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お役立ち仕事コラム

【チック症】大人の症状や原因は?治療方法や日常でできる工夫についても解説

更新日:2024/04/18

瞬き、首振り、咳払いなど、自分の意志とは関係なく、突然繰り返し出てしまう症状に悩んでいる。

 

もしかするとそれは、チック症かもしれません。

 

チック症は子どもの頃に発症し、自然と治まることが多いとされていますが、大人(18歳以上)になった後もその症状が出るケースがあります。

 

チック症は決して本人の意志やクセによって引き起こされるものではありませんが、職場などで誤解を受け、悩んでいる方や苦痛を感じている方もいらっしゃいます。

 

この記事では、チック症について、症状や原因、治療方法や日常生活でできる工夫について解説していきます。

チック症とは?

チック症は、本人の意志と関係なく、突然体が動いたり、声が出たりすることが一定期間続く障害です。

 

一般的には、子どもの頃(4歳頃~18歳頃)に見られる症状で、子どものおよそ10~20%にみられるとも言われており、決して珍しい症状ではありません。

 

また、チック症は一過性のものが多く、大人に近づくにつれて自然に治まるということもよくあります。

 

チック症は、症状を抑えるのが非常に難しいため、日常生活や仕事において、困難や苦痛を感じている方もいらっしゃいます。

大人のチック症

小児期~青年期(4歳頃~18歳頃)に発症しやすいとされているチック症ですが、大人になった後でもチック症による症状に悩む方はいます。

 

大人でチック症の症状が表れる原因は、子どもの頃にチック症が発症していたが、病院で受診せず、そのまま症状が継続しているケースや、一度症状は治まっていたものが再発するケースが考えられます。

チック症の症状

チック症の症状は、大きく分けると2つに分類されます。

  • 音声チック:発声や言語の特徴
  • 運動チック:顔や手足が動く

さらに、症状の持続時間の長さなどによって、「単純型」と「複雑型」といった段階に分けられています。

 

それぞれの分類の分かれ目について、明確には定義されていませんが、それぞれの主な症状をあげると下記の通りです。

  • 単純運動チック:首を振る・瞬き・肩をすくめる・手足を伸ばす・しかめ顔など
  • 単純音声チック:鼻をすする・唸る・咳払い・声を出すなど
  • 複雑性運動チック:他人の運動の真似(同響動作)・自分を叩く・飛び跳ねるなど
  • 複雑性音声チック:特定の単語を繰り返す(反復言語)・他人の言葉を繰り返す(反響言語)・その場にふさわしくない言葉を発する(汚言)

【トゥレット症候群】運動チックと音声チックの両方ある場合

まれに、運動チックと音声チックの両方が1年以上慢性的にみられるケースがあります。

 

多種類の運動チックと1種類以上の音声チックが続いた場合はチック症ではなく「トゥレット症候群」と呼ばれる疾患になります。

 

トゥレット症候群は神経系疾患の難病にも認定されています。

 

トゥレット症候群のある方の多くは、何らかの併発症があることが多いとされています。

 

代表的な併発症は、下記の通りです。

  • ADHD(注意欠如多動症)※(1)
  • 強迫性障害(強迫症)※(2)
  • ASD(自閉スペクトラム症)※(3)
  • LD・SLD(限局性学習症)※(4)
  • 睡眠リズムの乱れ
  • うつ病
  • 怒りのコントロール困難 など

トゥレット症候群もチック症同様、症状を抑えるのが非常に難しく「本当はこんなことしたくないのに、身体がいうことをきかない」という状況が続き、日常生活や仕事において、困難や苦痛を感じている方もいらっしゃいます。

 

※(1)以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事では以下、ADHD(注意欠如多動症)と記載しています。

 

※(2)強迫性障害は現在、「強迫症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「強迫性障害」といわれることが多くあるため、ここでは「強迫性障害(強迫症)」と表記します。

 

※(3)以前は「自閉症スペクトラム」という名称が用いられることもありましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本語版は2023年)年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症)と記載しています。

 

※(4)学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。

大人のチック症の症状は?

