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認知行動療法(CBT)の方法や効果とは?病院や自分で行う場合を解説します

認知行動療法(CBT)とは、物事のとらえ方(認知)や行動に働きかけて、ストレスを軽減する心理療法のことです。元々「認知療法」と「行動療法」が別々に発展しましたが、近年では「認知行動療法」と合わせて呼ばれることが多いです。

 

認知がゆがむことで何でもないことでも大きなストレスとなり、行動にも影響が出ます。カウンセリングなどでその認知のゆがみを整えて、行動を変えていくことで、同じ場面でもストレスを軽減し気持ちをコントロールできるようにすることが認知行動療法です。うつ病などの精神疾患の治療において効果があるとされています。

 

この記事では認知行動療法の意味や効果の説明と、病院で受ける場合や自分で行う場合の方法などを解説していきます。

認知行動療法(CBT)とは?

物事の捉え方のことを「認知」といいます。

認知は同じ出来事があっても人によって変わってきて、この認知に偏りがあることで何でもないことでもストレスを大きく受けることになります。そして認知は行動にも影響を与えます。

 

例えば何かの試験を受けていて、残り時間が10分となったときに「あと10分もある」と思うか「あと10分しかない」と思うのでは、感じるストレスに違いが出てきます。そして「あと10分しかない」と思った場合は焦って書き間違いをするなど、行動にも影響が出てきます。

認知行動療法はその認知と行動に働きかけて、思考のバランスを整えストレスを減らしていく精神療法のことです。うつ病・統合失調症・パニック障害・ADHDなどのさまざまな疾患・障害の治療に用いられます。

認知療法とは?

認知療法とは偏った認知を整え、柔軟な考え方が出来るようにする療法です。うつ病などの場合は物事を悲観的・否定的に捉えることが多くあります。そういった認知の癖に気付き、現実に沿ったものに整えていくことでストレスを減らしていきます。

 

セラピストと面談や、紙に書き出すことで自分の考え方の偏りを冷静に振り返り、適応的な思考に変えていく「コラム法」などの方法があります。

行動療法とは?

行動療法とは行動上の問題に注目し、どういった行動が適切かを考え実行することで、問題を解消する療法です。

例えばパニック障害の方が「パニックになるかもしれない」という恐怖で電車に乗れない場合は、セラピストと一緒にまず駅に行く、各駅停車に乗る、など徐々に慣れさせていくことで最終的に「電車に乗っても大丈夫」と実感できるようにする「暴露法」などの方法などがあります。

 

認知療法と行動療法は別々に発展してきましたが、相互に関係していることが分かってきたため、1980年代になると合わせて「認知行動療法」と呼ばれることが多くなりました。

自動思考について

自動思考とは文字通り何か出来事があった際に「自動で浮かぶ考え」のことです。

こういった場面を想像してみましょう。時間は朝で場所は学校でも職場でも大丈夫です、普段よく会話する同級生や同僚とすれ違ったので、あなたは挨拶をしました。しかし、その相手はあなたに挨拶を返さずにそのまま通り過ぎてしまいました。そんな時どういう気持ちになるでしょう?

  • 嫌われたのかな
  • 失礼な人だ
  • 体調悪いのかな
  • 聞こえなかったのかな

どうだったでしょうか?今浮かんだ考えが自動思考です。
ここに挙げた以外の考えが浮かんだ方もいると思います。

 

自動思考自体に良い悪いがあるわけではありません、しかし現実と自動思考のずれが大きいとさまざまな問題がおきてきます。

 

この場合だと、相手はただあなたの挨拶に気付かなかっただけかもしれないのに「嫌われた」と思い悩んでしまうと、ストレスとなるだけでなくその後の相手との関係もぎくしゃくするなど、精神・行動両方に影響が出てしまいます。

 

認知行動療法はこの自動思考と現実のずれを整えていく手法です。

スキーマと自動思考の関係

自動思考は人それぞれ違っていて「スキーマ」というものが基となっています。

スキーマとは無意識の価値観の事で、海に浮かぶ氷山によく例えられます。
「嫌われた」「失礼な人だ」というのは海面(意識)に浮かぶ考えで、その考えの根拠となっているのが海中(無意識)にあるスキーマということです。


先ほどの例で言うと、挨拶が返ってこなかったときに「嫌われた」という自動思考が浮かんだ人は、無意識化に「自分は人から好かれない」というスキーマがあるからかもしれません。

