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障害のある方の就職事例

発達障害と診断され、自分らしい働き方を見つけるまで【就労移行支援/卒業生対談】

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プロフィール

  • Sさん(左)・Kさん(右)
  • 診断名 : Sさん(ADHD:注意欠如・多動症)・Kさん(ASD:自閉スペクトラム症)

困りごと

  • Sさん:ルーティン業務や意図を汲み取ることが苦手、物忘れが多い
  • Kさん:マルチタスク・金銭管理が苦手
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ストーリー

働きづらさを感じたり、働き方を見直したいと考えたりしたとき、障害のある方に寄り添いながら就職と定着をサポートするのが就労移行支援です。共に就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を利用後、一般企業で活躍するSさん、Kさんにお話しを伺いました。

仕事でのミスやトラブルが受診のきっかけに

――おふたりが診断を受けたのは、大人になって働き出してからですね。受診のきっかけを教えてください。
Kさん:診断を受けたのは6年前。忘れ物やケアレスミスが多く、「発達障害なのかもしれない」と不安になっては、「でも、誰にでもあることだし」と自分を落ち着かせることの繰り返しが続いていました。発達障害に関連する検査を受けて「あなたは発達障害ではありません」というお墨付きをもらいたい、という思いで病院の門を叩きました。結婚を控えていて、ライフステージが変わるタイミングだったことも、受診の後押しになりました。

 

Sさん:「発達障害ではない」と確認したくて受診したけれど、そこで「ASD(自閉スペクトラム症)」と診断されたのですね。

 

Kさん:診断名がつくというのが重く、ズンとのしかかったというのが正直な感想です。障害や自分の特性を受け入れるまでに、数年の月日が必要でした。

 

Sさん:僕は「ADHD(注意欠如・多動症)」と診断されて、むしろ気が楽になりました。仕事でできないことが多い理由が明確になったから。受診のきっかけも、当時の上司の勧めがあったからで、診断が「まさか」だったKさんとは逆に、僕の場合は「やはり」だったんです。障害があるなら特性に合わせた対策をすればいいのだ、と考えられました。

診断が出ても、対策がわからなくてモヤモヤ

――診断が出て、当時の職場での働き方は変わりましたか?
Sさん:障害者手帳を取得したことを会社に伝えると、「障害者手帳をコピーさせて」とは言われましたが、仕事内容に変化はなかったですね。自分の特性理解が進んでいなかったので、自分自身でも「こんなときはこうすればいい」という対策もわからなかった。結果的にがんばりすぎて体調を崩し、休職することになりました。

 

Kさん:自分は、診断の3〜4ヶ月後に当時いた倉庫会社を退職して、運送会社に障害者雇用で入社しました。ただ、障害者雇用とはいえ、仕事内容は一般雇用の人たちと変わらず、各フロアでの商品受け入れと積み降ろし、各部署や取引先への配達、その際の検品や商品梱包に不良品報告など業務も多岐に渡りました。取り扱う商品も食品から大型家電まであり、業務ルールもそれぞれ異なるため、大変でした。マルチタスクが苦手だということはわかっていましたが、具体的な対策を練る余裕はなかったですね。働きながらだと自分の特性の深掘りもなかなかできなかったことを覚えています。

 

Sさん:発達障害についての本を買ったりもしたけれど、精神的にも体力的にもまいっている状態だと、本を開くことも難しいんですよね。休職期間中は、朝起きたり、食事をしたりという基本的な生活習慣もぐちゃぐちゃになってしまって。「このままではいけない、どうにかしなければ」と支援機関を調べて見つけたのが、LITALICOワークスでした。

 

Kさん:実は兄がLITALICOワークスを利用していたので、以前から興味は持っていました。倉庫会社に在職中に一度見学に行きましたが、「自分が通っていいのだろうか、自分より支援を必要としている人がいるのでは」という気持ちも。LITALICOワークスに通い始めたのは、会社を辞めてからです。

明るい雰囲気に惹かれて通所をスタート

――LITALICOワークスの利用の決め手はなんでしたか?
Sさん:第一印象がよかったですね!一度精神的に不安定になって会社を休職しているので、いかにも会社のような空間に通うのはハードルが高かったんです。その点、LITALICOワークスは、明るくカジュアルな雰囲気を感じて、楽しく通えそうだなと感じました。

 

Kさん:同じです!就労移行支援事業所という名前からハローワークのような場所をイメージしていたので、おしゃれな色合いの内装にびっくりしました。

 

Sさん:あと、センター長の笑顔がずるいほどすてきでした(笑)。

 

Kさん:分かる!あの笑顔は才能ですよね。見学から通い始めるまで少し時間があいたのですが、そのときにもセンター長が「体調はどうですか?」と気遣う電話をくださって。ここなら安心して通えると思いましたね。

 

――当初、LITALICOワークスに期待していたのはどんなことですか?

