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障害のある方の就職事例

障害と向き合うことで積極性が生まれ、今は仕事が楽しい

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プロフィール

  • Oさん
  • 年代 : 30代
  • 就職先企業 : パナソニックエイジフリー株式会社
  • 診断名 : 慢性疲労・アスペルガー症候群

困りごと

  • 慢性的な疲労感
  • 寝たきりの生活
  • 生活リズムの崩れ

急に表れた慢性疲労。外に出るのも辛かった

現在、パナソニックエイジフリー株式会社の総務として、業務で使う車両のリースや、新入社員の方への車の手配、セールスドライバーの車両手続きなどの車両管理や車両を利用する方の業務管理をメインに働いています。就労未経験だったのではじめは不安でしたが、パートタイム枠で週4日働いています。勤務時間を少し短くしてスタートしたので、無理なく勤務できています。

大学1・2年生の頃は授業や生物研究会のサークルで忙しくも楽しく過ごしていました。大学3年生になって、新しく研究室に入り充実していたのも束の間、急に疲れがどっと出ると、一晩寝ても疲れがとれない日々が続きました。段々と辛くなったというより、急にしんどくなり、通院をするもはじめは診断名がはっきりしませんでした。

その後病院に行くと慢性疲労と診断され、大学を2年間休学しました。入りたかった大学に入学できたので、何としても卒業したい気持ちがありました。休学後は少しずつ大学へ行き、卒業研究も何とかやりきりました。

外に出て歩くのも辛かったため、就職活動どころではありませんでした。卒業だけを目指していました。休学中を含め、3年くらい寝たきりの生活を送り、動くと言えば家の中を少し歩くくらい。ほとんど寝転んでぼんやりしたり、調子が良いときはネットの動画を観たりもしましたが、辛いときは食事を摂ることもできませんでした。

通院中、生活リズムを整えるように主治医からアドバイスをもらいました。療養中は寝たきりになってしまうので、外に出る機会を作るため資格を取ろうと思い立ちました。パソコン教室に週1~2回通い、マイクロソフトスペシャリストの資格を取得。また、スポーツジムにも週1~2回通いました。調子のいい時は1日2~3時間くらいと時間を決めて体を動かし、体調が良くないときは無理して行かないようにしていました。

その後療養をしながら、1人で就職活動をおこないました。十数社受け、その中から3社内定をもらいましたが、週5日勤務で8時間フルタイム働くことはその頃の自分には無理だと思い辞退してしまいました。

大学では農学部に所属し、本当は生物系の仕事ができる企業に興味がありましたが、募集されている求人には、未経験でも応募できるものはありませんでした。客観的に自分の生活リズムを確認したいと思ったので、自身の24時間の行動をデータ化することをはじめました。主治医にちゃんとしたデータを見せれば、より明確な指摘がもらえるのではと思ったのも理由の1つです。

診断名はアスペルガー症候群。気持ちが切り替わり前進

1人での就職活動で、折角の内定も強い不安から辞退し続けていると、就職に対する焦りが濃くなり体調にも影響します。主治医から「疲労の要因のひとつに発達障害が関係しているかもしれない」と検査をした所、慢性疲労に加えてアスペルガー症候群の診断が下りました。

アスペルガー症候群の症状の1つとして、怒鳴り声が苦手です。自分に向けられたものでなくても怒鳴り声を聞くと、どっと疲れが出て気分も落ち込みます。ただ、診断名がはっきりと出たことでホッとしました。障害と向き合っていくしかないと気持ちを切り替えることができました。

健康な社会人として暮らしたいという気持ちから、自分の今後について家族みんなで調べました。いくつか選択肢がありましたが、親族からLITALICOワークスを紹介されました。「就労移行支援事業所」という場所がどういう所か分からず、はじめは技能訓練をする場所だと思っていました。

一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをしてくれる所だとわかりました。LITALICOワークスに通うことを主治医に相談。事業所が自宅から30分くらいの距離だったので、見学に行くことにしました。

