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障害のある方の就職事例

アルコール依存症・うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -物流・軽作業-

アルコール依存症・うつ病(精神障害)の仕事・就職事例 -物流・軽作業-

障害者雇用を切り拓き、夢への1歩

男性/40代/物流/軽作業

アルコール依存症・うつ病(精神障害)

「アルコール依存症」を隠したい

HSPだと思って精神科を受診したらうつ病と診断され、医師に就労移行支援を勧められLITALICOワークスへ見学に訪れたSさん。

しかし、アルバイトをずっと続けているとお話するも、LITALICOワークスを利用するにあたり、前年度の収入について確認すると「0円です」、仕事しながら通うことは難しいと伝えると「明日からでも行けます」と答え、話のつじつまが合わなくなりました。

Sさんの様子が変わったことや住所がグループホームになっていることに気付いたスタッフは、「Sさんのことを理解しないと支援が難しいです。包み隠さず話してください」と伝えました。

しばらく沈黙した後、うつ病は本当だけれど直近の主たる診断名は「アルコール依存症」。第一印象で障害者と理解してもらえない、恥ずかしくて言えなかったと話してくれました。

小学生のころから成績のいい弟と比較をされ、ずっと劣等感を抱き続けていると語るSさん。さらに高校生の時に満員電車や学校が息苦しくて登校拒否、中退となったことや就職活動をしたことがない、年齢が高い割に職歴がアルバイトのみ、パソコンが全くできない、何の資格も持っていないなど。

また、細かなことが気になって前に進めず疲れてしまう、部屋の中が人だらけだと苦しくなってしまうなど、就職に向けてマイナス要素しかないと悲観していました。

スタッフは「過去は過去でしかない、これからのことを一緒に考えましょう」と声をかけ、SさんはLITALICOワークスを利用することに決めました。

早く就職して1人暮らしをしたい

大人しく無口なイメージですが、話すと物腰柔らかくすぐに他の利用者とも打ち解けることができました。コミュニケーション面は問題なさそうだと思っていた矢先、パソコントレーニングでうなだれてしまいました。

ほぼパソコンに触れたことがなく、電源を入れた後からどうしたらいいか分からないものの、質問できず数分間でぐったり。スタッフはSさんに声をかけ、困ったり悩んだりすることがあればスタッフを頼ってほしい旨を伝えました。

面談を重ねていくうちに、心に秘めていたことをぽつぽつ話すようになりました。「ストレス発散が飲酒」「お酒は過敏な感覚を鈍らせてくれた」「飲酒時の記憶がない」「手足のしびれや不眠、慢性頭痛が出てドクターストップになった」「2回断酒に失敗した」「アルコホーリクス・アノニマス(AA)に参加している」「断酒会に毎晩行っている」「1人暮らしをしたい」などプライベートな話もしてくれるようになりました。

グループホームを2回脱走した経験からかなり厳しく見られており生活リズムは整っているけれど、断酒は続いているのでもう少し自由になりたいから早く就職して1人暮らしをしたいと何度も言っていました。

個別面談ではいろいろ話することができますが、プログラム中に質問することが苦手なSさん。「質問できない」の根底にあるものは何かを深堀して聞くと「スタッフの時間を割いてもらうのが申し訳ない」「迷惑をかけてしまうのではないか」「質問をすること自体がパソコンなどができていないみたいで恥ずかしい」とのことでした。

分からないことを聞くことは、謝ることでも迷惑をかけることでもないことを説明し、他の利用者が質問している所を見てどう思うかなど話し合いました。その結果、質問できずに固まっている方が恥ずかしいという認識がSさんに芽生えました。それからは分からないことがあるときは小声でスタッフを呼び、質問できるようになりました。

アルコール依存症を説明できない

自身の障害を説明するプログラムで、自身の障害の説明文言を作成するワークの時に固まってしまったSさん。

「アルコール依存症と伝えると良くない印象を与え、働くことができないと思う」「アルコール依存症と伝える勇気がない、うつ病だけで就職活動した方がいいのではないか」と悩んでしまったとのこと。