ここでは、大人のチック症の症状について、詳しく確認してみましょう。

 

子どもとも共通しますが、大人になってからのチック症の悩みとしては以下のようなものが考えられます。

  • 自分の意志ではコントロールできない、止められない
  • 職場などの周囲の人に「病気」だと理解してもらえない

例を挙げて、どのような場面で、困難や苦痛を感じるのか詳しく見てみましょう。

大人のチック症で想定されるシーン

仕事や通勤のシーンを例にあげて見てみましょう。

  • 電車やバスなどの公共交通機関等の空間で、咳払いやうめき声などが出てしまう
  • 会議や打ち合わせ、商談などの大事な場面で、その場に適さない不謹慎(乱暴)な言葉を発してしまう
  • 職場で上司や同僚と話をするときにしかめ顔をしたり、にらみつけてしまう
  • 手足を動かしたり、突然人や物に触ったりして、驚かせたり、物を落としたりする

このような症状・状況は、ごく一部の例ですが、全てに共通しているのは「自分の意志によるものではなく、止めることができないこと」です。

チック症の原因

チック症の根本的な原因は、まだはっきりとは判明していません。

 

最近の研究では、脳内のドーパミン神経が過活動となっていることが原因ではないか、と考えられています。

 

ドーパミンは、運動の調節やホルモンの分泌にかかわる神経伝達物質で、精神面への影響もあると言われています。

 

また、チック症の原因として、遺伝的な側面も関係しているのではないかとも言われています。

 

加えて、直接的な発症の原因ではないですが、不安・緊張・興奮・疲労・情緒的なストレスなどは、チック症の症状を悪化させたり、長期化させる原因になることも指摘されています。

 

様々な環境的な要因でチック症が発症することもあり、また逆に、心身ともに落ち着いている状態の時は、チック症の症状が改善する傾向もあるといわれています。

【チック症】大人の場合の治療先は?

チック症には様々な症状があることを先程解説しましたが、その程度も人によって差があります。

 

そのため、チック症だからと言って、必ずしも病院を受診しなければいけない訳ではありません。

 

生活に支障がなく、症状による辛さも少ないのであれば、症状と向き合いながら生活するという選択肢もあります。

 

ただ、生活や仕事などに支障が出たり、気持ち的にも辛い場合は、一度専門医の元を訪ねることをおすすめします。

大人のチック症は何科に行けばよい?

一般的に、チック症は子どもが発症するケースが多く、その場合の治療先は主に小児科や小児神経科、児童精神科などになります。

 

年齢制限を設けているところもあるので、受診前に、一度電話で確認する方が良いでしょう。

 

一方、大人のチック症の場合は、心療内科や精神科で診察を受けられます。

 

加えて、精神神経科や神経内科のある医療機関であれば、より治療を受けやすくなる可能性があります。

 

また、NPO法人日本トゥレット協会のホームページでは、「トゥレット症候群が診察できる医療機関一覧が公開されています。

 

全国の医療機関がまとめられていますので、参考にしてみると良いでしょう。

 

初診の場合は、あらかじめ各医療機関のホームページを確認したり、事前に問い合わせをしておくと、診察をスムーズに受けられる可能性があります。

大人のチック症の治療方法は?

チック症の治療方法は、一人一人の症状の程度によって、また併発症の程度にあわせて決められます。

 

症状の重症度に関係なく、まず最初に行うのは、「心理教育」と「環境調整」です。

 

他には、症状や程度にあわせて「認知行動療法」を行ったり、場合によっては「薬物療法」を行うこともあります。

心理教育

チック症のある方をはじめ、家族や職場の同僚や上司など、周りの人にチック症のことを正しく理解してもらうことを目指します。

環境調整

チック症そのものの治療ではなく、症状の悪循環が起きないように、周囲の環境を整え、工夫します。

 

チック症のある方は、医師や臨床心理士によるカウンセリングや認知療法などによって、ストレスを減らす工夫を行います。

 

周囲の人へは、チック症による行動や言動に対しての配慮・理解を求めます。

薬物療法

心理教育や環境調整だけでは解決できない、または効果が薄い場合には、薬を用いて治療を行うこともあります。

 

使われる薬は、専門医と相談することになりますが、チック症だけでなく、併発する症状も含めて、どの症状に最も効果が期待できる薬を使うのか、見極めていくことになります。

 