LITALICOワークスにはじめて行ったとき、物腰柔らかく穏やかなスタッフに対応してもらい安心しました。「生活リズムが崩れていて朝から通える自信がない」と伝えると、午後の時間帯でもプログラム体験ができるとわかり、チャレンジしようと思いました。

その当時、深夜2~3時に就寝し、午前11時頃に起きるという生活をしていて、「何もせず1日が終わってしまった」という自責から眠れなくなることもあり、生活リズムが崩れていました。

LITALICOワークスのプログラムを体験してみて、基礎レベルから学べるプログラムが選べたので、入り込みやすかったです。3回ほど体験しました。体験後、スタッフと面談した際にすぐ利用したい旨を伝えました。体験時に活発な方がいて、同じように元気になりたいと思ったこともきっかけになりました。

両親は早く体調が戻って欲しいという思いと焦りや心配があり、LITALICOワークスに通いたいと伝えると「ぜひ利用して」と後押ししてくれました。

生活リズムが安定し、積極的に行動できるようになり就職活動へ

利用開始時は、週2~3回、午後だけ通うことにしました。3ヶ月目くらいからは週5日通えるようになりました。この時も自分の24時間の行動データを残していたので、生活リズムに変化が出てきているのを確認することができました。

LITALICOワークスのプログラムは新鮮でした。その中でも、よく覚えているのはグループワークです。積極的に発言すると、他の利用者から自分の意見を評価され、振り返り面談でスタッフにも褒められてうれしかったことを今でも時々思い出します。

4ヶ月目くらいで、企業インターンに行きました。「体調に不安のある人でも受け入れ態勢が充実している」という記載に惹かれました。就労未経験だったので、企業で働くことがどんなものか経験を積むために参加しました。

実際に企業インターン先で業務をしてみると、業務の幅が思っていたより広いことに気付きました。また、自分でやることを見つけて働くタイプの企業だったので、自分に合っていると思いました。企業インターンに参加すると、いろいろと気付くことがあります。これから就活する方は、気になった会社があれば企業インターンに積極的に参加することをオススメします。

その後、企業面接会に参加し、パナソニックエイジフリーの企業説明に興味を持ち、同社のブースへ行きました。話を聞いているうちに自分に合うと感じたので、企業インターンを受けることにしました。

「体調面は配慮するけれど、能力面は配慮しない」という方針の会社でした。1人で就活をしていたときは、自分の状態や配慮してほしいことを伝えることができませんでした。自己理解を促すプログラムに取り組み、この頃には「こうしてもらえると働くことができます」と言えるようになりました。また、上司に対する対応方法を「コミュニケーションプログラム」で模擬的に何度も体験しました。上手な断り方や疑問があった際にどうするかなど、今でもとても役に立っています。

就職にあたり懸念していた体調面は安定し、気力が上がったのでチャレンジ意欲を持てるようになりました。熱意のある担当者がいて「この人の下で働くのであれば、就労未経験でもやっていけそうだ」と思っていたので、内定の連絡を受けた時はうれしかったです。アクセス面・仕事内容共に申し分なく、やっていけそうだと思ったので迷わず採用を受けました。

小さなチャレンジと成功をたくさん積んで、今がある

入社時は郵便物の仕分け・備品管理などを担当していました。障害を開示していたので、最初は無理のないように業務を調整してもらい少しずつ業務範囲を広げることで「自分は思ったより働けている」と実感できるようになりました。やがて後輩ができると、自分の仕事を引継ぎ、新しい仕事を受けました。入社前、ネガティブな想像ばかりして不安だらけだったのが嘘みたいです。

慣れてくると、周りを見る余裕が生まれ、自部署以外の手伝いを自ら名乗り出たこともありました。LITALICOワークスに通う前は、自ら手をあげて発表することはありませんでしたが、グループワークで積極的に働きかけるということを身に付けたので、手伝うことに躊躇なく声をかけることができました。「人との関わり方」を身に付けられてよかったです。

