広汎性発達障害(発達障害)の仕事・就職事例 －軽作業－

自分の強みと得意をみつけていく

発達障害のあるBさんは、専門学校を卒業後、LITALICOワークスを利用することにしました。Bさんは学生時代から周囲の人とのコミュニケーションが苦手な意識があり、また、どのような仕事が自分にあうか悩んでいました。LITALICOワークスの就労支援スタッフは、Bさんの強みがどこにあり、どのような職場や仕事があうのかを十分に検討しながら支援していくことを決めました。

LITALICOワークスの利用を開始した当初、Bさんはプログラムの最中に眠ってしまうことが幾度もありました。また、自己発信のコミュニケーションが少ないため、質問をされても答えるのに他の人の倍以上の時間が必要です。場合によっては、そのまま黙りこんでしまうこともありました。そのため、Bさんが継続して作業に集中できる方法や、意思表示しやすい環境の作り方を、一緒に考えていくことにしました。

プログラム中に寝てしまうことに関しては、寝てしまう背景や集中して取り組める業務・環境について考えるアプローチを重ねました。Bさんに作業系のプログラムを複数実施してもらう中で分かったことですが、Bさんは途中で寝てしまうものの、指示された作業は正確にできることが判明しました。また、マニュアルを見ながら組み立てるプログラムも対応できました。

このことから指示が明確な業務やマニュアルがある業務であれば、問題なく対応できることも分かりました。また、BさんはLITALICOワークスを利用してく中で、毎日遅刻や休みもなく通い続けることが出来ているという強みに気づいていきました。

答えやすい環境設定でトレーニング。企業でも高評価に

コミュニケーション面で、Bさんは「うまくできること・うまくできないこと」がある程度わかってきたら、次はBさんの強みが活かせる企業インターン先を探していきました。就労支援スタッフが候補となるいくつかの企業をあげながら、Bさんに興味のある業務を選んでもらいました。そして、企業インターンをおこなうために必要なことを、LITALICOワークス内で事前に練習を重ねました。何度も練習する中で、プログラム中に眠ったり集中力を切らしたりすることも少なくなり、受け答えにも慣れていてきました。

そして、インターン先の企業ではBさんが作業途中に眠ってしまうこともなく、「指示したことについて正確に、丁寧に作業してくれる」と、企業から高い評価をいただきました。Bさんご自身が心配していたコミュニケーションについても、「きちんと報告ができていた」というフィードバックをいただきました。

高評価で就職へ。今は「仕事が楽しい！」

企業インターンを経て、自信がついてきたBさん。次は就職活動をおこなう段階となりました。

就職活動をはじめる前に、ハローワークから求人票が掲載されている冊子をもらい、Bさんご本人に「対応できそうな業務・できなさそうな業務」を振り分けてもらいます。その中に、ちょうどLITALICOワークスに届いていた求人として、すでに障害者雇用の就職実績がある企業の求人がありました。職場はBさんの自宅からも近く、Bさんが希望していた作業系の仕事だったこともあり、さっそくLITALICOワークスの就労支援スタッフと一緒に見学に行きました。

見学では、企業側もBさんも良い感触がありました。雇用前実習をおこなって、就業できそうかどうか確認を進めることになりました。そこで、企業の担当者から「できることとできないことについては理解できたが、実際の仕事に置き換えたとき、Bさんにどんな仕事が適しているか分からない」という相談がありました。

LITALICOワークスの就労支援スタッフは、雇用前実習中にBさんと共に企業の中に入り、仕事内容の切り出しを行っていきました。また仕事の上で、ご本人にとって必要な配慮を企業側に共有することで、Bさんが働きやすい環境を整えました。これにより、企業の担当者の不安を解消することができ、無事にBさんは就職することができました。

就職した後は、企業の担当者と連携しながらBさんが安心して働き続けられるようにサポートしています。定期的に行っている3者面談では、企業の担当者から「ほかの人よりも周囲の状況に気がついて清掃をしてくれたりするので、助かっている」といった評価もありました。

Bさん自身も自分の気持ちを以前より話せるようになり、「仕事が楽しい！」という言葉を聞くようになりました。これからも、Bさんがより働きやすくなるように関係する方々と協力しながらサポートしていきます。

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。