例えば、チック症の治療薬でよく使われる薬の一つに、抗精神病薬があります。

 

抗精神薬は、チック症の原因の一つだと考えられているドーパミンの働きを抑える効果があります。

認知行動療法

「認知行動療法」とは、学習の法則に基づいて行動の調整を目指す「行動療法」と、認知のクセを変えることでストレスを減らすことを目指す「認知療法」を組み合わせた心理的な治療法です。

 

認知行動療法の治療法の例は下記の通りです。

  • 機能分析
    どのような時に症状が表れるのか?悪化するのか?を分析し対処する
  • リラクゼーション
    緊張・不安・イライラなどがチック症のきっかけになっている可能性があるため、リラックスする方法を学ぶ。
  • ハビットリバーサル(習慣逆転方法)
    チック症の動作と同時に出来ないことを行うことでチック症を制御し、症状を抑える。

例えば、まばたきを必要以上にしてしまう症状の場合、真逆の「目を見開く」という行為を意図的に行う。

治療方法のまとめ

いずれの治療方法も、それだけでチック症を完治させるものではなく、症状を軽くしたり、どのように考え、行動すれば、チック症と上手く付き合いながら生活できるかを目指します。

 

チック症は、強迫症や注意欠如、多動性障害、睡眠障害、抑うつ傾向、怒り発作などの併存症があらわれるケースがあります。

 

これらの併存症の症状が重い場合は、そちらの対応・治療を優先的に進めていくこともあります。

大人でチック症のある方が日常生活でできる工夫

チック症のある大人の方でも、上手く症状と付き合いながら、社会で活躍されている方はたくさんいます。

 

ここでは、大人でチック症のある方が、仕事や日常生活でできる工夫について解説します。

周りの人に症状を伝え、理解や配慮を求める

周囲の人にチック症について、理解してもらうことは大切です。

 

その行動・言動が本人の意志とは無関係で起きてしまうことを理解してもらうことで、緊張感や不安を軽減することができるでしょう。

 

可能であれば、直属の上司や同僚などに症状について伝えておくことで、必要な配慮や支援を求めたりすることもしやすくなります。

症状が重い時や辛さを感じる時に休める場所を決めておく

人によって、仕事中は不安やストレスなどの精神的な負担を感じることが多いため、チック症の症状が重くなるケースがあります。

 

もしチック症による症状がきつく、辛さを感じた場合に、一人で落ち着ける場所を、社内や近場など可能な範囲であらかじめ決めておくと良いでしょう。

ゆっくりできる時間を確保し、しっかり休む

チック症による症状を抑えるために、気持ちを落ち着かせることはとても大切です。

 

自分に合ったリラックス方法を見つけることで、チック症の軽減、再発防止に役立つでしょう。

福祉サービスを利用できる場合も

チック症、およびトゥレット症候群は、日本では発達障害に含まれるので、様々な障害福祉支援サービスを受けることができます。

 

チック症のある大人の方が、就労に関する相談をする際の主な窓口は、下記の通りです。

  • 精神障害者社会適応訓練事業(通院患者リハビリテ-ション事業)
  • ハロ-ワ-ク(公共職業安定所)
  • 障害者職業センタ-
  • 障害者雇用支援センター
  • 障害者就業・生活支援センタ-

大人のチック症のまとめ

チック症は一般的に、子供に発症するケースが多いですが、大人になってから発症したり、再発するケースもあります。

 

チック症には様々な対処法や治療法がありますが、まずは周囲の人に症状について正しく理解してもらい、協力・支援を得ながら、症状の緩和を目指していくことが大切です。

 

日常生活に支障がない場合や困難や苦痛を感じない場合など、必ず病院で治療しなければいけないものではないので、症状や環境にあわせて、ご自身に合った対応を進めていくと良いでしょう。

チック症のある方の就職サポート

チック症などで働くことにお悩みのある方への支援として、「就労移行支援」があります。

 

就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。


LITALICOワークスではチック症のある方の就職実績も豊富にあります。治療法や対処法、周囲の協力や支援を得る方法などを理解し、無理なく自分らしく働ける仕事を一緒に見つけましょう。
働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。

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参考文献・URL

更新日:2024/04/18 公開日:2022/02/18
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