Sさん:まずは生活リズムを立て直して、働くための生活リズムに戻していきたいというのが最低ラインの目標でした。

 

Kさん:自分も、離職後は深夜まで起きて、昼過ぎまで寝るという昼夜逆転生活になっていたので、生活リズムの改善は期待していた部分ですね。それ以外は、LITALICOワークスへ通い始める前に描いていた目標や将来像はなかったかも。自分に合うところを見つけて就職できればいいな、とは漠然と思っていましたが……。

 

Sさん:あとは大人になってから発達障害だとわかったので、障害特性の理解がなかなか進んでいなかった。仕事をするうえでも、自分の特性は把握できたほうがいいかな、という希望はあったかな、と思います。自分ひとりだと本当に手探りで……。でも、同じ経験をしている人が身近にいるとは限らないから、なかなか周囲に相談もできないですよね。支援機関はそういう意味でも頼りになると思います。

 

Kさん:障害特性については、本当にその通り。自分の場合は兄から「障害者雇用で働くことを見据えて、LITALICOワークスに通ってみたらどう?」とアドバイスをもらっていたけれど、当時はそれを素直に受け入れられなかった。体調を崩してしまったけれど、一般雇用で働けていたという思いが、障害や特性を受け入れにくくしていたのかな、とも思います。

企業選びの基準は? 就職活動で大切にしたこと

――自分に合う会社を見つけるために、就活で意識したことや、企業選定でポイントにしたことはありますか?
Kさん:これまで複数の企業で仕事をしてきた経験からも、自分に合うかどうかは実際に入社してみないとわからない部分が大きい、と感じています。自分が重点を置いたのは、「LITALICOワークスと企業との連携」です。LITALICOワークスと企業との連携が密にとれていれば、たとえば配慮事項がなかなかうまく伝わっていないというときにも、LITALICOワークスに間に入ってもらいながらうまく解決できるのではないか、と考えました。

 

Sさん:なるほど!その視点はなかったです。僕は、自分の特性を受け入れてもらえるかどうかが最重要事項でしたね。LITALICOワークスに通うなかで、自分の特性との付き合い方が徐々に分かってきたので、それを実践できる環境で仕事をしたいという思いが強かったんです。たとえば、過集中して小休止がとれなかったときには、時間外でも臨機応変に休憩をとれることだったり、ノイズキャンセリング用の耳栓の使用許可だったり、そうしたことがあれば負担なく働けるのではないか、と思って。

 

Kさん:Sさん、おすすめの耳栓を見に、一緒に家電量販店に行ったりしたよね(笑)。

 

Sさん:あとは、自分の経験もいかして、ゆくゆくは障害のある方のサポートをしていけたらという夢も出てきて。特例子会社に就職できたら、というのも就活の際に希望していたことです。

働いて実感する、障害者雇用のメリットとは?

――おふたりとも、障害者雇用での就職を選択されていますね。障害者雇用か一般雇用かでの悩みはありませんでしたか?
Sさん:適切な合理的配慮(※)を受けることができれば、負担なく、パフォーマンスも高く働けるのではないかと思っていたので、障害者雇用での就職のほうがいいだろうな、と思っていました。あまり悩みはなかったかな。

 

Kさん:自分はかなり悩みました。一般雇用で働いていた経験もあったので、どこかで「障害者」というレッテルを貼られるようで抵抗感があったのかな。そもそも障害者手帳を取ることについても迷いがあって。でも、友人に相談したら「何がそんなにいやなの?」とサラッと聞かれたんですよね。障害をなかなか受け入れられない背景には、障害のある方に対する無意識のうちの差別意識があったのではないかと気づくきっかけになりました。フラットな視点で考えれば、障害者手帳を持つことには何のデメリットもありません。同じように障害者雇用についても、自分が今苦労していて、障害者雇用で働けるなら活用すればいい、とだんだんと気持ちが変化していきましたね。

 

