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障害のある方の就職事例

アルコール依存症・うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -物流・経理事務-

アルコール依存症・うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -物流・経理事務-

止まっていた時間が動きだした

男性/50代/物流/経理事務

アルコール依存症・うつ病(精神障害)

明るく信頼も厚い性格が一変

Nさんは、もともとは明るく社交的で、後輩の面倒見もいいと評判の方でした。しかし、最愛の奥様を病気で亡くされたことがきっかけで、生活が一変してしまったといいます。

Nさんは、当時の様子をこのように語ります。
「うちは子供がなく、家に帰っても私ひとり。何をしても楽しくないし、食欲もないので、家に帰ると酒ばかり飲んで寂しさを紛らわせるようになってしまいました」

元々お酒は嫌いではなかったそうですが、笑い上戸の楽しいお酒としてたしなまれていたそうです。しかし、憂さ晴らしに飲むお酒の量は増える一方。酔いがさめると寂しさや悲しさを思い出して自己嫌悪に陥ってしまうため、またお酒を飲む。こうした悪循環でお酒への依存が進み、アルコール依存症やうつ病の諸症状が見られるようになっていきました。

そして、仕事もだんだん休みがちに。半年の休職の後、結局退職せざるを得なくなりました。以降、Nさんは10年以上にわたって入退院を繰り返し、うつ病とアルコール依存症の治療を受けることになります。

断酒会の仲間が就職したと聞き・・・

もちろん、Nさんも「このままでいい」と思っていたわけではありませんでした。お酒をやめ、病気を治し、もう一度バリバリ働きたいという気持ちもあったのです。そこで断酒会に参加し、お酒を断つことに成功しました。

しかし、アルコール依存症は、お酒を断つことに成功しただけでは治ったとはいえません。一滴もお酒を飲まない状態をずっと継続しなくてはならないのです。Nさんは断酒に成功したあとも断酒会に出席し続けました。

そして、体力が回復し始め、気力も少し戻ってきたかな、というころにこんな話を耳にします。

「断酒会の仲間で、私と同様アルコール依存症とうつ病に悩んでいた人が、LITALICOワークスの就労支援を利用して就職に成功したという話を聞いたんです。私も50代にさしかかり、まともな就職は無理だろうなとあきらめていました。しかし、その人も私と同世代。ひょっとして、自分ももう一花咲かせられるかもしれない。そんな、藁にもすがる気持ちでLITALICOワークスを訪ねてみたんです」

Nさんは元々第一線で活躍していた方です。幸いアルコールの過剰摂取による脳機能障害などもなく、断酒さえ続ければ、会社員として働く上で何も問題はないものと思われました。

しかし、仕事を離れて10年以上のブランクと、50代という年齢が大きな壁となって立ちはだかります。希望職種は、以前と同じ物流の経理事務職。実は、10年のあいだに物流業では大きな変革が相次ぎ、昔の知識やノウハウがそのままでは通用しなくなっていました。また、得意だったパソコンの技術もすっかり時代後れのものとなってしまいました。

何もかも、一から勉強し直し。採用試験を何社受けても、不採用に次ぐ不採用。Nさんにとってつらい日々が続きます。

私たちは「Nさんがまた気力を失ってしまうのではないか」とハラハラしながら就労支援を続けました。

職場実習をできるだけ多く体験していただき、現場の活気に触れることで「働きたい!まだまだやれる!」という意欲をかき立て、自信を持っていただけるよう工夫したりしました。

そしてついに。数十社目にエントリーした会社で、Nさんは念願の経理事務職に採用されたのです。

充実した日々。そして奥様への変わらぬ想い

「入院していた期間も含めると、ずいぶんかかりましたが、やっと『止まっていた時間が動き始めた』という気がします。LITALICOワークスに通って多くの人と関わるようになって、外のいろいろなことに目を向けられるようになったのが大きいと思います。それまでは自分の中に閉じこもって、妻が生きていたころの『止まった時間』ばかりを見つめていましたからね・・・」

インタビューの際、Nさんは遠い目をしてこう言いました。
「お仕事が決まるまでの長い期間、どうやって耐えることができたのですか?」と尋ねてみると、「LITALICOワークスで、こう言われたんです。『天国の奥さんを安心させてあげたいですね』って。」

「仕事が決まらなかった日々は、本当につらかった。でも、いつかあっち(天を指さして)で妻に会ったとき、『私が死んだせいで、あなたの人生も台無しになった』なんて泣かれたら、あわせる顔がないでしょう。時間はかかったけど、もう大丈夫。俺はこっちで元気にがんばっているから、お前も天国で笑って待っていてくれ。妻にそう言いたい一心でがんばり抜くことができました。」

「先日、妻の墓参りに行ってきましてね。ようやくいい報告ができましたよ」Nさんの目元が少し光ったように見えました。お話を聞いていて、こちらも目頭が熱くなりました。

職場の方にお聞きすると、Nさんは明るく活発で、若い人以上にハツラツと働いていらっしゃるとのこと。そして最近はコーヒーに凝っていて、職場の同じ趣味を持った仲間と活発に交流なさっているそうです。

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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