート部からも毎年10数名がアワードにノミネートされています。表彰されたメンバーもいるんですよ。
がんばれば認められ、より責任のある仕事ができる。
自分にあった働き方で、成果を出している人がいる。
社内広報やAWARDを通して、身近なロールモデルの存在を知ることができるのも、目標を持って仕事に取り組む一助となっています。
これから障害者雇用を目指す方へ
自分に合う会社を選び、長く活躍していくためには、自己理解を深めることが欠かせません。LITALICOワークスさんのような就労移行支援事業所でのトレーニングはもちろん、積極的に各社の実習に参加してみることも、自分の特性や対応法を再確認する機会となると思います。実際に働いてみることで、どんな仕事が向いているか、どんな会社で働きやすいかといったように、「働くイメージ」も具体的になっていくはずです。
実際の会社のなかに入って体感できるのは、就労移行支援を利用中ならではの特権! ぜひ有効に活用して、自分に合う会社を見つけてください。また、就労移行支援事業所への通所や実習などを通して、安定して勤務できる体力をつけ、生活習慣をととのえていけるとよいですね。
今回訪問した企業様の会社概要
企業名 |
株式会社 SHIFT |
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従業員数 |
12,559 名(連結、パートナー、派遣を含む2023年11月末時点) |
事業内容 |
ソフトウェアの品質保証、テスト事業 |
ホームページ |
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X(旧Twitter) |
ビジサポ障がい者採用チーム(@sft_colors) |
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ビジサポ花卉・アートPJTチーム(@sft_colors) |
インタビュー:2023年11月10日
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。