スタッフはアルコール依存症は精神疾患として認められていること、合理的配慮に断酒継続の協力が必須であることを伝え、「アルコール依存症=恥ずかしいことではない」ことを理解しました。

自己肯定感が低く人と話す時にどうしても卑下してしまうため、他者視点を活用するプログラムに参加し、Sさんに対するイメージを他の利用者から集めて自分を見つめ直してみました。

みんなの意見の中には、ダメだと思っていたことが肯定されていることや自分で気づかなかった強みがあったことといった気づきや、自己評価が低すぎるという意見もあり、段々とマイナス思考で考えることは自分にとっても就活をする上でも良くない、少しずつ改善していくことを決意しました。

1人暮らしより就活が先

LITALICOワークスでは「準備」「実習」「就活」の3つのステージに分かれており、基本的には順番にステージを上げていきますが、Sさんは早く就職したいという気持ちから、アルバイトで経験したことのある職種での就職を希望しました。

働くイメージがついていたため「実習」「就活」ステージを同時並行していました(※一人ひとりにより異なります。)

パソコンが苦手で人差し指1本でしばらくはキーボードを打っていましたが、個別トレーニングで何度もタイピングの練習を繰り返すと、両手でタイピングができるように。しかし仕事にするにはストレスにつながることを危惧して、事務職は避けることにしました。

LITALICOワークス専用の求人サイトやハローワーク、人材紹介会社経由の求人などくまなく見ていたSさん。気になる求人はたくさんあるけれど、応募に至りません。

理由を聞くと「就職前に1人暮らしをすることはグループホームで認められていないけれど、1人暮らしをどこでするか決めていないから、応募できない」「就職先は自宅から近い所がいいと思ったら何も進まない」と嘆いていました。

1人暮らしをすることが目標の1つではあるけれど、まず就職が先であること、就職後すぐに1人暮らしすると新しい環境が2つ続き精神的にあまりよくないことを伝えると、まずは大まかにどの辺りに住みたいかを決めてから、応募するよう提案しました。

障害者ではなくSさんの働きを見て判断

どの辺りに住みたいか目処をつけ、求人応募を本格的にスタートさせました。ハローワークに出ていた日勤1シフトのアルバイト求人に応募したいとスタッフに確認依頼をしたところ、障害者雇用の求人ではなく一般枠での求人でした。

Sさんの合理的配慮がお酒の席への誘導をしないことや夜に断酒会への参加があるため、残業なし・シフト制ではない日勤のみの仕事などを伝える必要があったため、スタッフは企業へ連絡し事情を説明しました。

その企業担当者から「障害者雇用がはじめてでどんなものかわからない」とあり、ではまず働いている所を見てから決めて欲しい旨を伝えました。

5日間働いている所を見てもらったSさん。とても評価が高く、このまま採用したいとの連絡がありました。企業担当者曰く、「今までは日雇い派遣や留学生を雇っていたため、週5日働いてくれるなら契約社員も検討します」と言ってもらうことができました。

合理的配慮事項も全く問題ないとスタッフから聞いたSさんは、夢の1人暮らしに1歩近づいたことを喜んでいました。スタッフも喜びつつ、これからの頑張り次第ですよと笑って諭しました。

就職後なかなかグループホームを出ることが認められず、イライラすることもありましたが1人暮らしのために貯金をして通帳を眺めたり物件を見たりするだけでも幸せと語るSさん。先日ようやく1人暮らしOKが出たと嬉しそうに連絡がきました

。次の日には不動産会社へ行き、その場で賃貸契約をして1週間も経たないうちに1人暮らしをはじめました。

念願の1人暮らしをしてみて、大変なこともあるけれど、仕事に慣れてからにしてよかったと照れ笑いをしていました。今では仕事は順調、1人暮らしはいろいろハプニングがあるけれどそれも楽しめていると嬉しそうに話してくれました。

Sさんの職場での評価が高く、日雇い派遣から障害者雇用に切り替えたいと連絡が来て、今ではLITALICOワークスからの就職者が両手で数えるほどになりました。

 

※プライバシー保護のため、一部の文章について事実を再構成しております。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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