そういう方は「会話している最中に相手が時計を見た」「既読がついたのに返信が来ない」といった時にも「嫌われた」という自動思考が浮かぶ傾向があります。

もちろんここに書いた例だけではわかりませんので、スキーマを判断するときは主治医に相談するなどしましょう。

スキーマ自体に働きかける治療法は「スキーマ療法」と呼ばれていて、認知行動療法とはまた別の治療法となります。

 

認知行動療法(CBT)とは?スキーマと自動思考の関係

認知行動療法のやり方・方法

認知行動療法は医師やカウンセラーなどと一回30分以上の面談を16~20回ほど行うことが多く、以下のような流れで進めていきます。期間は3ヶ月程度かかるといわれています。

 

  • 自身のストレスに気付いて、問題を整理する
  • その問題がどのような状況で起き、どのような感情を引きおこしてるか整理する
  • 自動思考が自身の感情や行動にどのように影響しているのか探っていく
  • 自動思考の特徴的なくせに気付く。
  • 自動思考と現実とのズレに注目して、現実にそった見方に変える練習を行う
  • 問題を解決する方法や人間関係を改善する方法の練習を行う

実際には面談だけでなく、自身で取り組む「ホームワーク」なども平行しながら進めていきます。

 

※「ホームワーク」とは宿題という意味で、面談で話した内容を元に、次回の面談までに実践する課題のことです。

認知行動療法の効果

認知行動療法は認知の偏りを整えていくことで、今まで感じていた負の感情やストレスを軽減する効果があります。

また方法を身につけることで、治療を行っている時だけでなく日常生活でも些細なことに左右されなくなるという効果もあります。

 

次に「コラム法」という方法を挙げて具体的に流れと効果を説明します。

コラム法

ここでは認知行動療法の1つ「コラム法」を通して効果を見ていきましょう。


コラムとは枠という意味で、紙に引かれた枠線の項目に沿って「出来事」「自動思考」「感情の点数化」「適応的思考」「感情の再点数化」を記載していきます。
書くことで客観的に見ることができるようになります。このことは「外在化」と呼ばれており、外在化することで自分の認知の癖に気付き、現実とのバランスを整えていくことに役立ちます。

 

<コラム法で記載する項目>

  • 「出来事」
    →出来事をなるべく事実のみ書くようにしましょう
  • 「出来事への自動思考」
    →出来事が起こったときに感じたことをそのまま書きましょう
  • 「感情の点数化」
    →その時の感情とどのくらいの強さかを100点満点で書きましょう
    (感情の例:悲しみ、不安、焦り、不安、怒り、憎しみ、イライラ、恥など)
  • 「適応的思考」
    →自動思考以外にも別の考え方がないかを書いていきましょう
  • 「感情の再点数化」
    →適応的思考をした後に感情に再度点数をつけましょう

 

この取り組みを通して、感情を落ち着かせ多角的に物事を見ることが出来るようになり、同じ出来事があっても冷静に判断ができるようになる効果があります。

 

今回は「挨拶が返ってこなかった」時に「嫌われた」と自動思考が浮かんだ、という例で行っていきます。

 

認知行動療法のやり方・方法?コラム法

 

このように「嫌われた」という自動思考で不安や悲しみなどの感情が強く出ていたのが、「聞こえていなかったのかも」など他の可能性も考えることで、感情が落ち着いていきました。

数字を書くことで視覚的にも気持ちが楽になったという効果が実感できます。


コラム法は他にも「3コラム法」「7コラム法」などの種類があり、最初は時間がかかるかもしれませんが、繰り返し行うことで書き出さなくても頭の中で同様な処理ができるようになります。

認知行動療法を病院で受ける流れ

認知行動療法は精神疾患のある方にとって薬物療法と同じくらい効果があると言われています。どちらが優れているというわけではなく、併用していくことでより効果が期待できます。

認知行動療法は主には以下のような疾患のある方に行われることが多いです。

  • うつ病
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • 社交不安障害(社交不安症・対人恐怖症)
  • パニック障害(パニック症)
  • 強迫性障害
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害) など

 

