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LITALICOワークスを経て就職した精神・発達障害のある方を対象にした調査結果を発表しました。

LITALICOワークスを経て企業・団体等に就職し、現在就労中の方を対象に、「就職者アンケート」を実施いたしました。
今回はその中から、今年4月から施行される雇用義務化を目前に、近年雇用が急増している精神・発達障害のある方が就労後、長く職場で働き続けることにつながる要素を把握するため、「精神障害」「発達障害」のある方に対象を絞り、調査結果をまとめましたので、ご報告いたします。

[調査結果サマリー] 
■ 現在の職場で「働き続けたい」方と「働き続けたくない」方の満足度の差異
・ 7割以上が「働き続けたい」と回答。満足度が高い項目として「仕事の内容があっている」がトップに。続いて「業務上のコミュニケーションがうまくいっている」、「勤務時間/雰囲気/設備・環境があっている」が上位に挙がる。
・ 「働き続けたくない」方の不満度が高い項目は、「将来のキャリアへの希望」、「給与」、「雇用形態」が挙がり、将来の生活への不安が退職意向に繋がっていることがうかがえる。

■ 「職場以外のコミュニティ」の有無による差異
・ 「職場以外に所属するコミュニティ」がある方は、「コミュニティがない」方より生活・職場への満足度が高い
・ 一方、「雇用形態」「給与」の満足度はコミュニティの有無と関連性がなかった。

*集計対象者:就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を経て企業・団体に就職し、現在就労中の方のうち、「障害種別」で「精神障害」と「発達障害」と回答した556名の結果を集計しました(調査実施期間:2017年5月/方法:ウェブアンケートまたは郵送)。
※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100にならない場合があります。

[調査結果詳細]
<今の職場で「働き続けたい」方と「働き続けたくない」方の職場における満足度>
Q. 今の職場でこの先も働き続けたいですか?(単一回答)

Q1

回答者556名のうち、73.6%(409名)が「(とても/まあまあ」働き続けたい」と回答し、「(あまり/全く」働き続けたくない」との回答11.3%(63名)を大きく上回りました。次に、「働き続けたい」方と「働き続けたくない」方の差がどこにあるかを探るため、職場における複数の項目の満足度を比較しました。

「働き続けたい」方の職場での満足度が高かった項目
※下記の15の質問に「とてもそう感じる」「まあまあそう感じる」と回答した上位5項目を表示
「働き続けたい」方の満足度が高い項目の上位に大きな差はなかったものの、「働き続けたくない」方と比べると、「仕事の内容」「雰囲気」「設備・環境」といった項目で満足度に50ポイント以上の大きな差がありました。
Q2

「働き続けたくない」方の職場での不満度が高かった項目
※下記の15の質問に「あまりそう感じない」「全くそう感じない」と回答した上位5項目を表示
「キャリアの希望」「給与」「雇用形態」など、将来への生活に向けた見通しへの不安が、長期的な就労への意向と関係していると推測されます。
Q3

※質問15項目
・満足しているか(職場の人間関係/雇用形態/給与)
・自分にあっていると感じるか(勤務時間/仕事の内容/設備・環境/雰囲気)
・コミュニケーションがうまくいっているか(業務上/業務外)
・仕事にやりがいを感じるか ・自分の力を発揮できていると感じるか ・仕事の成果を適切に評価されていると感じるか
・キャリアに希望が持てると感じるか ・障害について理解されていると感じるか
・業務上必要な障害に対する配慮をされていると感じるか

「働き続けたい」方と「働き続けたくない」方で満足度に差があった雰囲気・環境とのマッチは、働き始めてからでないとわからず、ミスマッチが発生しやすい項目といえます。近年、障害者雇用において雇用前にインターン期間を設け、実際の職場で業務を体験することが各地の労働局でも推奨されています。積極的に実施する企業も増えてきており、ミスマッチの解消が期待されます。

一方「働き続けたくない」方の多くは「キャリアの希望が持てない」ことに不満を感じる割合が非常に高く、「働き続けたい」方との差は約70ポイントありました。「給与」「雇用形態」への不満度も高く、将来の生活への不安感が、就労継続意欲に関わることがうかがえます。長期就労に向け、キャリアの希望をいかに作っていくかは、障害のある方の就労が増えるにつれ、より大きな課題となっていくと考えられます。

