LITALICOワークスとは
私が人との関わりにおいて大切にしていることは「目の前にいるその人をリスペクト(尊重)する」ということです。まず、出会ってくださった方と私たちがお互いにリスペクトできる関係でなければ、その人が本当に必要としていることが何なのか気づくことは難しいと思います。どんな方にも、行動には理由や背景があります。人に言いたくないこと、言いづらいことを言えるような関係を築くことが、その人にとって難しかったことを可能にする大切な1歩です。気兼ねなく話せる関係をつくるには、まず自分のバックグラウンドを開示することが大切だと考えます。そのひとつとして、私自身のうつの経験を利用者さんに話すこともあります。
スタッフみんなとの関係も同じです。「支援」と一口に言っても、事業所内の業務は多岐に渡ります。計画、支援、スタッフ育成、事業所運営・・・スタッフ一人ひとりの個性を生かし、効率よく最大の効果を出すことが私のサービス管理責任者としての理想像です。
もともとサービス管理責任者になる前、支援スタッフとして勤務していたときには私自身が機動力を発揮していましたが、サービス管理責任者という立場になってからは、スタッフと課題を検討し、チーム全体の支援力の維持と向上を求めてみんなをまとめていく役割を担っています。その中で、スタッフ同士の信頼関係を築くことは、スタッフの個性が適材適所でいきる、個別最適な支援にも繋がります。互いを尊重することで、前例のないことであっても、そのひとりに合った支援を一緒に生み出していけると思っています。LITALICOワークスは支援の限界をつくらない。そんな場所でありたいと思い、日々の業務に取り組んでいます。
「支援」という言葉は、実は私はしっくりきていません。困っていることがあれば手助けをしたいと思うのは人として当たり前のことで、お互いさまです。私も人に助けてもらうことがたくさんあります。だからこそ、どんなときも人として向き合うよう心がけています。それが私にとってのリスペクトです。
LITALICOワークスに入社する前、私は特別支援学校で教員を務めていました。高等部の担任を受け持っていた頃のことです。みんながいる教室に入ることが苦手で、いつも道具置き場を居場所にするAくんという子がいました。卒業後は福祉事業所で働くことが当たり前という流れの中で、実習に行くなど就労の準備をしていました。私もその「当たり前」に疑問をもっていませんでした。ある日、「なぜ卒業したらすぐに福祉事業所で働かないといけないのか!? 兄弟たちには、専門学校や大学への進学、一般企業への就職といったもっとちがう進路があるのに、なぜ自分にはないのか」とAくん。福祉事業所以外にも働くかたちはたくさんあります。私は、Aくんの思う「働く」ではなく、今までの特別支援学校卒業後の当たり前の「働く」を彼の自己実現だと思い込んでしまっていたことに気づかされました。大切なのは、社会に出たときにその子が自分らしく幸せに生きられること。できることに目を向けて、Aくんの思う「働く」を実現させることこそが本当の幸せなのかもしれないと考えるようになりました。特別支援学校にいた5年の間に「卒業後、福祉事業所で働くことが当たり前なのではない。彼らの望む働き方を一緒に実現できるような仕事がしたい」と考えるようになりました。この考え方は、LITALICOワークスで働く原点となっています。子どもたちが卒業後、幸せに働き、健やかに生きていける社会をつくりたいと思っています。
このような体験から「誰しもが自分らしく生きる」を大切に、毎日利用者さんと関わっています。自分らしく生きるためには、まず自分自身を知ることからはじまります。LITALICOワークスでは面談の中で、利用者さんと「思考の整理」をしています。私自身も実践している方法なのですが、自分のやりたいことと、それを阻めていたネガティブな思考や感情、思考のくせを一緒に整理します。大切なのは「なりたい自分」だけではなくネガティブな感情にも目を向けること。自分のネガティブな部分にふたをしたままでは、本当の意味での自己実現は難しいと思っています。1人でそのふたを開けるのは怖くても、私たちと一緒なら挑戦できる。また、書き残すことで、自身の変化や成長を振り返ることができると思っています。
スタッフの1日
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8:30出勤、スタッフMTG
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9:00全体朝礼、日報の確認、電話連絡
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9:30プログラム開始
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10:00面談
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12:00昼休憩
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13:00プログラム開始
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13:30面談
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15:30スタッフ間で一日の振り返り スタッフとの個別MTG
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16:00ケース会議
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17:30退社
障害の有無に関わらず、人が自立するということは、いい意味で依存先が増えていくということではないでしょうか。依存先はさまざま、家族・友人・恋人・・・依存という言葉はネガティブな印象を持たれがちですが、自立するために必要な支点という意味で、依存先があるということはポジティブなことだと私は思っています。LITALICOワークスもその1つ、利用者さんの自立の支点であればと思います。「気兼ねなく相談できる場所=LITALICOワークス」でありたいです。
「自分らしく働く」への一歩は、利用者さん本人が本当に幸せでいられる状態像を描くことからはじまります。私たちスタッフはその実現に向けて一緒に走ります。今ある自身の状態に心を働かせること(思考)から、進む先を見つけ目指す力(志向)を生み出せる場所を私たちは目指していきます。地域や企業と手を取り合い、誰もが自分らしさをいかしながら、それを楽しめる環境づくりをこれからもしていきたいと思っています。
※掲載内容(所属や役割など)はインタビュー当時のものです。