医師やカウンセラーに相談をする

認知行動療法は沢山の種類があります。

自分の症状に合わせた方法を取ることが大切になってきますので、まず通院先の病院で認知行動療法を行っているか、主治医やカウンセラーに相談してみましょう。


まだ診察を受けていない方は、精神科や心療内科を予約する際に、認知行動療法を受けることが可能なのか確認してみましょう。

面談を通して治療を行う

認知行動療法は面談を通して行っていきます。

人によって認知は違ってきますので、まずは医師やカウンセラーとともに問題を整理し、目標を立てていきます。


そこからその方に合った各種療法を行っていきます。面談は一回30分~1時間程度で、その中で一緒に療法を行い、ホームワークといって家でできる宿題を次の面談までに進めておくというサイクルが一般的です。

認知行動療法は時間をかけて行われる

認知行動療法の期間は、その方の状態や実施機関の方針などで異なってきますが、面談でいうと16~20回を3ヶ月以上かけて行われることが多くあります。


認知行動療法は一度行って終わりではなく、認知を変えていくためには時間をかけて繰り返し行っていくことが必要となるためです。

費用について

認知行動療法にかかる費用はさまざまなケースがあります。特定の疾患については厚生労働省のマニュアルに沿って行う場合は健康保険が適用となります。

全額自己負担の場合もありますので、事前に医師やカウンセラーに費用の確認をしておきましょう。

認知行動療法は自分で行うこともできる?

通院先で認知行動療法を行っていない、費用が掛かることを負担に感じるなどの理由で、自分一人で試したいと考える方もいるでしょう。


認知行動療法は個人で行っても効果があると言われています。ただしやり方によっては逆効果になることもあるので、書籍などに従って行っていくといいでしょう。

現在は本以外にもWEBサービス、アプリなどで手軽に認知行動療法を行うこともできます。

 

例えばU2plusというサイトでは認知行動療法をベースとしてうつ病のコミュニティサービスを行っています。

 

その他にもWEBサービスではコラム法などのワークシートがダウンロードできるサイトもあります。
また書籍では順番にワークを進めていくことで、認知行動療法の効果を実感できるものなどもあり、アプリでは自分の認知や体調などを記録してグラフなどで表示する機能がついているものもあります。


こういったサービスは好きなタイミングで認知行動療法に取り組むことができ、費用もそれほどかからないため、ご自身の状況に合わせて活用していきましょう。

 

認知行動療法の種類

  • コラム法
    コラム法はワークシートに出来事と、その時の感情、適応的な思考を書いていくことで、自分の認知の癖に気付き、バランスを整えていく認知療法です。
    3コラム、5コラム、7コラムなど種類があり、カラム法とも呼ばれています。
  • 暴露療法(エクスポージャー法)
    不安を感じている事に対して、段階をつくり徐々に慣れていくことを目指す行動療法の事を暴露療法といいます。
    例えばパニック障害のある方が、満員電車に乗ることに強い不安がある場合は「駅に行く」「各駅停車に乗る」など不安が小さいものから順番に行うことで、無理なく慣れていくという方法を取ります。
  • セルフモニタリング法
    手帳やワークシートに自分の事を記録していく行動療法です。
    記入するのは就寝・起床時間、行動したこと、体調や気分を点数化したものなどで、それを一定期間(1週間・1か月など)続けて振り返ることで、客観的に自分の体調や気分の変化をの傾向を知ることができます。
    自己理解ができることで対策が打てるようになり、体調・精神の安定につながっていきます。手帳やアプリなどでもできるため、比較的個人でも取り組みやすいものです。
  • リラクセーション法
    人はストレスを受けると、心身が緊張し、緊張が長く続くことで自律神経の不調など悪影響が出てきます。
    そういった緊張をゆるめてストレスの予防・緩和を行うのがリラクセーション法です。一度体に緊張を作ってからゆるめる「漸進的筋弛緩法」や、落ち着ける姿勢で公式に沿ってリラックスをする「自律訓練法」などがあります。


他にも様々な種類があり、状況によって活用していきます。

認知行動療法のまとめ

認知行動療法は自分の認知の癖に気付き、バランスを整えていくことで、ストレスを軽減させる療法です。

うつ病などの精神疾患のある方にも、ストレスをためがちな方にも効果が期待できます。


自分の考え方自体に良し悪しはありませんので、まずは自分の気持ちを受け止めて、生きやすくするために現実とのバランスを取るために活用することを検討してみるといいでしょう。

 

就職についての支援を検討されている方向けに、LITALICOワークスでは就職相談を受け付けています。自分らしく働くための方法を一緒に考えてみませんか?お気軽にお問い合わせください。

  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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