うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -小売・バックヤード-
置かれた場所で咲きなさい
女性/50代/小売業/バックヤード
うつ病(精神障害)
真面目すぎて周りが気になる、そしてうつ病に。
職場や同僚と上手くいかず、悩む人は少なくないかと思います。Kさんもその1人でした。Kさんは何事にも一生懸命で真面目であり、コミュニケーション能力も高く、職場の中でも中心的人物として神奈川にある企業で働いていました。
ただ、真面目すぎるがゆえに周りのことを過剰に気にしてしまう傾向があり、仕事内容や同僚・上司などに対して日に日に不満は溜まる一方でした。溜めてしまった不満はやがてストレスとなり、次第にKさんを苦しめました。体の不調を感じたKさんは病院に行き、そこでうつ病(精神障害)だと診断されます。
うつ病は決してめずらしいものではありません。さまざまなストレスにより慢性的に気分が憂鬱になり、何事に対してもやる気の出ない状態が長期間続いたとき、うつ病と診断されることがあります。
通院するうちに少しずつ症状がよくなり、Kさんは次第に働きたいと思うようになりました。もともと働くことは好きでしたし、パソコン操作なども十分なスキルがありました。しかし、Kさんは年齢や体力面などで不安に感じることも多く、就職活動への一歩がなかなか踏み出せずにいました。そのようなとき、通院先のケースワーカーからLITALICOワークスの就労支援をすすめられ、「なにか1つでも前に進みたい」という思いから通うことを決めました。
就労支援の開始
KさんはLITALICOワークスに来るまでずっと1人で就職活動について悩み、求人に応募しても上手くいかないことへの焦りからイライラを強く感じるようになっていたようです。1人で抱え込んだ理由として、うつ病について周りに相談するのも気が引けるし、自分の悩みはきっと分かってくれないだろうという気持ちが強かったからだと話されます。
LITALICOワークスに通うようになって、その問題は少しずつ解決していきます。自分と同じような悩みを持ち、就職を目指す仲間が周りにいることでKさんの中にあった働くことへの不安が徐々に軽減されていくことを実感していきます。
ある日、横浜市内の企業から求人がきていることをLITALICOワークス内で利用者全員に呼びかけたところ、普段は自ら率先して応募することのなかったKさんが手を挙げました。これまで何度も求人案内の提案はおこなってきたものの、なかなか一歩踏み出せなかったKさんに、今回手を挙げた理由を聞くと、「家から近いから。遠くまで通勤するのは体力的に不安があるので、働くなら家の近くで、と思っていたんです」と話してくれました。この求人に「これも何かの縁」と感じたKさんは、これまで躊躇していたことが嘘のように就職活動を開始しました。
LITALICOワークスでは本人の動きと並行して、企業側に雇用前実習を打診しています。Kさんはその雇用前実習も順調に進み、企業側から「これだけ一生懸命に働いているのに、ただで働いてもらっているようでこちら側が申し訳ない」とのこと、実習終了後に正式採用となりました。
職場で得た教訓
就職が決まり働き出してから、スタッフとの定着支援の面談で、Kさんはうれしそうに話されました。
「置かれた場所で咲きなさい、というのをしみじみ感じます。今までは職場や同僚、仕事の不満ばかりが目について転職もしていたけれど、自分で自分の生きる場所を狭くしているだけでした。多少の不満があっても、まずは与えられた仕事を一生懸命にしようと思います。」
そう話されたKさんは今まで見たことがないくらい自信と活力に溢れ、今の自分に誇りを持って働けているということを感じ取ることができました。
仕事以外でも、Kさんは茶話会や同窓会に参加され、近況を利用者さんにお話しています。また地域のコミニティにも参加されているようで、自らいろいろなことにチャレンジしているとのことです。
※同窓会:OBの方がプログラム内容やメニューを企画から考えて開催する会
※茶話会:月1回、定期的に開催している利用者さんやOBの方が集まってお話しする会
※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。