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障害のある方の就職事例

高次脳機能障害(精神障害)の仕事・就職事例 -品出し-

高次脳機能障害(精神障害)の仕事・就職事例 -品出し-

周りの不安を振り払い就職

女性/40代/サービス/品出し

高次脳機能障害(精神障害)

頭部打撲が時を経て高次脳機能障害へ

高校生の時に平均台から落下し、頭部を打撲してしまったHさん。その時は精密検査をしたものの大事には至らず、後遺症もなく通常通り生活をしていました。しかし20代前半に、めまい・激しい頭痛に襲われたり記憶が飛んでしまったりと、今までにない違和感を覚えるようになりました。

はじめは風邪かと思っていたそうですが、アルバイトを数週間休んでもいくら寝ても一向に回復することはなく、病院で検査しても原因不明。しばらく病院を転々としていました。30歳になってからようやく脳脊髄液が漏れていることが判明し、すぐに手術入院しました

退院後しばらく休養し、電話窓口対応の仕事を6年以上勤務していました。40歳になる直前にHさんに異変が起こりました。今まで通り働いているつもりが、幻聴が聞こえたり徘徊するようになったりして、同僚が心配して上司に報告。上司が職場での状況をHさんの母親に伝えました。

Hさんはご家族との折り合いが悪く、上司が母親に状況を伝えたことに納得がいかず感情をあらわにしてしまいました。検査や通院で欠勤が続いていたこともあり、その一件の後退職されました。

母親が主治医に現状を説明した所、高次脳機能障害の専門医を紹介されることに。専門医で脳の頭部損傷が原因で高次脳機能障害と診断されました。手術後、1ヶ月に1回の通院とリハビリを兼ねた地域活動支援センターへ通いながら、Hさんは社会復帰を望んでいました。

プログラム体験を通して見える特性

地域活動支援センターからの紹介でLITALICOワークスへ見学にきたHさん。「コミュニケーションは問題ないと言われているので一般就労したい」と意気込んでいましたが、地域活動支援センターの担当者からは「記憶障害・注意障害があり、たまに怒りっぽくなる。

医師からも言われていますが、一般就労は難しいのではないか」とのこと。スタッフはHさんが一般就労を目指しているので、一緒に頑張る決意をしまずは体験をすることを勧めました。

見学時は記憶障害など気になりませんでしたが、プログラム体験初日を終えた後に感想を聞いてみると「明日も頑張ります」と張り切っていたHさん。体験3日目の最終日。「いつから通えますか」と前向きに意欲を見せるHさんに、スタッフは「LITALICOワークスへ通うには、行政への申請などで1ヶ月以上かかることもある」と伝えました。

利用までの手続きを経て、HさんがLITALICOワークスの初日を迎えたのは体験から1ヶ月半後でした。しかし、開始時間になってもHさんの姿はありません。

スタッフが連絡すると道に迷っており、事業所までたどり着けないとのこと。どこにいるか説明してもらうと、全く違う所にいました。1時間ほど経ってから他の利用者と合流しました。新しい所に行こうとすると迷うことがあると聞いていたため、スタッフはこの体験を今後のサポートに生かすことに。

緊張で失敗の連続

Hさんは面談で家族との関係が良くないこと、社会的に認められたいと思っていること、一般就労をしたいけれど周りの協力が得られないことなどいろいろとスタッフに話してくれました。

普段は穏やかで真面目にプログラムや部署活動(事業所内に架空の会社・部署を作り担当部署を決めて活動すること)に取り組んでいましたが、いきなり怒り出すことが稀にありました。

何で怒っているのかわからず、他の利用者はびっくりするも事前にスタッフからHさんの特性を聞いていたので、席を外したりどうしたのか理由を聞いたりして、事なきを得ていました。

スタッフはHさんが面談で言っていることと実際にやっていることが違ったり、忘れてしまったことを何度も質問したりするのでメモを取ることを提案し、同じ質問を繰り返す場合は「それ〇回目の質問ですよ」と伝えるようにしました。スタッフからの指摘を受け、メモを見るというトレーニングを繰り返しおこないました。

企業インターンで事務職を体験する機会がありました。インターン期間は2日間、その間メモを取ることは必須と理解していました。しかし緊張しながらの作業、慣れない場所、周りは知らない方ばかり……分からないことがあるとついメモを取らずに質問していました。

インターン後、企業担当者からはミス・物忘れが多く、指示したことができていないとのフィードバックがあり、振り返り面談で反省しつつ「事務は向いていない」と落胆してしまったHさん。スタッフは「事務職だけが就職ではない」と励ましました。

働くイメージがついた企業説明会

面談するたびに「家族や医師から就労継続支援事業所B型を勧められる」と落ち込んでいたり、就職活動で書類が通らなかったり、希望する求人が出てこなかったりしても、Hさんは就職することを諦めることは1度もありませんでした。

前向きなHさんを応援したいスタッフは事業所でおこなう企業説明会のプログラムに参加することを勧めました。その時は2つの企業説明会があり、その中の1社はLITALICOワークスの卒業生もたくさん就職している企業でした。

事例を踏まえて障害のある方がいろいろな働き方をしていることを聞いたHさんはプログラムが終ると「私にとって働きやすい環境のある会社だと思った。企業インターンに行きたい」とスタッフに申告。その企業の職種は品出しでした。

今まで企業インターンや就職活動をしていても、ここだと思う企業が1つもなかったためスタッフもうれしくなり早速人事担当者に連絡し、スケジュール調整をしました。

就職活動をしていても、何が向いているのかわからないともやもやしていたHさんが、今まであまり参加してこなかった作業系のプログラムを選択し、品出しで働くためのトレーニングを繰り返しおこないました。

企業インターンは大きく2種類に分かれます。企業体験実習と雇用を前提とした実習です。Hさんの場合、雇用前提の企業インターンはどうかと企業担当者から連絡がありました。

いざ希望の企業インターンを迎え、目をキラキラさせて担当の方の話を聞いているHさんを見ていたスタッフは、「あんなに目を輝かせている所をはじめて見た」と言うほど、とても真剣かつ楽しそうに説明を受け、働いていました。

5日間の企業インターンを終え、Hさんの意思はさらに強くなっていました。企業からのフィードバックも「真面目に取り組んでいて、わからないことはきちんと質問できていた」と高評価で採用の連絡がきました。

Hさんは「もう就職できないかと少し思っていたので、すごく嬉しい」と涙ながらに大喜び。スタッフももらい泣きをするほどみんなで感激しました。

定着支援を活用し、長く働く

就職してからもLITALICOワークスのサポートは続きます。1ヶ月に1度の面談の他にも職場で困ったことなどを電話・対面で相談できます。

「業務に関しては全く問題ないけれど、一緒に働いている方が悪口を言っているのではないかと不安になる」「忘れてしまうことが多くなっているかもしれない」と悩みや不安を漏らすときは、その都度スタッフは企業担当者と連携しHさんの心配を取り除いていました。

Hさんは「定着支援がなかったら、どうなっていたかな」と笑って話してくれます。「この仕事をはじめてから、自分のペースができ家族との関係が良くなった。このまま仕事も家族との関係も続けていきたい」と少し恥ずかしそうに話してくれました。

企業からも稀に感情的になることがあるものの、楽しそうにコミュニケーションを取りながら頑張ってくれていますと高評価です。

 

※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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