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障害のある方の就職事例

ADHD・広汎性発達障害(発達障害)の仕事・就職事例 -鉄材加工・運搬-

ADHD・広汎性発達障害(発達障害)の仕事・就職事例 -鉄材加工・運搬-

ADHDの特性を理解するも行動に出て苦悩

男性/20代/商社/金属加工

ADHD(注意欠陥・多動性障害)・広汎性発達障害(発達障害)

高校時代のジレンマ、「ADHD」の診断で特性を受容

工業高校に通っていた頃、クラスに親しい友だちは特におらず、部活仲間と交流していたNさん。CAD部に所属し、CAD製図法を学び図面を作成、作成データを使い簡単な模型製作をして、1年生の2学期までは楽しく高校生活を送っていたNさん。しかし部員の間で、Nさんが作業中に頻繁に話しかけてきて、制作が進まないと、数人から顧問の先生へ意見があがりました。そのことを先生からやんわりと伝えられるも、興味のあることに関して話をすることの何がいけないのかNさんは理解できませんでした。そして、部員のみんなに直接「もっと話をして楽しくやっていこうよ」と発言したことが部員は釈然とせず、次第にNさんを避けるようになりました。

部活という唯一の心の拠り所を失ったNさんは、何がいけなかったのかわからないまま退部することに。授業以外の時間は図書館にこもって図面を作成したり、読書をしたりして1人で過ごしました。部活や普段の行動についていろいろと話を聞いていた両親は、Nさんが部活の話をしなくなったことや、どんどん元気がなくなっていく姿を心配しました。

Nさんの幼少期から現在までの言動・行動や学校の先生に言われたことなどを振り返った母親は、インターネットで調べていくうちに、「発達障害」「ADHD」などがNさんに当てはまるのではないかと思い、心療内科へ。そこで「ADHD」と診断され、「広汎性発達障害」の傾向もあると言われました。両親はショックを受けていましたが、当のNさんはADHDや広汎性発達障害について詳しく調べていくうちに、部活でのいざこざは自分の特性にあったことがわかり、少し心が穏やかになりました。

診断された時期が高校3年次だったため、母親が卒業後の進路について担任・進路指導担当の先生やハローワークに何度も相談しました。まずは障害者手帳を取得し、障害者雇用での就職を勧められました。戸惑いもありましたが、「Nさんが働くにあたって合理的配慮があった方が働きやすい」という言葉を信じ、技術職での障害者雇用枠へ応募し、CADを使用する仕事で就職が決まりました。

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入社後、「障害者雇用」から「一般雇用」へ変更

障害者雇用で入社後、半年も経たない頃、Nさんの働きぶりを見ていた上司が「障害者雇用での入社だが、大丈夫そうだから一般雇用に切り替えて働かないか」との打診がありました。一般雇用で働くメリットに給与昇給があり、額面に不満のあったNさんは喜んで一般雇用に切り替えを受けることにしました。

しかし、一般雇用のデメリットや障害者雇用のメリットについては理解していなかったため、一般雇用への切り替えがNさんを苦しめることとなりました。

障害者雇用で働いていた時に「思ったことをすぐに口にする」「仕事に集中できず、すぐスマホを見てしまう」などを特性として理解を得ていたことが、一般雇用では通用しません。障害のあることを知っているのは上司のみという状況で、仕事中に先輩から指示を受けておこなっていたCADでの図面設計を確認してもらったところ、修正点をいくつか伝えられました。

しかし、その修正内容に納得がいかなかったNさんは「新卒でもCAD歴は先輩より長いです。修正する必要がありますか」とその場で発言。職場の空気が一変しました。直属の上司以外、Nさんの特性を知らない部内の先輩たちにとって今回の発言の他にも、Nさんの行動・言動に疑問を持っていたため、Nさんへの風当たりが強くなりました。

働きづらさを感じながらも、半年間ほど頑張って仕事を続けましたが、辛くなり上司や主治医に相談するも解決策が見つからず、「一般雇用で働くことは難しい」と判断し、就職後1年も経たずに退職することに。

