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障害のある方の就職事例

ADHD・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -調理補助-

ADHD・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -調理補助-

40歳の誕生日までに就職する!という夢

女性/40代/飲食業/調理補助

ADHD・自閉症スペクトラム障害(発達障害)

「私に障害なんかない」

食べることや料理をすることが大好きなMさん。数々経験したアルバイトの中でも、特に喫茶店での仕事が楽しかったそうです。サラダの盛り付け方を工夫したりドレッシングのさじ加減を調整したり、小さな達成感が自信にもつながったと語ります。

そんなMさんは幼少期の頃より周りから浮いているような感じがあり、父親から「お前は障害なのではないか」と言われ続けてきました。5歳の頃に、たまたま橋から落ちてしまって入院した際「頭部強打により、てんかんの影響が出てくる可能性が高い」との曖昧な診断を受けてから13歳に至るまで、服薬と通院を繰り返してきました。

しかし、1度も障害と診断された事はありません。
成人を迎えると父親から「この先普通に働くのは難しいかもしれない」と心配されました。

「自分に障害はない」という強い気持ちを持って、アルバイトを転々とするMさんですが、自身の中では常に「なぜか人との意思疎通がうまくいかない」という課題がありました。

例えば、アルバイト先で指導を受けると「怒られた」と感じてしまいその場で泣き出してしまったり、遅刻しそうになった時の電話で自分の名前を言わなかったり、バイト先の仲間に意図せずに失礼なことを言って怒らせてしまったり。

対人トラブルが多くなり、抑うつ状態になってしまったMさんは服薬と通院の日々が再開……とうとう大好きな喫茶店の仕事も退職してしまいました。

診断に葛藤と安堵、今できることを探す

30代半ばに差し掛かった頃です。周囲に子育てや仕事などで頑張っている友人が増え、「自分は行き遅れたのではないか」「年齢のせいで就職できないかもしれない」という不安と焦りでいっぱいに。「家族から離れて自立しなければ」と自分を追い込み、ストレスで体調を崩してしまうことも少なくありませんでした。

ある時、友人から「もしかして発達障害かも?」と言われたMさん。その当時は、今のようにインターネットも発達しておらず、「発達障害」ははじめて耳にした言葉でした。それをきっかけに病院へ足を運ぶと、「自閉症スペクトラム障害(発達障害)」と「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」と診断されました。

これまで「なんでうまくいかないんだろう」とずっと悩んでいたMさんは診断された時、障害があることを受け入れられない自分と、自分が悪いわけではなかったんだという安堵感との葛藤があったと言います。

その後、Mさんの中で「40歳までには再就職したい」という気持ちが湧き上がりました。診断を知った父親から「就労継続支援B型」で働くことを薦められるも、自分の力で何とかしようとインターネットで調べ上げ、障害のある人の一般企業への就職をサポートする「就労移行支援」の存在に行き着きました。

今の自分に必要なのはここではないか、と思いLITALICOワークスへ連絡。見学・体験を経て、サービスを利用することに決めました。

「困りごとを言語化」「人を頼る」苦手を克服

「困りごとを言語化」「人を頼る」苦手を克服

生活のために週末だけ単発のアルバイトをしながら、LITALICOワークスには週3~4日のペースで通っていたMさん。

LITALICOワークスには一人ひとりに合った「働く」を見つけるための、数々のプログラムやトレーニングがあります。Mさんはこれまでの失敗体験からSST(ソーシャルスキルトレーニング)などの「コミュニケーションプログラム」や「ストレスマネジメントプログラム」を重点的に、人との距離感や人間関係によるストレス軽減の仕方を習得できるよう懸命に取り組みました。

例えばアルバイト先で、怒られたことに対して急に泣き出すのではなく「なぜ怒られてしまったのか」「どうすればよかったのか?」など1つずつ丁寧に掘り下げて振り返りました。他にも、困りごとを伝えるためにクッション言葉や敬語を用いて言語化する方法を学んだり、つらい気持ちや体の不調を明確にするために「心と体のメーター日記」をつけて面談で振り返ったりしました。

Mさんはこれまで苦手なことを何とか自分ひとりで解決しようとする完璧主義な面があり、周りの人に頼ることもせず苦労してきたことが多くありました。「心と体のメーター日記」で、はじめの頃はできない事ばかりをいくつもあげてしまうことが目立ったものの、頼れることは頼るようにと何度もスタッフに促されたことで「自分1人ではうまくいかない」と気付いたMさんは気持ちが少し楽になったと言います。

これまでの体験は全部無駄じゃなかった

Mさんは「40歳までには絶対に就職する!」という目標がありました。当時は既に30代後半。LITALICOワークスに通いながらも、刻々と迫るタイムリミットの焦りが出る中、Mさんの希望する飲食業での雇用前実習の話が2社飛び込んできました。

アルバイトの経験が生き、仕事の立ち回りや動作がスムーズで失敗が少なかったこと、LITALICOワークスで学んだコミュニケーション力が発揮されたことなどから、2社ともに非常に高評価で「ぜひ来てほしい」とのお返事をいただきました。

「これまでの経験が役に立ってよかった」とこぼすMさんの表情は輝いていました。40歳を就職のリミットとして考えていただけに、どれほどの達成感だったかは言うまでもありません。

就職先では、なんと店長がバースデーケーキを準備! お店で40歳のお祝いをしてくれた、と嬉しそうに語ってくれました。就職後の定着支援面談でも目立った問題はなく、最近では魚の焼き加減や野菜の盛り付け方などを店長に意見するようになるなど、人との意思疎通も問題なく図ることができています。Mさんは、現在も職場の皆さんと順調にお仕事を継続されています。

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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