自分の強みを生かして、会社にいい循環を作っていく
プロフィール
- Tさん
- 年代 : 30代
- 就職先企業 : 株式会社横浜シミズ
- 診断名 : うつ病、不安障害、ASD(自閉スペクトラム症)
困りごと
- マルチタスクが苦手
- 優先順位をつけるのが苦手
目次
目次
- 残業が多い緊張感のある職場で、うつ病・不安障害に
- 自分が何に困っているのか分かると、気持ちが楽になった
- 障害があることを知った上で、それでも戦力として来てほしいと言われた
- 得意なシステム構築でみんなを楽にしたい。それが仕事の楽しみになる
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残業が多い緊張感のある職場で、うつ病・不安障害に
——Tさんの障害について教えていただけますか?
最初の診断はうつ病・不安障害です。のちに別の医療機関で自閉スペクトラム症と診断を受けました。前職はシステムエンジニアとして働いていましたが、終電で帰るほど残業が多い職場で、同僚も疲弊しているような労働環境でした。
当然ながらみんな疲れてピリピリしているし、ほとんどが先輩社員で気軽に話しかけることもできず、常に緊張していました。
一番困っていたのは「普通に振舞ってください」と言われたことです。「普通って何?」と思いながら、周りの人がやっていることの真似をしていたこともありましたが、かえって気を張りつめすぎてしまうことになりました。
そんな状態だったので精神的な不調の自覚もあり、医療機関でうつ病・不安障害と診断されたときは、やっぱりなと思いましたね。
——とてもストレスの強い環境で働かれていたのですね…。その後お仕事はどうされたのでしょうか?
退職し、しばらく自力で転職活動をしていました。そんなとき、心療内科の主治医から就労支援のことを教えてもらったことをきっかけに、就労移行支援を利用することにしました。
最初は「できない部分を矯正するところ?」と不安に思ったのですが、いくつか就労移行支援を調べて、そうではないと分かりました。
LITALICOワークスは、とても明るい雰囲気でスタッフが本当に話しかけやすい方ばかりだと感じて利用を決めました。
自分が何に困っているのか分かると、気持ちが楽になった
——LITALICOワークスはどれくらいの頻度で利用されましたか?
最初は週3日の利用からスタートし、最終的に週5日に増やしていきました。1年ほどの利用で就職することができました。
——そうだったのですね。印象に残っているプログラムはありますか?
さまざまなプログラムがありましたが、パソコンのタイピング技能検定のようなもので、それまでの事業所記録を塗り替えることができました。
他にも、事業所内の備品管理ができるようにExcelでマクロをくんで、とてもいいフィードバックをもらえたことも自信になりました。
パソコンのスキルについて、「これぐらいはできる人は多いだろうし、自慢にもならないだろう」と思っていたのですが、自分のスキルが役に立つんだと実感できる機会になりました。
——LITALICOワークスでの取り組みでご自身の強みに気づかれたのですね。逆に大変だったことなどはありますか?
履歴書や職務経歴書を作成することや、不安やパニック症状への対処ができるようになるために、過去のことを繰り返し思い出すことが辛かったです。
LITALICOワークスを利用し始めてからもパニック症状が起きることがあり、ある時から「全部記録をつけてしまおう」とスタッフのサポートも受けながら自分の症状を検証してみることにしました。
その作業によって、どんな状況や原因でパニックが起きるのか、どうしたら収まるのか分かっていったんです。
自分の症状について「どうしたらいいかわからない」ことが1番辛かったのですが、理解できてくると気持ちが楽になりました。
——Tさんにとって、LITALICOワークスの利用はどんな意味があったのでしょうか?
調整と再出発の場です。
それまで勤めていた会社で、自分の中に出てきた偏見をまず1回解消して、必要な適切な考え方を整理しながら、再就職に向けて準備を進めることができました。
前職では、業務も忙しく、周囲にも相談しにくい環境でした。自分自身の特性についてもまだ理解できていなかったため、上手くいかないことにも対処ができないことで自分に自信が持てず、悲観した考えになっていました。
LITALICOワークスを利用することで、そういった前職の状況や自分の特性を客観視することができ、適切な対処法を身に付けることができました。
障害があることを知った上で、それでも戦力として来てほしいと言われた
——企業インターンには行かれましたか?
はい。実は1社だけ行ったインターン先が今働いている会社で、そのまま就職することができました。企業インターンの時から話をしっかり聞いてくださる雰囲気で、働きやすい環境だと思いました。障害があることを知った上で、それでも来てほしいと言っていただけてうれしかったです。
——そうだったのですね。入社されてからは、どんな業務を担当されているのですか?
社内システム担当です。私が入社した4年前はまだ社内のパソコンやシステムが今ほど普及した状態ではありませんでした。ですので、引き続き社内システムを構築していく業務を担当しています。
はじめの頃は人数分のパソコンの初期設定をしたり、パソコンの使い方がわからないといった問い合わせに対応したりしていました。
その後、業務効率化のためにスケジュール管理や経理など新しいシステムの導入や設定、社内周知なども担当しました。社員が分かりやすいようにシンプルな仕組みにしたり、図やイラストを多く使ったマニュアルの作成をしたりと工夫しています。
——エンジニアのご経験を生かしていらっしゃるのですね。業務はお一人で進められているのでしょうか?
基本的に1人で進めていますが、システムもマニュアルも最終チェックは上長にお願いしています。全社で使うシステムの場合は、ある程度仕上がったところで実際に使っていただき、その感想を聞いて改良を加えていきます。
得意なシステム構築でみんなを楽にしたい。それが仕事の楽しみになる
——優先順位をつけるのが苦手といったTさんの特性にはどのように対処されていらっしゃいますか?
基本的に毎日、上長にその日の作業予定や心身両面の体調を日報としてメールで提出しています。そのタイミングで、どの作業から進めたらいいかといった優先順位も相談できるような体制を作ってもらっています。
作業の途中に、突発で別の作業が入ることもあるのですが、すぐ片付く内容であればその場で対処します。どうしても時間がかかってしまったり、他の作業との兼ね合いで並行して進めるのが難しい場合には、その都度相談するようにしています。
——Tさんにとって相談しやすい環境であることが伝わります。今後仕事をしていく上で、目標とされていることはありますか?
今後、もし同じ部署のシステム担当者が増えたら、業務を分担し新しいシステムの導入に専念したいと思っています。
——何がTさんのモチベーションになっていますか?
仕事を進める上で大切にしている考えとして「楽にさせたい」ということがあるんです。
業務で時間がかかってるものがあれば、システムで業務効率化したいです。それによって、自分だけではなく、みんなが楽になるんじゃないかなって思うんです。そんなシステムを構築することで会社に貢献していきたいです。
実際に自分が作ったシステムが正常に稼働して、使ってもらえている時は仕事が楽しいと実感できます。
——Tさんのインタビューを読まれる方に伝えたいことを教えてください。
みんな、それぞれに自分の特性や良さがあると思います。もし憧れる人や目標にしたい人がいれば、いいなと思う部分は自分に取り入れながら、その上で自分の良さを生かしてみてください。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。
企業からのコメント
管理部 課長 丹野様(左)
スタッフからのコメント