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障害のある方の就職事例

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -事務-

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)の仕事・就職事例 -事務-

フリーランスになりたい

男性/20代/広告代理店/事務職

適応障害(精神障害)・自閉症スペクトラム障害(発達障害)

就職後に適応障害・発達障害の診断

幼少期から学生時代まで、親しい友だちを作らずに自宅でゲームをしたりパソコンで絵を描いたりして過ごしてきたというHさん。 新卒で入社後、周りとのコミュニケーションがうまくいかず人間関係に悩みました。

次第に出勤することが苦しくなり、通勤途中に電車のホームでうずくまってしまいました。その後、病院を受診すると「適応障害」と「自閉症スペクトラム障害」の診断結果でした。

ご両親曰く、発達障害のような気はしていたけれど特に検査をしていなかったとのことで、Hさんは発達障害を受け入れることができずに頭痛に悩まされる日々を送っていました。

しかしインターネットで発達障害・自閉症スペクトラム障害の特徴などを調べると、自分に当てはまる項目が多く「これまでの生きづらさは発達障害が原因だ」と気付いてからは、特性と思うようになれたそうです。

いろいろと調べていく中で、発達障害のある方がフリーランスで成功したという記事を読み、デザイナーでフリーランスという夢を抱きはじめました。アルバイトをしながらフリーランスを目指す社会人サークルに入部したりセミナーに参加したりして情報を得ていました。

「フリーランスは収入が不安定だからきっと苦労する」という心配から、両親はフリーランスになることを反対されていましたが、Hさんは隠れて活動を続けていました。  

やがて生活リズムに乱れが見え、就職活動をしている様子を見受けらなかったことから、将来を心配した両親。就労移行支援事業所やLITALICOワークスの存在を知り、Hさんと母親で見学に行くことにしました。

コミュニケーションがストレスに

最初の相談の際、会話するのはスタッフと母親のみで、Hさんは会話に参加しませんでした。Hさんに声をかけると、「組織に属して働くことは考えていない。世界で通用するフリーランスになりたい」との発言。

母親が慌てて夢を語っている場合じゃないと制止するも、地域障害者職業センターで受けた職業評価検査と自己PR資料を広げて、自分はこういう人間でフリーランスになりたいとプレゼンをしてくれました。

HさんもLITALICOワークスに通うことを希望していたので、スタッフは「夢を叶えるにはどうしたらいいか」という観点から支援するという方向で話を進め、体験してもらうことになりました。

グループワークを含む体験会に参加したHさん。利用者とのコミュニケーションがうまくいかないことがストレスとなって頭痛が出てしまったと振り返り、今後の目標にコミュニケーションスキル向上・ストレスの対処法が加わりました。

はじめは生活リズムを整えるため、週3日から通うことに。面談をしていく中で、スタッフは「Hさんは納得できないことがあると考え込んでしまい、それが頭痛につながっている」ということがわかりました。Hさんには考え込む前にスタッフに話すよう促ししました。

スタッフが声をかけると話してくれますが、納得できないことがあるように見えても、なかなかスタッフに声をかけられないHさん。その理由は「話しかけることが苦手」「名前を呼ぶという習慣がない」とのことでした。

まずは「今、時間よろしいですか?」などのクッション言葉を利用して話しかけることと日報に相談・報告欄を作り、自ら発信できるよう練習しました。

得意不得意を実践で知る

Hさんは自分の考えていることを文字にすることが苦手のようで、日報に書かれていることと思っていることが違うことがよくありました。スタッフはHさんが絵を描くことが好きと把握していたため、日報にイラストを取り入れることを提案しました。

イラストは感情の機微がよく伝わり、スタッフとのコミュニケーションが円滑になりました。声をかけるという苦手意識から少しずつ脱却していきました。

LITALICOワークスでは就職活動の準備段階のプログラムとして、企業へインターン実習に行きます。スタッフはHさんにも企業インターンを提案しましたが首を縦に振りません。

面談で理由を聞いてみると「フリーランスを希望しているから企業インターンへ行っても仕方がないのでは」という回答でした。もともと「夢を叶えるためにどうするか」という話し合いを重ねてきましたが、実際に現時点でフリーランスは厳しいと判断していたスタッフは、「体験してみて初めて向き不向きな業務がわかります。今後のために、今はまず体験してみましょう」と伝えました。

はじめはあまり乗り気ではなかったものの、実際に企業インターンへ行ってみて「意外とできる」「できると思っていたらできなかった」と発見が多くあったようです。

「口頭や抽象的な指示は苦手で、わからなくなって自己流で対処した結果失敗してしまった」「良かれと思って対応したことが実は間違っていた」など、体験で自分の得意不得意がわかったと振り返ることができました。

コロナ禍で説明会・面接がオンライン

企業インターンやスタッフと自己分析をしていくうちに、ルーティンワークの仕事の方が向いているということがわかったHさん。残業のない仕事をしながら、空いた時間にフリーランス活動することに焦点をあて、就職活動を本格的にはじめました。

コロナ禍で求人が例年より少なく応募する求人を探すのには苦労しました。しかし、興味のある企業をLITALICOワークス専用求人サイトやハローワーク、人材紹介などをあたり、オンライン説明会に参加し積極的に求人に応募しました。

履歴書の志望動機欄で毎回時間を費やし長文になってしまうため、前半はフォーマット化して簡潔に書けるよう何度も練習しました。また面接問答集を加工したり追加したり、模擬面接を重ねていくと自信がついた様子で顔色がよくなり、わからないことは積極的に質問できるようになりました。

そのような中でHさんが広告業界の事務職にとても興味を持ち、応募したところ面接へ進むことに。面接はオンラインでのお知らせがあり、Hさんは喜んでいました。

というのも、周りの利用者から「オンライン面接の方が緊張しない」「事業所内で面接するので交通費がかからない」「面接問答集を机に置いて面接できる」などプラスの情報を得ていたからでした。

努力の結果得た内定

面接の前日まで自身の模擬面接の様子を動画に撮って自宅で振り返って見たり、企業研究を隅々までおこなったりしてオンライン面接に挑みました。

スタッフ同席のもと、緊張しつつも終盤まで面接問答集を手元に置いて順調でした。しかし、最後に面接官からの「何か質問はありますか」という問いかけに事業内容の説明について深堀りして質問をしたため、面接官が顔をゆがめる場面があり、陰でスタッフが制止してオンライン面接を終了しました。

面接後のスタッフとの振り返りの際「最後の部分で止めてもらわなかったらまだ続けていた」と反省しきりで落ち込むHさん。スタッフは「事前に配慮事項として伝えてあるからそこまで落ち込むことはない」となだめ、結果を祈るように待ちました。

数日後、内定の知らせが届きました。普段、感情をあまり出さないHさんですが、この日はガッツポーズをして他の利用者にも「内定出た」と嬉しそうに報告して回っていました。

就職まで2週間ほどの期間がありましたが、生活リズムを崩したくないという理由から週5日LITALICOワークスに通い、卒業前にみんなの前で発表するため仕事を辞めてからのストーリーをパソコンで作成しプレゼンをしました。定着支援でもよろしくお願いしますと笑顔で帰宅していきました。

入社後まだ日は浅いですが、「仕事をしている感じがして楽しい。フリーランス活動は一旦休止して、今の業務に集中します」と心変わりがあったことを早速連絡をくれました。

 

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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