知的障害の仕事・就職事例 -軽作業-
長く働くために、企業・就労支援で連携サポート
女性/30代/リフォーム業/軽作業
知的障害
人間関係に不安があり仕事が続かないAさん
仕事を始めても、数ヶ月で辞めてしまうAさん。集団で過ごす中、人間関係がうまく構築できないことに悩んでいました。
「前の上司も、その前のマネージャーも、みんなダメなのよ。ぜんぜん分かっていないんだから」
前職のことを尋ねると、必ず「分かってないんだから」とこぼすAさん。
ものを作ることが好きなAさんは、「次こそは仕事を続けたい、ものを作るような仕事がしたい」と、地域の就業・生活支援センターに相談。相談先でLITALICOワークスの就労支援を紹介され、利用を開始しました。
手先の器用さを活かし、リフォーム業へ就職
裁縫が好きというAさん。手先の器用さはピカイチで、簡単な作業内容なら誰よりも早く終わらせてしまいます。
しかし、やはり課題は人間関係。LITALICOワークス内でも主に担当していたスタッフにべったりと甘えてしまったり、嫌いなスタッフがいると不機嫌になったりと、ムラのある行動が目立っていました。
そこでスタッフとAさんで何度も話し合いを重ね、Aさんの「仕事がしたい」「裁縫が好きだから、そんな仕事がしたい」という想いを再確認。指示理解の程度なども含めてAさんのできることを確認していきました。
その甲斐あってか、無事、リフォーム業への就職が決定しました! 喜ぶAさんですが、一方でスタッフは不安でした。
「Aさん、大丈夫だろうか……」
人間関係の構築の課題は完全に解消されたわけではありません。しかし、勤務初日は徐々に迫ってきていました。
職場定着を目指して試行錯誤
Aさんの就職から1か月後、スタッフが企業訪問をしたときのことです。仕事をするAさんを見て、スタッフが一言つぶやきました。
「あぁ、これは駄目かも……」
何か嫌なことがあったのか、ふてくされたように仕事をするAさん。LITALICOワークスで主に担当していたスタッフを見かけると、ぱっと顔を明るくして、手を大きく振りました。
「仕事は良くしてくれるのですが、特定の社員と不仲になったり、依存的になったりしてしまうようです」
元気に手を振るAさんを見ながら、職場の担当の方がポツリとつぶやきます。
「あとは、上司からの指示と周囲のスタッフで伝達事項が異なると、どれが正しくて、どれを優先するのか、混乱してしまうみたいです。こちらの指示がうまく伝わっていないことも問題ですが、混乱するとさらに不機嫌になってしまって……」
担当の方からの話を聞き、スタッフは急きょ、定着支援の流れを変更。職場を訪問するのではなく、週に1回、LITALICOワークスへ来てもらうように調整しました。
会社には、その都度本人との面談内容を報告し、会社としてできること、LITALICOワークスとしてできることを整理していきました。Aさん自身にも、仕事としてすべきことを整理して、会話する時間を設けていきました。
「あの人は分かっていないけど、じゃあ私がちゃんとしなきゃいけないのね」
最近では、「私がちゃんとしなきゃ」が口癖になっているAさん。Aさんも少しずつ変わっている様子です。試行錯誤を重ねながら、Aさんが安心して働いていけるように引き続きサポートしていきます。
※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。