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障害のある方の就職事例

働くことで、人生がより豊かで鮮やかに

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プロフィール

  • Sさん
  • 年代 : 30代
  • 就職先企業 : 株式会社BAKE
  • 診断名 : ジストニア

困りごと

  • 右手の可動域が少ない
  • 手先を使う細かい作業が苦手
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入社して1年半。仕事の幅も広がり充実の毎日

現在、株式会社BAKE(ベイク)の人事総務部に所属し、主に人事に関わる幅広い仕事を担当しています。具体的には、入社者や退社者に関わる書類作成のサポートや、ラベル制作、データ入力のほか、BAKEは全国に店舗があるので店舗スタッフの皆さんとメールでやりとりをすることも多いです。

入社したばかりの頃はとても緊張していましたが、今は良い意味でリラックスして、自分のペースで働くことができています。大学時代からパソコンのスキルをつけようと努力してきたので、それを活かすことができるのがとても嬉しいです。

入社した当初は直属の上司から仕事を頼まれることがほとんどでした。でも、今は人事総務部の他の方からも仕事を依頼されることも多くなってきて、仕事の幅も広がったと思います。

また、仕事をするうえでは周りの方からアドバイスをもらったり、不安な点があるときには質問することもでき、対人面でもとても安心して働くことができています。部署全体の仕事内容としては、みんなで協力して働くというよりは、それぞれが淡々と仕事をこなすということの方が多いです。だからこそ、私自身も仕事の進捗や優先順位などコミュニケーションをしっかり取りながら仕事を進めることを意識しています。

私は以前、他の会社で事務職に就いていたのですが、その会社は社内のメールでも固い文章でやりとりをするのが普通でした。

BAKEに入社してからもそれを引きずってしまっていたのですが、上司から「もう少しフレンドリーな文面の方がいいよ」とアドバイスをもらい、その通りにしたらメールでのやりとりもよりスムーズにできるようになったんです。

特に店舗のスタッフの方へのメールは、“丁寧さ”を心がけていたのですが、本社の人事総務部から固いメールが来たら確かに構えてしまうなと、とても勉強になりました。また、BAKEのフレンドリーな社風もとても素敵だなと思っています。

就職するも数年で退職。自分に合った仕事を見つける難しさ

今は毎日が楽しく、働くことに対してとてもポジティブですが、ずっとそうだったわけではありません。

最初に就職活動をしたのは、大学生のとき。でもなかなか自分に合った仕事はみつけられませんでした。アルバイトをしながら正社員の道を探していたのですが、その頃右手に違和感を感じ始めたのです。そして病院の検査で、ジストニアという診断を受けました。

ジストニアは、無意識に筋肉がこわばってしまう不随意運動の一種で、私の場合は可動域が少ないことや、右手の手先を使う細かい作業が苦手などの症状があります。

それでも「働きたい」という気持ちが強かったので、障害者雇用での就職を目指し障害者手帳を取得しました。ハローワークで紹介されたLITALICOワークスで一定期間を過ごし、前職に就きました。

前職では4年ほど働きました。いろいろと配慮いただいたのですが、社員の方の異動が多い会社で人間関係がうまくいかず退職することにしました。それに、「ここではキャリアアップが難しそうだな」という思いもありました。

それまでは自分でもあまり意識していなかったのですが、苦手なことにもチャレンジして克服し、スキルを上げていくことにやりがいを感じるタイプだったようです。今はパソコンが得意でそれを活かして仕事をしていますが、大学時代はパソコンに苦手意識がありました。「これではいけない」と学校に通って資格を取得しました。
そんなふうに、ただ毎日働くだけではなく、そのなかで多くのことにチャレンジしてスキルアップしていきたいという自分の本当の気持ちを発見しました。

そんなことから「もう一度スキルアップしてを受けて自分に合った仕事を探そう」と、LITALICOワークスに再利用することにしたのです。

LITALICOワークスで得られたのは就職への自信と生涯の友人

LITALICOワークスに通うのは2度目だったので、同じような境遇の人が多いことが分かっていましたし、あまり心配事はありませんでした。

週に2〜3回から徐々に慣らし、最終的には週5回で通うようになりました。ただ、本当に就職ができるのかは不安でした。自分の力で自分に合った仕事に就けると思っていましたが、前職を通して必ずしもそうではないことが分かったので不安になりました。でも、LITALICOワークスでまたいろいろなスキルを身につけて、今度こそ自分に合った仕事に就こうと、また頑張ろうと決めました。

そして実際に個別プログラムやワークなどで、さまざまなことを経験しました。改めて事務のスキルを伸ばしたいと思っていたので、タイピングのプログラムなども受けました。また資料の準備や印刷の作業など、LITALICOワークスで学んだことの多くが今の仕事にも直接役立っています。

ちょうどコロナ禍でもあったので、在宅でワークを受けることもありました。BAKEに入社してからも、感染者数が増えた時期は在宅で仕事をすることもあり、LITALICOワークスで経験しておいて良かったなと思っています。

また、コミュニケーション面でも学ぶことが多くありました。お題を決めてみんなの前でショートプレゼンテーションをするなど、自分の意見を発表する機会も多かったです。それまでは、家族にすらあまり自分の考えを主張することがなかったのですが、LITALICOワークスに通い始めてからはそれができるようになったと家族から言ってもらえるようになりました。

