いつかは誰かのためにこの経験を活かしたい
プロフィール
- Sさん
- 年代 : 30代
- 就職先企業 : パーソルダイバース株式会社
- 診断名 : ADHD(注意欠如・多動症)
困りごと
- ルーティン業務が苦手
- 意図を汲み取ることが苦手
- 物忘れが多い
目次
目次
- ADHDの特性にあった仕事だとおもう
- ADHDの診断もポジティブに 理由が分かれば対策ができる
- LITALICOワークスでの目標は“成果”
- 十分な準備をしてから挑んだからこそスムーズだった就職活動
- いつか自分の経験を必要な人に届けたい
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ADHDの特性にあった仕事だとおもう
パーソルグループの特例子会社「パーソルダイバース株式会社」で働いています。入社して1年3ヶ月が経ちました。
現在担当している業務は大きく分けて2つです。
1つめが、グループ内の派遣会社が出している原稿を別媒体に転載するためのリライトや編集作業2つめがグループ内のIT関係専門派遣会社のスタッフの方が書いた職務経歴書の編集作業です。
仕事には臨機応変さが求められますが、私はADHDの特性なのか同じことをやり続けるのが苦手なので、今の仕事は自分に合っているように思います。
お客さまとのやりとりもあり、そのなかで相手の意図が汲み取れないなど苦労することもありますが、分からないことは先輩や同僚に質問しながら業務を進めるようにしています。
パーソルダイバース株式会社には、「分からないことは遠慮せずに質問して」という雰囲気があります。
前職では、何か質問すると「そんなこと自分で調べて」と言われることが多く何でも自分一人で解決しなければいけない環境でした。
そんな前職の雰囲気を引きずって、入社当初はなかなか人に質問をすることができなかったんです。でも、だんだんとその雰囲気にも慣れてきて、今ではなにか分からないこと、不安なことがあればすぐに相談できるようになりました。
これは自分にとって大きな進歩だと思っています。逆に誰かの質問で分かることがあればすぐに答えるようにもしています。
自分に合っている仕事とは言っても、ミスをしてしまうこともあります。
たとえば、お客さまとのメールのやりとりで署名をつけ忘れてしまったり…。ミスをしたときは、パソコン上にテキストでその内容を残すようにしています。「こんなミスをしたから繰り返さないようにしよう」と手が空いたときに見返せるようにしているんです。
ちょうど入社1年が経った頃に「賞賛社員」として表彰され、1年で一定の成果が出せたかなと思って嬉しかったです。まわりの皆さんのおかげで取れた賞だと思っているので、とても感謝しています。
ADHDの診断もポジティブに 理由が分かれば対策ができる
現在の仕事に就く前は福祉メーカーの外回りの営業をしていました。
入社して半年くらい経った頃、ミスが多かったり、覚えるのが遅かったり、物忘れが多かったり…など、同期についていけないと感じる部分が出てきました。あまりにもミスが多くて、先輩からもよく怒られていましたね。怒られていたのは私だけではないのですが、みんな怒られると何かしらの対策をして覚えていくんです。もちろん、私も周りと同じように対策をしたのですがやっぱり覚えられなくて…。
先輩から「病院に一度行ってみるのはどうか?」と言われて、病院に行ってみることにしました。そして、ADHDと診断されたんです。診断結果は、すんなりと受け入れることができました。
同期と比べてできなかった理由が分かってほっとしたという一面があったからだと思います。理由が分かれば自分に合った正しい対策を立てることもできるので、ネガティブな気持ちより、ポジティブな気持ちの方が大きかったかもしれません。
その後、マネージャーにだけは診断結果を伝え、仕事はそのまま続けることにしました。営業の仕事は好きだったので、ずっと続けていきたいという気持ちがあったんです。でも、好きだったからこそオーバーワークをしてしまい、急に体が動かなくなってしまったんです。そのときにうつ病という診断を受けました。
その後、休職することになったのですが、その頃から障害者雇用で働くことを考えるようになったんです。
一般雇用で同期との差を感じ、ADHDの診断を受け、さらに無理をしたことでうつ病を発症してしまったという流れから、自然と障害に理解ある環境で働いた方がいいなという考えになりました。
休職中には障害についての本を読んで自分の特性について学んだり、障害者雇用について勉強したりしました。そのなかで就労移行支援の存在を知り、見学に行ってみることに。その後、前職を退職し、雰囲気も良く、通いやすい場所にあったLITALICOワークスを利用することにしました。
