うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -福祉・介護-
障害は非公開で、希望の就職へ
女性/40代/福祉/介護
うつ病(精神障害)
LITALICOワークスの就労支援に出会うまで
Uさんは気分障害と診断されています。コミュニケーション力が高く、誰に対してもフレンドリーな人です。LITALICOワークスの中でも他の利用者さんに積極的に話しかけ、気遣いもできるとても優しい一面を持っています。
Uさんはヘルパー資格を持っていたので、その資格をいかして、介護職で就職したいという希望を持っていました。しかし、自分の症状が就職活動や就業の妨げになるのではないかと考え、その壁を乗り越えるトレーニングのためにLITALICOワークスの就労支援を利用することを決めたそうです。
Uさんは、最初に書いたように周囲への気遣いができる優しい人です。しかし、お喋りがすぎてしまうことから、トラブルに発展することもしばしばありました。また、人に対して気を使いすぎたり、必要以上に相手を心配しすぎたりしてしまうことから、周りの人から「余計なお世話だ」と言われてしまうこともありました。また、気分障害のため不安定になることも多く、プログラム中に泣き出してしまったこともありました。
気分障害は精神障害の中の1つとして分類されています。気分障害には「うつ病」 や「双極性障害(躁うつ病)」などがありますが、共通する症状として気分が正常の範囲を超えて高揚したり、落ち込んだりすることが一定期間続きます。Uさんはそうした症状にとても苦しんでいました。
「ひとりSST」で話し方をシンプルに
LITALICOワークスのカリキュラムのなかで、他の利用者さんも一緒におこなっている通常プログラムと平行して「ひとりSST(社会技能訓練)」をおこないました。結論から話す、余分な言葉を長く付け足さないことを踏まえて、簡潔に話せるよう何度も何度も練習をしました。また、その日に思ったことや課題に感じたことを紙に書き出してもらい、スタッフと一緒に1つずつ練習していきました。
就職活動は、ヘルパー資格をいかした介護職に就きたいというUさんの希望もあって、応募先は介護の仕事に絞り込みました。
Uさんの希望する事業所は、自分でみつけてきた一般求人でした。面接のときに障害を開示するかどうか悩み、一時は塞ぎこんでしまったこともありました。
しかし、スタッフと毎日のように面談をおこなって見つけ出した答えは、「自分がやりたいと思える仕事なので、それを縁だと思い、障害はクローズ(非開示)で頑張ってみます」というものでした。
当然Uさんも私たちも不安はありましたが、何度も話をして出した結論に迷いはありませんでした。
就職後に分かった、大切なこと
希望企業の求人に応募し、東京都内の介護施設に就職することができたUさん。就職が決まってからも定期的に面談をおこなっています。働くうえでの苦労もいろいろあるようですが、LITALICOワークスに通っていた頃以上に明るい顔を見せてくれたので私たちも安心できました。元々コミュニ ケーション力が高いUさんでしたので、新しい職場でも人付き合いを含めて上手くいっているようです。
就職して数ヶ月が経ったある日の面談でUさんはこう言いました。
「壁にあたり、それを乗り越えることで、それなりに成長していると感じます。人間関係も相手目線を意識することで、随分と楽になりました。障害をオープン(開示)でもクローズ(非開示)でも、相手の立場も考えつつ自分の意見も伝える努力を持ち続けることが大切だと思います 」
「相手目線を意識する」「相手の立場を考えて伝える」、これらのことはつい忘れがちになってしまうところですが、よりよい人間関係を築いていくために必要なことだと、Uさんに改めて教えていただきました。
※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。