自分の弱さも強みも、そのまま出していい。想定外だった事務職がキャリアに
プロフィール
- Kさん
- 年代 : 40代
- 就職先企業 : ランスタッド株式会社
- 診断名 : 統合失調症
困りごと
- 妄想症状があった(通所開始時には安定)
- 緊張しやすい
- 過集中気味になることがある
- 睡眠が浅い
目次
目次
- ストーリー
- 大学時代に統合失調症との診断。卒業後にLITALICOワークスを利用開始
- LITALICOワークスを見学し、「学ぶ場」だと感じて利用を決意
- 未経験だった事務系の企業インターンに参加したことが、就職につながった
- LITALICOワークスは、自分が自分のままで過ごせる場所
- 今後の目標は、難関資格を取得すること
- 企業からのコメント
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ストーリー
大学時代に人間関係でストレスがたまり、体調を崩してしまったKさんは、その後統合失調症との診断を受けました。
留年や休学をしながら大学を卒業後、一般就労での就職は難しいと感じてLITALICOワークスを利用することに。
現在はランスタッド株式会社での勤務7年目で、社会保険関係の業務を行うKさんに、通所中のこと、就職活動のこと、現在のお仕事についてお伺いしました。
大学時代に統合失調症との診断。卒業後にLITALICOワークスを利用開始
LITALICOワークス利用までの流れを教えてください
LITALICOワークスには、大学を卒業した後に通い始めました。実は大学在学中に統合失調症と診断され、留年や休学をしながら時間をかけて卒業したのですが、当時の自分の体調などから、一般就労での就職は難しそうだなと思っていました。そんな時に、就職支援機関があることを主治医から聞き、いろいろと調べる中でLITALICOワークスを見つけて、松戸センターに通うことにしたんです。診断を受けてからLITALICOワークスの利用まで、4~5年は経っていたと思います。
統合失調症を発症したきっかけは何だったのですか?
人間関係がこじれてしまって、ストレスが溜まることが多かったためです。当時は、人と接することに恐怖感が強くて、学校に行くふりをして実際は行けなかった、なんてこともありました。
それで体調を崩して、病院を受診して統合失調症と診断されました。当時は妄想などの症状が出ていましたが、現在は安定していて、軽いうつ状態になることがある程度になっています。
LITALICOワークスを見学し、「学ぶ場」だと感じて利用を決意
LITALICOワークスを利用する前に見学はしましたか?
はい、見学に行きました。当日はほかの利用者の方がプログラムを受けている様子などを見せていただいたり、日々どのようなスケジュールで動いているのかを教えてもらったりしました。
見学してみて、思ったよりも落ち着いた場所だなという印象を受けました。利用者の皆さんがプログラムに集中していて、「学んでいる」場だなという感じがして、ここならやっていけそうだという感触がありました。
LITALICOワークス以外の事業所も見学しましたか?
インターネットなどで他の就労移行支援事業所の情報も見たのですが、その中でもLITALICOワークスが一番落ち着いていていいなと思ったので、他には見学に行きませんでした。LITALICOワークスで学べることはすごく現実的で、自分の将来像が見える感じがしたのでいいなと思いました。
未経験だった事務系の企業インターンに参加したことが、就職につながった
LITALICOワークスを利用して印象に残ったことはありますか?
一番印象に残っているのは、事務系の企業インターンに参加したことです。実は、それまでは事務で働くことは考えていなかったんです。
私は最初に統合失調症と診断されたきっかけが大学時代にありましたが、デスクワークもその当時の状況に近い環境だという気がして苦手意識があり、事務系の仕事をしている自分は想像できませんでした。アルバイトでは、清掃業務をしたり、製本工場で働いたりしていたので、漠然と「そういったところで働くんだろうな」と考えていたんです。
でも、事務系の企業インターンに約1か月参加してみて、「意外と自分にもできるな」と実感することができました。そこから事務系の求人も視野に入れて就職活動を開始し、1社目のランスタッドで内定をいただくことができました。
企業インターンに参加する前に、「もしかしたら必要になるかもしれない」と思って、LITALICOワークスの個別訓練の時間にパソコンの練習をしていたんです。それも良かったのかもしれません。
LITALICOワークスで学んだことを教えてください
ネガティブなことをポジティブに言い換えるワークが印象に残っています。例えば、「騒がしい」を「元気がいい」と言い換えるようなもので、これに参加した時に「いろいろな場面で使えるな」と思いました。
それまでの私は、物事をマイナスに捉えてネガティブな気持ちに陥りがちだったんです。でも、例えば人から何か指摘されたときも、「口うるさい」と思うのではなく「親身になってくれている」と思えばストレスも減らせると感じ、取り入れるようにしました。
LITALICOワークスでは、企業インターンなどの実務的なことから、このような考え方に関することまで、本当にいろいろなことを学ばせてもらったと思っています。
LITALICOワークスは、自分が自分のままで過ごせる場所
LITALICOワークスとはどんな場所でしたか?
