うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -福祉用具・接客-
うつ病を明かさず、一般求人での就職支援
男性/20代/福祉用具/接客
うつ病(精神障害)
うつ病と診断、高まる再就職への不安
任された仕事は最後までやり通す。周りが困っていたらつい手を差し伸べてあげたくなるし、頼まれたことは断れない。Kさんはそのような方で、加えてリラックスすることや気分転換することがとても苦手でした。休みの日も頼まれた仕事などを延々とやり続け、いつも何かに追われているような感覚に捕らえられていたそうです。
追い詰められたKさんはついに休職することに。しばらく休んでも一向に回復をしなかったため、精神障害なのではないかと家族に促されて病院に行き、そこで「うつ病」だと診断されます。
うつ病は聞いたことがあったようでしたが、Kさんは自分が「うつ」になったことに大きな衝撃を受けます。「精神障害を治して、自分はまた就職することができるのか、就職したとしても仕事を続けていくことができるのか……凄く不安でした」と話していました。
そんな不安のなか、たまたま通りすがりに就労移行支援事業所LITALICOワークスの看板を見つけたことがきっかけで利用することになります。はじめから「最初から週5日で来ます!」と強い意気込みで、Kさんの利用が始まりました。
就労移行支援の開始……焦りから再び入院へ
LITALICOワークスの就労移行支援の利用がはじまったKさん、それは決して平坦な道のりではありませんでした。頼みごとを断りきれず抱えすぎてしまう傾向があり、カリキュラムでもぎりぎりまで頑張ってしまい、利用の途中で入院することになりました。
「早く就職しなければ」という焦りから、眠れない日が続いていたのです。LITALICOワークスの利用をやめる、ということも考えましたが、「まずは退院を目指す」という小さな目標を立てることにしました。退院するまでのステップを細かく設定することで、無理なく1つ1つクリアしていくことができるようになりました。そして病院の職員さんの手も借り、無事退院することができました。
退院後にKさんは大きな決断をしました。それは「病気だということに引け目を感じてしまって、かえって無理をしてしまう。だから、うつ病はあかさずに一般求人で雇用を出している会社に就職する!」という方向に転換することでした。
ありのままの自分を受け入れられるようになった
うつ病を明かさずに就職することは正直、不安もありました。しかし、Kさんの意思を尊重して一般求人で探していくことになりました。また、「断りベタ」という課題について繰り返し面談をおこなうようにしました。
福祉系の仕事を希望していたので、福祉用具を扱う企業の求人に応募することにしました。「体調不良を訴える」ことができるのかどうかを心配していましたが、Kさんは「できないことも含めて自分だと考えて、仕事をしていきたい」と、その頃には少しゆったりと物事を捉えていけるような考え方に変わってきました。
希望通り一般求人で就職活動し、うつ病を明かさず就職することができました。雇用後も仕事をしていくなかでKさんは「仕事をする前と後では大きく違ったことがある」と話されます。それは、さまざまな障害があるお客様と接する仕事を通して「自分自身の苦手」をさらに受け入れられるようになった、ということだそうです。
Kさんは「ありのままの自分を受け入れる」ことができるようになり、現在でもいきいき仕事していることを面談や茶話会で話しています。
※茶話会:月1回、定期的に開催している利用者さんやOBの方が集まってお話しする会
※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。