退職後、しばらくゲームをして過ごす日々を続けるも、母親から「このままだと引きこもりになる」と言われ、促されるがままハローワークへ行きました。しかし、紹介された企業の清掃業務に興味が持てず、工業系の求人はあるかと聞くと、今のところNさんに合う求人はないと言われました。

ショックを受け、自ら障害者雇用の求人をインターネットで探すも、なかなか気になる求人がなく行き詰まる就職活動……そこで通院した際、主治医にハローワークでの出来事を相談しました。話を聞いた主治医は、Nさんが1人で就職活動をすることは難しいと判断し、就職支援をしている所に通ってみてはどうか、と提案されました。

1人で就活をすることに不安があること、就職活動の方法がわからない旨を伝えると、LITALICOワークスを紹介され、母親と共に相談・見学に行きました。高校や前職での困りごとを振り返ったNさんは、就労支援の他に就職後に定着支援があることに惹かれ、LITALICOワークスを利用することにしました。

「人との距離」「極端な落ち込み」、見えてきた課題

LITALICOワークスに通いはじめてしばらくは、特定のスタッフとは話をするものの、他の利用者との会話がなかったNさん。しかし、グループワークで意気投合した利用者と雑談をするようになり、スタッフは安心していました。また、利用当初から「早く就職したい」とスタッフに伝えていたため、積極的にプログラムに参加し、パソコントレーニングをし、LITALICOワークスの求人イントラネットを見ては応募をしました。

LITALICOワークスに慣れてきた頃、Nさんの特性が目立ちはじめました。特定の利用者に対して、個別トレーニング中や休憩時間に何度も話しかけたり、年齢の近いスタッフと話しはじめると止まらなくなったり、あるスタッフが不在の日はイライラして他のスタッフに当たったりするようになりました。また、応募した書類が通らなかったり、面接がうまくいかなかったりすると、極端に落ち込んでしまい、勤怠が急に悪くなってしまいました。

ストレスのコントロールや気分の落ち込みを最小限にするため、コミュニケーションやストレスマネジメントなどのプログラムを多めに設定。人との程よい距離を保つ方法や、ストレスや気分の落ち込みの対処法をメインとしたプログラムに取り組みました。1ヶ月ほど続けるうちに、スタッフ・利用者との距離感を掴み、落ち込み具合も改善されていきました。

就活へ向けた企業インターンでは、清掃・事務・接客の3職種を経験し、「マルチタスクが求められる接客は難しい」「ずっと座って仕事をする事務はつらい」「マニュアルがあって、動きのある仕事がいい」などの自己分析ができるようになりました。実習を通して「やっぱり工業系の仕事に就きたい」という結論に至りました。

壁を乗り越え、希望職種へ就職

自分の特性や、企業に求める配慮をまとめたレポートをスタッフと共有し、求人検索をしました。工業系の求人が少ないことにショックを受け落ち込むこともありましたが、スタッフとの面談でモチベーションを保つことができるようになりました。

そして鉄鋼を扱う商社での鉄材の加工・運搬の仕事を見つけました。加工の際、図面を扱うことがあるということがわかり、この企業で働きたいという思いを強く抱きました。

しかし面接に不安があったので、スタッフと何度も模擬面接で練習をしてから面接へ。その結果、内定をもらうことができました。Nさんに結果を伝えると、喜びが爆発! 利用者一人ひとりに「内定が出た!」と触れ回ってしまいました。スタッフはNさんに「これから面接を受ける人も就職に対して不安を抱いている人も、黙々と個人トレーニングをおこなっている人もいるから、一人ひとりに言うことではない」と伝えました。Nさんは「またやっちゃった。就職先では本当に気をつけます」と笑って反省していました。

定着支援で企業訪問をした際に、「想像以上に求めている配慮をしてくれる」「相談しやすい・話しやすい環境でとても働きやすい」「このままずっとこの仕事を継続して、いずれは、自立して1人暮らしができるようになることが目標です!」とスタッフに力強く語ってくれました。そして積極的に仕事内容の提案をしているNさんは、LITALICOワークスに通いはじめた時とは別人のように輝いていました。

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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