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障害のある方の就職事例

パーソナリティ障害・統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -事務-

パーソナリティ障害・統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -事務-

過食と依存でストレス発散

女性/30代/IT企業/事務職

パーソナリティ障害・統合失調症(精神障害)

学歴・働いていないことがコンプレックス

家族や親戚が高学歴・資産家という家柄で育ったTさん。自分もみんなと同じような学歴でないといけないと必死で大学受験に挑みました。Tさんの中で納得のいく結果にならず、自分を責めてしまい不眠がちに。

大学在学中に対人関係で悩み、食べることで安心感を得るようになりました。1人暮らしのため食事制限ができなくなり、過食をしてから自己嫌悪に陥るスパイラルから離れられなくなっていました。

精神的ダメージを受けながらも大学卒業、就職しなかったことに対して両親や親戚の視線に怯えるTさん。人に依存––友人と食事をすることでストレス発散していました。

しかしクレジットカードの引き落とし額やカードローン残高に疑問を持った母親が実際にTさんに会って尋ねると、友人の分まで支払いをしていたとのこと。その時に母親が見たTさんの姿は、顔色が悪く容姿共に別人に見えたそうです。

私は病気じゃないと言い張るTさんを半ば強制的に病院へ連れていくと、統合失調症・摂食障害と診断されました。「摂食障害は家族の協力が必要」と医師から言われた母親は実家に戻るようTさんに伝えるも、Tさんは断固拒否。

働いていないという負い目や家族にどう見られているか考えると耐えることができず、1人暮らしをやめることはできませんでした。

家族間ですれ違い

実家に戻るよう言われることがストレスとなり、「働けば何も言われなくなる」と思い就職しました。はじめて就いた仕事は分からないことばかり。戸惑って質問を重ねるうちに、「自分は職場で孤立している」と思うようになりすぐに退職。

働いていないとまた実家に戻るよう言われることを恐れ、ハローワークへ就職相談に行きました。そこでLITALICOワークスへ行くことを勧められ、仕事を紹介してもらえると思い相談へ。

はじめは仕事の紹介がないなら……と思っていたTさんですが、困っていることを話していくうちに「ここでなら自分の課題を解決できるかも」とLITALICOワークスへ通うことを想定するようになりました。

正式にLITALICOワークスへ通うことを決めたTさん。昨日元気だったのに翌日連絡なく欠席––1人暮らしで連絡がなかなかつかないことが多々ありました。

実家に戻るよう言われていることや両親は早く大手企業へ就職してほしいと思っていると主張があったことなどから、Tさんの生活リズム・食生活の乱れがあり、家族面談を実施することになりました。

両親揃って面談にお越しになり、Tさんが何を考えているのか分からないことや就職して長く安定して働いてほしいこと、就職先は大手企業にこだわらなくていいこと、生活の乱れがあるので実家に戻ってほしいとのことでした。

就職のことについて想定外の回答があったことにTさんは驚きました。両親が帰宅後スタッフと話し合った結果、1度実家に戻って生活リズムを整えることからはじめ、着実にできることからはじめることにしました。

苦手意識やマイナス思考を1つ1つ改善

実家に戻ったことで食事制限ができるようになり、過食する機会は減少しました。しかしストレス解消のため、友人と出かけて浪費が増え自己嫌悪に。話をよく聞くと、毎回支払いはTさん持ちとのことでした。

割り勘できない友だちは本当の友だちではないことを伝え、他の方法でストレスコントロールをできるよう一緒に探していきました。対人・家族関係を少しずつ改善していき、摂食障害の症状は落ち着きを見せました。

面談やトレーニングをしていると、呂律が回らないことが見受けられました。統合失調症で処方される薬の副作用が原因かもしれないと考えたスタッフは、Tさんの通院に同行することを提案しました。

これまでにも病院を数回変えていると話すTさんは、主治医を信用できず再度病院を変えたいとのことだったので別の先生に診てもらうことに……診断結果は境界性パーソナリティ障害と統合失調症。新たな診断名が出たことに驚くも、障害の特徴を聞いて納得していました。

「何に対して不安なのかわからないけれど、不安だらけ」と語るTさん。スタッフと一緒に何が不安なのか、うまくいかないのかなどの根本的な原因を確認したり、マイナス思考をプラス思考へ変えるリフレーミングや失敗から学んでいくメンタルコントロールなどに取り組みました

小さなステップアップを重ね就活へ

生活リズムや対人関係、メンタル面のコントロールなどさまざまなプログラムに取り組み、少しずつ改善していきました。企業インターンで自分に合う職種・環境を知るため、他の利用者よりもかなり多くの職種・企業で体験をしました。

1つの業務に集中して取り組むことや報連相は得意であること、静かすぎる職場環境が苦手で、声をかけてもらわないと不安になること、さまざまな依頼がくるアシスタントのような仕事が合っているということ。体験を通して多くのことが分かりました。

面接シミュレーションや模擬面接では、頭が真っ白になり、用意していた言葉が出てこないことがありましたが、事前にまとめたメモを見ると回答することができました。

面接時に事前に許可を取り、メモを見て回答するようすり合わせました。就労移行支援の利用期間は2年。期限まで半年を切った頃から、Tさんの就職活動にエンジンがかかりました。

気になる求人を見つけると、スタッフに相談していました。しかし、いざ応募となると落ちた時や働きはじめた後のことを考え「落ちた時どう対処しよう」「いじめられたらどうしよう」「人間関係がうまくいかなかったら」と妄想が止まらなくなり体調不良に。

再度ストレス対処法やリフレーミングをおさらいし、面接前に企業インターンをお願いできないか企業へ確認し、可能な企業へ応募することになりました。

安心・納得してから就職

事務アシスタントとして企業にインターンに行き、働いている姿を見てもらいました。

その後面接を受けるというパターンを繰り返し、あるIT企業で内定をもらうことができました。実際に働きはじめる前にどのような雰囲気か、一緒に働くのはどのような方々か、通勤ラッシュは耐えられるかなど気になることをすべて確認できたことで、働く前の不安を払拭できたTさん。

LITALICOワークス最終日に母親と一緒にあいさつに来てくれました。母親は「ここまで戻ったことが奇跡のようです」とスタッフへ感謝の意を伝えました。

事前に職場を体験したため、安心して仕事をスタートできました。合理的配慮として「こまめに声をかける」という項目を徹底してもらいました。

日々順調な様子で、「こういうことができるようになった」「今日はこんなことがあった」という仕事のことや、プライベートなことなどとたびたび連絡をしてくれます。

定着支援の面談の場を毎週設けていましたが、「2週間に1回でもいいかもしれない」とスタッフの稼働を心配してくれるようになりました。現在は再度1人暮らしに向けて準備中で、順調に仕事をしています。

 

※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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