Sさん:僕は前職が福祉関係ということもあって、健康な人でもいつ事故にあったり、病気になったりするかはわからない、ということを常に感じていて。だから、自分の障害についてもかなりフラットに受け止められたけれど、なかなかそうはいかない人も多いですよね。

 

Kさん:うん。でも、だんだんと途中から開き直っていったかな。LITALICOワークスで通所している周りの人を見ても、「この人も障害があるの?」と思う人もたくさん。発達障害は見た目にはわかりにくいと言われるけれど、当事者である自分でも他人の障害については気づかないことも多い。だから、やはり障害者雇用のほうが働きやすいのであれば、気後れせずに活用したほうがいい、と思えるようになりましたね。

 

(※)合理的配慮とは、雇用分野において障害のある方が働く上で困難となっているものを職場が過重な負荷にならない範囲で配慮を提供するものです。合理的配慮は「障害者雇用促進法」により、義務付けられています。

 

――今のお仕事環境はいかがですか?
Sさん:非常に恵まれた環境で働かせていただいているので、幸せすぎてこわいくらい(笑)。希望通り特例子会社に就職できて、在宅勤務と出社を組み合わせた柔軟な働き方で仕事をしています。合理的配慮もしっかりしてもらえて、充実感をもって働けています。来月からは、希望していたマネジメント業務にも携われるように!ワクワクしています!

 

Kさん:柔軟な働き方ができるって、すごく大切。突発的に体調が悪くなったり、体調の波で休みがちになってしまったりすることもあるのですが、今の会社は温かく受け入れてくれて、本当にありがたいです。

 

Sさん:うんうん、うちの会社も同僚が体調不良のときは、みんなでフォローしようという空気感があります。自分にもそういうことがあるかもしれない、と思うからみんなが寛容!

 

Kさん:そう、自分が体調を崩したときに休みやすいように、君もあなたも調子が悪いときは無理しないでくれ、という空気がある。それは障害者雇用で働くメリットのひとつですね。

問題解決の経験が自信につながった

Sさん:Kさん、企業選びの基準で「連携を重視した」ということだけど、LITALICOワークスと企業のつながりに助けられたことってある?

 

Kさん:以前、チームリーダーを任せられたときに、自分の作業をしながら、チームメンバーの育成、指導、サポートすることで、かなり負担が大きくなってしまって。思ったようにうまくこなせずに、精神的にも追い詰められてしまったことがあるんです。その際、現状の把握や業務量の調整について、LITALICOワークスが間に入って会社との打ち合わせを進めてくれた。自分が会社に直接掛け合っていたら、情報をうまく整理できなかったり、言わなくていいことを言って誤解を招いたりしたかもしれません。

 

Sさん:それは心強かったですね。

 

Kさん:また何かあっても相談できると思うと、仕事で少し負荷が高まったとしても、あのときのように不安定にならずにすんでいて。一度、問題を解決できたという安心感が、糧になっているなと感じます。

 

――今後の働き方や仕事についての展望、ビジョンを教えてください!
Sさん:希望していたマネジメント業務にチャレンジさせてもらえるので、経験を積んで、できることをどんどん増やしていきたいです。LITAICOワークスの支援員の人が自分に対してしてくれた関わり方は、マネジメントの際にも参考になると思っています。自分がしてもらってうれしかったことを、活かしていきたいです。

 

Kさん:自分は腰を据えて今の業務を続け、スキルアップをしていきたいです。現在、メガネの製造販売の会社で働いているのですが、広報宣伝のサポートとメガネの加工業務、どちらもやりがいがあり、充実しています。加工技術をさらに高め、クライアントのニーズに柔軟に対応できるようになっていきたいですね。

 

――ありがとうございました!

インタビュー:2023年7月8日

※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。

スタッフからのコメント

就労移行支援を利用するきっかけや目標は人それぞれです。Sさん・Kさんは対談の中で、診断が出た時の気持ちや、LITALICOワークスに期待していたこと、就職活動で大切にしていたことを、それぞれの視点でお話し下さりました。それぞれのストーリー、それぞれのLITALICOワークスの活用の仕方を覗けたのではないかと思います。 私達LITALICOワークスのスタッフは、皆さんそれぞれの状況や想いに向き合い、安心して働き続ける未来を一緒に描いていきます。 「就労移行支援は自分に合うのか」「どんな人が利用しているのか」「LITALICOワークスはどんな雰囲気か」まずは是非、気軽に見学や体験に足を運んで、私達スタッフと一緒に確かめていくことから始めてみませんか。
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