実際働いてみると「話しかけても大丈夫かどうか」と相手の状況を考えて行動できています。

最近は、管理系の仕事が多くなってきたため、イレギュラーな業務が入ってきます。以前よりも頭を使うようになり、業務の難易度も上がってきました。その中で、課題を探して改善することにチャレンジしたり、手続きを忘れないための管理表を作成してみたり、またそういった工夫を認めてもらえたりして、楽しく仕事をしています。

心配していた慢性疲労は、仕事を続けていくうちに徐々に表れる機会が減り、安定しています。両親や友だち、同僚から「体調が良さそうだね」と言われるようになりました。就職してからも定着支援があるので、何かあった時に相談できるという安心感がありとても心強いです。今後の目標は、正社員と同等の勤務時間で働き、今年中に正社員になることです。

先日、ハローワークで自分に起こったこれまでのことを、50名くらいの前で講演する機会がありました。講演内容をスタッフとも相談し、働きはじめて「楽しみ」を見つけることの重要さなどを追加したり、本番に向けて上司とシミュレーションしたり……就職後のビジョンを持つことや、自身の特性を他者に伝えることの重要性に気づいたと、いい感想がたくさん寄せられてうれしかったですし、自分自身も自信がつきました。

私にとってLITALICOワークスは、積極性が生まれた場所です。

人へ働きかけること、人と一緒に何かをすることが楽しいと思えるようになれた場所です。あのとき生まれた積極性は、生活や仕事の中で今でも生き続けています。

精神障害(慢性疲労)・発達障害(アスペルガー症候群)の方の 就職事例画像

大学で生物研究会に所属し、研究室ではきのこを研究。きのこ狩りに行った時に撮影した珍しいきのこを写真に収めている

インタビュー:2019年12月10日

※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。

企業からのコメント

人事部 総務・安全衛生課 課長 東 様(左) 人事部 総務・安全衛生課 主任 前田 様(右)

Oさんは、仕事をしていくうちに体調が安定しました。入社当初に比べずいぶん体力も付いたと本人も言っています。仕事中に辛くなった時は自発的に休憩室で休みを取ってもらっています。 新しく後輩ができた際、Oさんが取り組んでいたこれまでの業務を、本人の手で引き継いでもらいました。引き継ぎ後も、その後輩に対して目配りや声がけなど、色々と気を使ってくれている様子を見ています。引き継ぎ後、仕事内容が変わっても体調を崩すことはなく、自分のペースをうまく掴んで仕事をしてくれています。 弊社の行動指針の1つに掲げている「個性を尊重しあい活発に仕事ができる環境づくりに努める」という理念のもと、本人の適性を見極め、人と状況を見ながら調整しています。Oさんが入社した当初は、慢性疲労・就労未経験とのことで不安がありましたが、体調の波と上手に付き合い、突発的な仕事が入っても臨機応変に対応してもらえ、急ぎの仕事もきっちりコントロールできています。 今後、Oさんには障害者雇用のモデルケース・成功事例になって欲しいと思っています。「将来的に正社員になりたい」という彼の意思を尊重し、引き続き仕事面・体力面の成長を見守り、無理のない形で進められたらと思います。また、周りの人に配慮ができるので後輩の人材育成をするリーダー的な存在になって、長く活躍して欲しいと思っています。

スタッフからのコメント

傾向を把握し着実に取り組みを進め、素敵な企業様に出会えて活躍されている事を大変嬉しく思います。 業務や体調、気分について上長や私たちスタッフに細かく相談されることで、様々な波を乗り越えてこられましたね。 また、就職を目指している利用者に対して、OBOG会や報告会等を通して多くの良い影響を与えていただきありがとうございます。 趣味を楽しみながら、今後もご自身のペースで活躍していただくことを願っています。
LITALICOワークス 枚方

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大阪の就労移行支援事業所 LITALICOワークス 枚方

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