<職場以外に所属するコミュニティが「ある」方と「ない」方の割合と生活における満足度>
Q. 職場以外に所属するコミュニティがありますか?(単一回答)

Q4
現在の職場以外に所属するコミュニティがあるか聞いたところ、7割近くに当たる68.9%(383名)の方が「職場以外に所属するコミュニティがある」と回答しました。

Q. 所属しているコミュニティの種類を教えてください(複数回答可)
Q5
所属するコミュニティが「ある」と回答された方にどのようなコミュニティに属しているかを聞いたところ、「LITALICOワークスの卒業生コミュニティ」が43.3%(166名)と最も多くの回答がありました。

LITALICOワークスでは、就職後も就職した方々との交流会を開催し、繋がりを継続できる仕組みをつくっています。参加は任意ですが、半分近くの方がコミュニティとして所属感を得ていることが分かりました。今後もより良いコミュニティ作りを追求していきたいと考えています。

次に、上記のようなコミュニティの有無による影響を探るため、コミュニティが「ある」方と「ない」方で以下の生活や職場における満足度を比較しました。

※質問7項目
・満足しているか(生活/職場) ・職場における満足度(職場の人間関係/雇用形態/給与)
・1年前と比べて人生はよくなったか ・入社時と今を比べて体調はよくなったか
※各項目はそれぞれ「とてもそう感じる」「まあまあそう感じる」「どちらでもない」「あまりそう感じない」「全くそう感じない」の5段階で質問

Q6

7項目のうち、赤枠で囲んだ4項目において、コミュニティが「ある」と回答した方の満足度が「ない」方に比べて10ポイント以上高い結果となりました。職場における「雇用形態」「給与」の満足度に関しては差が1ポイント未満でコミュニティの有無と関連が見られなかったものの、総合的な「職場の満足度」は約12ポイントの差が生じていることから、コミュニティに属することで総合的な職場の満足度にも好影響を与える可能性があると考えられます。

■ 今回の調査結果から
今年4月からの精神障害者雇用義務化とそれに伴う法定雇用率の引き上げにより、精神障害のある方を雇用する企業は年々増えています。一方で、2017年4月に発表された「障害者の就業状況等に関する調査研究※」によると、精神障害のある方の1年後の職場定着率は49.3%と半数以下となっており、今後の就職者の増加に伴い、職場への定着が更なる課題となることが予想されます。
今回の調査では、現在の職場で「働き続けたい」方と「働き続けたくない」方それぞれの職場への満足度・不満度の高い項目を見ました。入社後にしかわからない雰囲気や環境のマッチングは、満足度に大きな差がある項目であり、LITALICOワークスでも雇用前のインターンを採用企業に積極的に勧めることでミスマッチを防ぐことに注力していきます。
また職場以外のコミュニティの有無によって、生活面や職場満足に違いがあることも分かりました。LITALICOワークスでもさらに満足度を高められるよう、就職後の卒業生コミュニティの積極化を通し、「働く」ことだけでなく、人生そのものの満足度を高める支援を目指していきます。
※独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者の就業状況等に関する調査研究」(http://www.nivr.jeed.or.jp/download/houkoku/houkoku137.pdf )

【参考:集計対象者の内訳】
<性別>男性 388名(69.8%)、女性 167名(30.0%)、その他1名(0.2%)
<年代>20代 156名(28.1%)、30代 193名(34.7%)、40代 154名(27.7%)、50代 51名(9.2%)、60代 2名(0.4%)
<雇用形態>正社員 65名(11.7%)、契約社員/嘱託社員 215名(38.7%)、パート/アルバイト 263名(47.3%)、派遣社員 1名(0.2%)、その他 12名(2.2%)
<月額給与(手取り)>10万円未満186名(33.5%)、10万円以上15万円未満265名(47.7%)、15万円以上20万円未満 90名(16.2%)、20万円以上 15名(2.7%)
<1週間の合計勤務時間>20時間未満 54名(9.7%)、20時間以上30時間未満 138名(24.8%)、30時間以上40時間未満 250名(45.0%)、40時間以上 114名(20.5%)

 

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