LITALICOワークスは、私にとって「自分が自分のままで過ごせる場所」「自然な人生を見つけられる場所」だと思っています。私はこれまで、場所に自分を合わせようとすることが多く、そこで無理をして体調を崩すことがよくありました。でも、LITALICOワークスに通ったことで、自分の弱さや強みをそのまま出してもいいんだ、という気づきを与えてもらいました。
もちろん、何でも自由に過ごしてよかったわけではありません。働く上で改善が必要な点はフィードバックしてもらえたので、成長にもつながったと思っています。
就職活動で苦労したことはありましたか?
就職活動をするのは初めてだったのですが、最初はもう「履歴書ってどう書くんだろう?」というところから分からなかったですね。自分の持っているスキルや経験についても、応募する企業によってどんなことを書いた方がいいのか、また書かない方がいいのか、なかなか感覚がつかめず苦労しました。そのため、応募書類の作成はLITALICOワークスのスタッフと相談しながら進めていきました。
スタッフの方からは、「事務系の求人であれば、LITALICOワークスで取り組んでいたタイピングやエクセル実習のことを書いた方が良いのでは?」などの具体的なアドバイスをしてもらいました。
LITALICOワークスの取り組みで現在役に立っていることはありますか?
事務とは直接関係ないものなのですが、「折り紙を折る」というプログラムに1か月くらい継続して取り組んだんです。すごく難しい犬を折ったり、複雑な形のリボンを折ったりしたのですが、そういう根気がいることに継続して取り組めたことが自信につながりました。
忍耐力もつきましたし、作るものから逆算して「このくらいのスピードで進めていこう」と考えるスケジュール感覚も身に着きました。今の仕事でも、「今日はここまでやって、明日はここまで」というように、スケジュールや段取りを意識することができています。
LITALICOワークスを利用して良かったと思う点を教えてください
私は大学時代に体調を崩した時、それを周りに隠していて、限界が来てから初めて病院を受診しました。このまま仕事を始めるのは難しいだろうと思って、LITALICOワークスを利用して障害者雇用で働くことを選択したのですが、もしLITALICOワークスを利用していなかったら、障害者雇用ではなく一般雇用で就職していたと思います。そうすると、今のような形でさまざまな配慮をしてもらうことが難しかったかもしれないので、我慢することが多く、きっと長続きしなかったのではと思います。
LITALICOワークスの定着支援も利用されたんですよね。
はい、2年半に渡って利用しました。職場でも配慮をしてもらっていたので、業務上の悩みはあまりなかったのですが、会社内外の人間関係に悩んだ時に相談させてもらいました。悩みをLITALICOワークスのスタッフの方に話すことで気分転換になりましたし、近況を報告して褒めてもらうことも、モチベーションにつながっていました。
LITALICOワークスのスタッフは堅苦しいところがなく、人間関係の悩みのような話しづらいことも気兼ねなく話すことができるのが良かったです。
今後の目標は、難関資格を取得すること
ランスタッドへの入社の決め手は何でしたか?
ランスタッドは障害者雇用に力を入れていて、条件が良かったということがあります。賃金などの条件は、自分が働く上でもモチベーションのひとつとなっています。その分、給料以上の仕事はしているという自負も持って働いています。
現在の業務内容は、社会保険の加入・脱退の手続きや、到着した郵便に応じた各種手配、電話対応などです。
現在受けている配慮を教えてください
休憩時間の取り方で配慮をしてもらっています。基本の休憩時間は、お昼休みが60分と、午前と午後に小休憩を10分ずつなのですが、それだと昼休み後の勤務時間が長くて、少ししんどいと感じていました。
そこで、お昼休憩の時間を短くして、その分午後の小休憩の回数を多くしてもらっています。私は90分から2時間くらいが集中力の限界だと感じているのですが、こうした休憩時間の取り方のおかげで集中力を維持することができています。
今後の目標はありますか?
今担当している社会保険の業務に関連する「社会保険労務士」という資格取得を目標にしています。これはとても難しい試験で、一度取り組んでみたのですが、日々の業務で疲れてしまいなかなか勉強できませんでした。でも、これから少しずつ目指していきたいと思っています。
LITALICOワークスの利用を迷っている方へ、メッセージをお願いします
まずはLITALICOワークスの見学に行ってみると、「自分にもできるかも」と感じるのではないかと思います。もちろん、実際に通う中で「できないかも」と感じることもあると思いますが、「できるかも」と感じることも意外と多いものです。そうして行動したことが自信となり、将来の就労にもつながると思います。
企業からのコメント
【社会保険センター 樋口倫子様より Kさんへ】
現在の業務は、社会保険の加入・脱退の精査から、郵便対応、電話応対など、幅広くご対応いただいています。Kさんは首都圏集中プロセスセンター立ち上げのときから長く勤務していただいていますが、当時から勤怠が安定しており、落ち着いた優しい人柄で、周りに安心感を与えてくれています。
社保センター内でチーム異動をお願いした際にも、臨機応変に快く対応していただき、大変助かりました。常に周りに気を配り、状況に応じてヘルプに入ってくださるなど、心遣いができる方です。今後さらにこれまでの経験を活かして、チームを超えた架け橋の役目となっていただけることを期待しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。
スタッフからのコメント