うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -ビル管理-
「つい無理をしてしまう」定着支援で不安解消
女性/20代/ビル管理/事務職
うつ病(精神障害)
仕事中に倒れてから気付いた「うつ病」
真面目で努力家、常に自分に厳しいBさんは、睡眠時間を極端に減らして勉強をするなど、無理をしてしまう傾向が強いようでした。学生の頃は、クラス委員や生徒会など、常に人に見られる位置に立ち続けていたため、人一倍努力し「常に体に力が入っていた」と話していました。元気な挨拶、ハキハキとした返事など、周りの人から褒められれば褒められるほど頑張ってしまい、常に肩に力がガチガチに入っている様子から、いつしか「無理をしているのではないか」と周りからも手に取るように感じられるようになりました。
周りからの期待は自分にとって大きな負担となり、いつしか人に言えない重い足かせとなって自分を苦しめてきました。あるとき、職場でも同じような状態だったBさんは仕事中に倒れてしまいました。目が覚めたらそこは病院のベッドの上。退院してからも体はよくなったはずなのに、疲れは取れません。仕事にもなかなか出勤できないのが不思議に思ったBさんは病院に行き、そこでうつ病(精神障害)と診断されます。
自分が「うつ病」だということは意外にも素直に受け入れられたそうです。
今までに何度か「もしかしたら、うつ病なんじゃないか」という考えが頭にあったといいます。しかし、うつ病になった自分は今後どうしたらいいのか分かりません。また働くことができるのか不安もありました。そんなとき、母親の友人からLITALICOワークスの就労支援を紹介されました。
うつ病を開示しての就職活動と仕事
LITALICOワークスで就労支援を利用するようになってから、今までの自分を取り返そうと頑張っていましたが、日を追うごとに疲労の色が見えはじめました。そこで私たちは「無理してまで頑張ること」を減らしていくことからはじめました。
例えば、疲労の要因を検討するため、疲れたときはプログラムにかける時間を短くするなど体調管理の方法を一緒に考えました。そして、疲れたときには正直に周りのスタッフに伝えることをルールとしました。
はじめはためらっていましたが、徐々にスタッフの前では疲れたら「疲れた」と言ってくれるようになり、Bさんがどんなときに疲れを感じるのか知ることができ、改善することができるようになりました。
就職するため、各種ワークショップに参加し働くことについて考えたり、パソコンの学習にも力を入れ、見事MOS(Microsoft Office Specialist)試験にも合格しました。しかし、仕事に対する不安や焦りは減らず、面談の機会が増えていきました。Bさんに合った働き方を一緒に考え、悩んだ末に「うつ病を開示しての就職・仕事」を目指すことになりました。
そんな中、病院のケースワーカーさんやご家族とも相談し、勤務日数や時間の配慮のできる雇用先に内定が決まりました。まだ体調面に不安はありましたが、Bさんは思い切って就職することを決意しました。
就職がゴールではない、就職後の定着支援
私たちは就職が決まったあとも不安などを取り除くための定着支援をおこなっています。Bさんの場合は「無理をしすぎる点」と「体調面」について不安があったので、それを取り除くために定期的な面談の機会を多く設けました。
最初は肩に力が入りすぎることも多かったのですが、定期面談をおこなうことで徐々にその不安は解消されていったようです。最初の面談では不安な言葉が多く出ていましたが、徐々に前向きになっていく様子が見え、「最初はやっぱり不安で考えすぎてしまうことも多かったのですが、こうやって面談していくうちにだんだんと心が軽くなっていることが分かりました。また、職場の皆さんに気遣っていただき、体調が悪くなるとすぐに声をかけてくれます。周りの人たちのおかげで私も楽しく仕事ができていて、それが本当にうれしいんです」と話していました。
LITALICOワークスでは状況に合わせて職場の担当者へ情報共有をおこなっています。また体調が悪そうな様子があると、職場の方から休憩・早退を促していただくことをお願いしました。就職が決まってからも不安や葛藤はまだまだ続いていくため、長く働けるためのバックアップ体制にも力を入れています。
就職することは決してゴールではありません。就職してからも心が安定した状態で続けていけることが何よりも大事なのだと私たちは考えています。
※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。