LITALICOワークスに通っていた期間にできた友人とは今も連絡を取り合っています。私にとって大人になってから友人を作ることは、簡単ではありません。“一生の友達”になるかもしれない友人ともLITALICOワークスに通ったからこそ出会うことができました。

さまざまなプログラムやワークを受け、パソコンのスキルもこれまでの復習に加え、新しいことを学ぶことができ、少し自信を持てるようになりました。そのタイミングで、改めて就職活動をスタートすることにしたのです。

どんな環境が合うのか。決めつけないことが就職活動成功の鍵

就職活動を始めるにあたって意識したのが企業研究です。求人が出ている会社がどんな会社なのか、できる限り調べて自分に合う会社かどうかを見極めていきました。

当初は「スキルアップできること」そして、「右手が動きにくいので無理なく働けること」の2つを考えていました。またその頃の自分にはマニュアルがあったり、時間がきっちりしていたりする方が合っているのではないかという思い込みがあったかもしれません。

そんななかで、LITALICOワークスのスタッフの方が「こんな求人があるよ」と紹介してくれたのが、現在働いているBAKEでした。以前BAKEが運営する「RINGO」というお店のアップルパイをプレゼントしてもらったことがあり、そのときの“とても嬉しい気持ち”を忘れられずにいたこと。また、その後自分がBAKEのお店で買い物をしたときに、とても素敵な接客を受けたこと。この2つの経験から、ぜひ私もお菓子を通して喜びや幸せを提供する側になりたい、BAKEで働きたいと思うようになりました。

LITALICOワークスでは月に2回ほど、スタッフに面接についていろいろとアドバイスをいただく機会がありました。もともと面接はあまり得意ではなく、緊張してしまう方なのですが、そのアドバイスのおかげで自信を持って面接を受けることができたと思います。さらにBAKEの面接では社員の方が「緊張しないで」と声をかけてくれたので、リラックスしてお話することができました。

BAKEはそれぞれがきちんと責任を持って仕事をしていれば、休み時間は何時に取ってもいいなど比較的自由な社風です。もともとは、きっちりしている方が自分に合っていると思っていたのですが、面接などでお話を重ねていくうちに、自分のペースで働けるこういう会社の方が自分に合っているかもしれないと思い始めました。

実際にBAKEで働いている今、そのときの考えが間違っていなかったなと実感しています。だからこそ、今就職活動をしている皆さんにも、焦らずじっくりと自分に合う会社を探してほしいということをお伝えしたいです。仕事を探している最中の、焦ってすぐにでも働きたい気持ちはよくわかります。でも、これから先のことを考えると就職活動の時間が少し長くなったとしても、自分にはどんな働き方が、どんな会社が合うのかをじっくり考えた方が、良い方向にいくと思いました。

 

楽しく働けていることに感謝

BAKEで働き始めてから1年半が経ちました。入社する前の会社への好印象と、今現在の印象が全く変わらず、楽しく働けていることを周りの方々に感謝しています。

かつて、苦手なパソコンを克服して自分のスキルとして身につけたように、これからも新しいスキルをどんどん吸収して仕事の幅を増やしていきたいと思っています。右手での作業は今も得意ではありませんが、当初苦手だった紙を扱う作業などにも、少しずつ慣れてきました。そんなふうに、新しいことに挑戦して、皆さんのお役に立てるようになって、いつか正社員を目指せたらなと思っています。

元々ディズニーリゾートに行くことや、神社仏閣巡りが好きなのですが、仕事を始めてからそういった趣味にも少しずつお金をかけられるようになりました。小学生の頃に始めた日本舞踊も、仕事をしているからこそ続けられることのひとつです。

私にとって、働くことはスキルを伸ばし、生活に張りを出してくれる大事なことです。これから一人暮らしをしたり、結婚をしたりすることもあるかもしれません。いろいろな“やりたいこと”を叶えるためにも、今は目の前にある仕事を頑張っていきたいです。

インタビュー:2022年7月15日

※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。

企業からのコメント

人事総務部 並木様(左)

私がマネジメントで一番大切にしていることは「自主性」です。BAKEで何をしたいのか、そのなかでこの部署にいるからこそできることは何なのか、それぞれが考えながら働くことが大切だと思っています。それは、障害者雇用であっても、そうでなくても変わりません。 Sさんにもメンバーの一員として「今これをしてもらったら助かるな」ということをお願いしています。もちろん、そのうえでできないことは配慮しますが、最初からこちらが仕事の範囲を決めてしまわないようにしています。 人事総務部は個人情報を扱うことも多いのですが、Sさんは入社当初から個人情報に関する紙の書類やパソコンデータについても扱いがしっかりしていて安心して仕事をお任せすることができました。 入社当初は慣れないことがあったかもしれませんが、1年半経った今は仕事にも慣れ、周りのメンバーにもすっかり馴染んでいます。人事総務部の欠かせないメンバーの1人として、今後もさらにご活躍いただきたいです。

スタッフからのコメント

Sさんは明るく朗らかな方で、通所中はセンターの雰囲気をいつも明るくしてくれていました。 コロナ禍での就労で、在宅勤務や同僚との交流制限などがある中でも、挨拶や報連相など基本のコミュケーションを大切にされることで、職場に馴染んでいかれていました。 慣れてくるとおろそかになりがちなことをしっかりと続け、信頼を獲得されているお姿に私たちスタッフも社会人として大事なことを学ばせて頂いています。
LITALICOワークス 船橋

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千葉の就労移行支援事業所 LITALICOワークス 船橋

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