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障害のある方の就職事例

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -事務-

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -事務-

極度の人見知りを乗り越え、引きこもり生活から初就職へ

男性/20代/金融/事務職

統合失調症(精神障害)

引きこもりから「外に出る」ことへ意識の変化

人見知りが激しく、高校生になってから友だちとの交流がないSさん。学校では1人で過ごすことが多く、帰宅後や休日は自分の部屋で引きこもっていました。高校2年の2学期から頭がボーっとする状態が頻発し、徐々に学校を休みがちになっていきました。心配した母親と総合病院へ行くと、心療内科へ案内され、ストレスが原因とみられる「統合失調症」と診断されました。

その後も通院しながら学校へ通っていましたが、高校3年の2学期以降は不登校に。高校の補講などを受けながら何とか高校を卒業するも、体調はいっこうに良くならず、2年以上引きこもりの生活を送っていました。Sさんの将来を心配した母親が、インターネットで統合失調症でも働くことができるのか・求人はあるのかなどを検索していると、「障害者就労移行支援事業所」があることを見つけ、心療内科の先生に相談しました。

先生から「通うこと自体は家から出ることも含め、とてもいいこと。でも、はじめは週2~3日で時短でも通える所が条件」と言われ数ヶ所、就職支援に関する事業所を紹介されました。Sさんに打診すると、はじめは渋っていたものの、両親との話し合いで「将来を考えると働くなら早めに動かないといけない、ずっと引きこもっていても何もはじまらないから見学だけでも行く」という結果になりました。母親と一緒に紹介された事業所の全てに相談・見学しました。相談・見学をしていくうちに、だんだんと「外に出て活動する」というイメージができ、最終的にSさんの意思を尊重してLITALICOワークスに通うことを決めました。

難題だったコミュニケーション

心療内科の先生に言われた通り、LITALICOワークスに通う頻度を「週3日・午前中のみの時短」でスタートしました。初日からずっと緊張状態が続き、話すだけで疲れてしまうSさん。疲れがたまり早退することもしばしばありました。利用を開始してから何度もLITALICOワークスへ通うことを辞めたいと、両親やスタッフに伝えていました。しかし、「アルバイト経験もないのに1人で就職活動ができるのか」と両親の必死の説得を聞き、自分の将来について再度考えたSさんは、「もう少し頑張ろうと思う」とスタッフに自ら伝えてくれました。

続ける決意をうれしく思う反面、スタッフには心配ごとがありました。
パソコントレーニングなど1人取り組むことは得意で問題なく進めていましたが、プログラム中・休憩時間・面談などに、他の人であれば相談や雑談の1つもするところが、自分の体調以外のことをほとんど話すことがありません。

Sさんから自分の気持ちを話す・相談できる環境づくりをするために、各プログラムの中で、「なるべく相手の顔を見る」「非言語のコミュニケーション(頷き・表情など)を意識する」ことを念頭に置いて、グループワークに参加するようにしました。はじめは参加するのみで、発言をしようとしても緊張や不安で発言できない状況が2ヶ月くらい続きました。スタッフはSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を増やし、他の利用者の発言の良かった所を一緒にほめることからはじめました。そうするうちに、Sさんは段々と自分の意見を発言できるようになり、休憩時間などの雑談も自然と交わせるように。通う頻度も週4日・フルタイムに増やしました。

面談で、就職活動の準備を促すと「今まで働いたことがないからイメージできないけれど、体力がないので肉体労働は難しいと思う。パソコンはそこそこできるのでデスクワークならば……」と不安と期待が入り交じっている様子でした。LITALICOワークスの求人イントラネットで企業を探し、Sさんが少しでも興味を示したものは職種を問わず見学を何度もおこない、企業で働くイメージを付けていきました。

体験実習で高評価、そのまま就職へ

企業見学を何社もおこなった結果、得意分野であるパソコンを使った事務職に興味を持ったSさん。体験実習に2社行き、2社目の企業でSさんの働きぶりを見た企業担当の方から体験実習終了後、「一生懸命・真面目で穏やかな人柄。報連相がきちんとできているし、パソコン操作が想定以上にできているので、ぜひこのまま働いて欲しい」というオファーをいただきました。

Sさんは喜びと共に、1社目に体験実習で行った企業も気になっていました。スタッフが少し考える時間をくださいと伝えると、「ぜひいいお返事をお待ちしています」と言われたことをSさんに共有すると、悩みが吹っ切れたようで、「企業担当の方との相性が良いと思う」との回答が。

さっそく企業へ連絡すると、企業担当の方も喜んで「いつから・どのくらいのペースで通勤がよろしいでしょうか」と話はトントン拍子に進みました。結果、LITALICOワークスに通いはじめて9ヶ月で就職されました。まずは週4日から1日7時間勤務することに決定しました。Sさんも両親も、初就職に大喜びでした。

新しい環境に対してとても緊張される方だったので、スタッフは心配していましたが、定着支援で面談に行くと、全くそのような様子はなく自信に満ち溢れていました。

Sさんは今後について「仕事をはじめて2週間、自信がなくなることはなくもっと仕事を増やしても大丈夫」「いつか1人暮らしをしたい」「今悩んでいる人に自分の経験を役立たせたいと思っている」と笑顔でスタッフに話してくれました。

もうすぐ就職してから1年半になるSさんは週5日通勤し、勤務時間を1日8時間に増やしました。勤怠も安定して上司の方からの評価も高く、毎日充実しているとのこと。仕事がお休みの土曜日は、時々LITALICOワークスを訪れます。利用者の方々に声をかけたり、スタッフと談笑したりする姿は、LITALICOワークスに通いはじめた頃とは別人のようにいきいきとしていました。

 

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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