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障害のある方の就職事例

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -事務-

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -事務-

対人緊張で悩む

女性/40代/メーカー/事務職

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)

就労移行支援事業所を変更したい

社会人になって就職してから雑談ができなかったり、陰で何か言われていると思い込んでいたりして人間関係がうまくいかずにずっと悩んでいたTさん。ある時から身体が動かなくなり、精神科を受診すると適応障害と診断されました。

人間関係のストレスから仕事へ行くことや外出することもままならないほどの抑うつ状態になり、退職することに。30代後半に転職するも完璧主義な性格から頑張りすぎたり、コミュニケーションがうまく取れずにストレス溜めたりを繰り返し、落ち着いていた適応障害の症状が再発。さらに自閉症スペクトラム障害の診断が追加されました。

実家暮らしをしていたため、平日昼間家にいると家族や近所の目が気になり、ある就労移行支援事業所へ通いはじめました。その事業所は男性スタッフが多く、今まで職場で男性に苦手意識を持っていたためなかなか心を開けず、事業所を辞めるか変更するか悩んでいるとLITALICOワークスを知り、相談に訪れました。

Tさんの住んでいる地域では就労移行支援事業所を変更しても利用期間は原則2年間(※自治体により異なる)ということが分かり、すでに10ヶ月ほど利用していたため利用できる期間は残り1年と少ししかありませんでした。

迷いのあるTさんへスタッフは「環境やスタッフとの相性などがあると思うから、Tさんが納得した上で決めてほしい。まずは体験してみませんか?」と伝え、体験してみることに。

さっそく翌日からプログラムやトレーニングに参加し、スタッフや他の利用者の雰囲気や支援方法などをじっくり見てから、LITALICOワークスへ事業所を変更する手続きをおこないました。当時スタッフの大半が女性だったため、Tさんにとって好印象だったようです。

利用期限まであと1年

変更手続きが完了した時すでに残された時間は1年くらい。Tさんの意向で、以前利用していた就労移行支援事業所での情報の引継ぎは不可能だったため、スタッフは面談を重ね話をたくさんしました。

はじめは緊張しすぎてうまく話せなかったり、言葉が詰まったりしていましたが、徐々に緊張がほぐれていろいろと話せるようになりました。

話を進めていくうちにグループワークで緊張して発言ができないと分かり、はじめはグループワークを見学することからスタート。休憩時間などに他の利用者と話す機会が増えると、グループワークに参加し発言できるようになりました。

ビジネスマナーやパソコンスキルなど、前に通っていた就労移行支援事業所でもおこなっていたため、全く問題ありません。Tさんの課題はコミュニケーションに多くあり、フィードバックや客観的な意見を伝えて自己理解を深めたり、緊張する時や集中しすぎて疲れてしまう時にどう対処するかなどを重点的にトレーニングしたりしました。

Tさんは強く自己嫌悪する傾向があり、不安が強くなるとがちがちに固まってしまうため、成功体験を積み重ね、自己肯定感を上げるような支援をしていきました。

LITALICOワークスに通いはじめた頃に「就職はオープン就労とクローズ就労、両方を考えている」と話していたTさん。しかし障害があることを伏せて働くと、対人緊張や聴覚過敏の理解を得ることが難しいと分かり、オープン就労に絞り応募書類の作成をはじめました。

次第に他の利用者のフォローをすることが散見され、人のサポートをすることが好きという新たな自分を発見することができました。当初から事務職を希望していたため、アシスタント要素のある業務も視野に入れることにしました。

環境が変わると対人緊張

業務適性を確認するため、企業インターンへ参加することに。対人緊張があることは分かっていましたが、スタッフはおろかTさん自身の想像を超える緊張をしていまい、指示が頭に入らず思うように体が動かなくなってしまいました。

企業担当者からは大きな失敗はなかったとのことでしたが、Tさんは自分を責めていました。スタッフは「環境が変わると緊張することが事前に分かって良かった。緊張することは悪いことではない。自分の伝えたいことは伝えられるようにしましょう」とアドバイスしました。

少し前のTさんだとしばらく自己嫌悪に陥ることがありましたが、トレーニングを重ねていたため自己回復ができるようになっていました。その変化に気づいたスタッフがTさんを褒めると「まだまだです。これからもっと頑張ります」と前向きな返答をしてくれました。

環境が変わることで対人緊張が出てしまうため、模擬面接の時には見慣れているスタッフ以外の方が面接官をすることにしました。近隣のLITALICOワークスのスタッフや人材紹介会社の方にお願いをして模擬面接をおこないました。

事業所内でも面接官が変わると途端に緊張してこわばってしまいましたが、面接の回数を重ねるうちに徐々に改善されました。

それでも不安がるTさんに、もしも緊張で記憶したことが真っ白になってしまった時のために「面接で聞かれそうなことを書いたノートをお守り代わりに持っていき、緊張しているのでメモを見て回答していいか確認してそれを見る」ことを提案しました。

「緊張していいんだよ」苦手な面接を越えて

本格的に就職活動をはじめるもなかなか書類が通らず焦ってしまい、通勤に1時間半以上かかる企業への応募をしようとしていました。焦る気持ちは分かるけれど、就職後に辛い思いをすることになるので、通勤時間は1時間以内の企業の求人に絞るようスタッフがアドバイスしました。利用期限のことを気にしていたTさんでしたが、「あと4ヶ月あるから大丈夫、一緒に頑張りましょう」と言うスタッフを信頼し、焦って不安にならないように気を付けました。

 

LITALICOワークスの卒業生が数名就労している企業で人事アシスタントの求人が出ました。事務経験がありパソコンスキルが高く、フォローやアシスタントを希望するTさんにぴったりな求人でした。

応募した所、書類審査を経て二次面接へ進むことができました。Tさんは事前に情報収集や企業研究をじっくり時間をかけて作成した「お守り代わりのノート」を持って、スタッフ同席のもと面接へ挑みました。

緊張していいんだよというスタッフの言葉を聞いてこわばっていた表情が少し緩み、面接中にノートを見ることを確認してしっかり受け答えができました。

面接後、スタッフは手ごたえがあることをTさんに確認すると「面接官や会社の雰囲気が良かった。答えられたけれど、全然手ごたえがない……」と不安げでした。

数日後、内定の連絡が。Tさんにこっそり伝えると、「企業研究をしている時から、こういう会社でこんな仕事ができたらいいなと思って。実際に面接に行ったらその希望が強くなっていたので、すごくうれしい。1年以内に就職できてよかった」と喜びながら自然と涙が出ていました。

仕事って楽しい

就職してからもLITALICOワークスの定着支援サービスを利用しているTさん。入社間もない頃は緊張しながら仕事をしているので疲れ気味でしたが、環境に馴染めれば大丈夫だと信じていたスタッフの思い通り、今ではスキルを存分に発揮できているようです。

上司からの評価も高く、今となっては人事部に欠かせない存在ですと言われるようになっています。月1回の面談で「仕事って楽しいんですね」と笑って話すTさんを誇らしく思っています。

LITALICOワークスでは、土曜日のプログラムで卒業生が講演する機会があり、Tさんに依頼してみました。人前で話すことに対して苦手意識があったため、断られるかと思っていました。

しかし快諾してもらい「LITALICOワークスの利用者に私の経験を話すことで有益になるのであればぜひ」と頼もしい言葉が。当日は「やっぱり緊張はする」と言いつつ、利用者の心を掴んだスピーチでした。

プログラム終了後に誰かの役に立つことをするのが好きみたいと笑ってまた呼んでくださいとまで言ってもらいました。

 

※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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