LITALICOワークスでの目標は“成果”
利用にあたって、目標を2つ立てました。
1つは「安定した生活リズムをつくること」、そして2つめが「何かしらの成果を出すこと」です。ただ単に「就労移行支援に通っていました」では、面接などでアピールしづらいなと思っていました。
LITALICOワークスではさまざまなプログラムに参加しました。
前職の営業ではあまりパソコンには触ることがなかったので、タイピングなども学べて良かったです。当初は1分間で80だったタイピングのスコアが、卒業する頃には190くらいに成長することができました。これは今の仕事でも活かせています。
特に力を入れたのが部署活動でした。部署活動とは、チームで事業所の運営のサポートをするというのがメインの活動で、成果発表会や卒業生を送る会の企画運営なども経験しました。
コミュニケーションが得意な方ではないという自覚があったからこそ、自分の意見を言う場面ではしっかり発言しようと決めて、実際に行動もしました。
利用前に決めていた成果については、チームで事業所内の求人表が置いてあるスペースを改修しました。
求人票の貼り方、ファイリングなどをより見やすく、かつ整理がしやすいように変えていったんです。実際に運用して、アンケートもとりました。
企画から検証まで一通りを終えることができたのでひとつの成果になったかなと思っています。
また、LITALICOワークスに通うようになって、さらに障害者雇用に興味を持つようになりました。実際に働くうえでどんな課題があるのか、どうしたら障害者が働きやすい環境をつくれるのかなどを考えるようになりました。
障害者雇用にもいろいろな働き方がありますが、特例子会社で働けたらと思うようになったのもこの頃です。障害者雇用について実践で学んでいきたいという思いがあったので、一般企業のなかで働くよりも、特例子会社で働いた方がより現場感や課題が捉えやすいかなと考えました。
十分な準備をしてから挑んだからこそスムーズだった就職活動
もともと、安定した生活リズムを整えることと、成果を出すことを目標として掲げLITALICOワークスへの利用を始めたので、就職活動を始めるまでにたっぷりと時間をかけました。
就職活動では、職務経歴書や履歴書を書くこと、面接にも苦手意識があったので、まずはそれぞれしっかりと時間をとって対策をすることにしました。
職務経歴書や履歴書については、自分の頭の中にあることを文章にまとめたりと、LITALICOワークスのスタッフの方にもたくさん手伝っていただきました。
また、面接対策として問答集を作ったり、言いたいことを文章にまとめてから、暗記してみたりもしましたね。でも、それだと時間通りに話し終わらなかったりするのでしたので、最終的には「これだけは絶対に言う」ということを頭に入れて、臨機応変に対応できるようにしました。
本当はやっていないことをあたかもやったように話しても、面接官に見抜かれてしまうだろうと考えていました。実際の面接は、しっかりと成果を出してから臨んだので、自信を持って自分をPRすることができましたし、良いアピールになったと思います。
会社は「体調管理がしやすいこと」「安定して長期で働けること」この2つを満たす会社を探しました。そして、それらに加えて、障害者雇用についてしっかり考えている会社が良いなとも思っていました。
時間をかけてしっかりと準備をしたからか、就職活動を始めてからは比較的スムーズに現在の会社から内定を頂くことができました。
パーソルダイバース株式会社は、希望の2つの条件を満たす環境がありましたし、「障害者雇用を、成功させる。」をミッションに掲げていたことにも好感を持ったんです。
障害者雇用について私自身も一緒に考えていきたいと思って入社を決めました。
いつか自分の経験を必要な人に届けたい
入社してから1年3ヶ月ほどが経ち、会社の雰囲気にも慣れてきました。
今は新型コロナウイルスの影響もあり、在宅勤務で仕事をしています。在宅だと体調管理もしやすいなど、メリットも大きいです。ただ、お客さまはもちろん、同じチームのスタッフ同士でも、文字でのやりとりになるので、対面で話す以上に気を遣わなければいけない場面もあることに気づきました。
まだまだ私自身、学ぶこと、教えてもらうことが多いのですが、ゆくゆくは教える側の人間になることが仕事上の今の目標です
たとえば、「この人は文字で伝えた方が分かりやすい」「この人は図やイラストなどを交えた方が分かりやすい」…など、障害や障害の特性に応じた配慮やアドバイスができる人になりたいです。
いわゆる“良い先輩”として、相談などにも乗れるようになりたいですね。
仕事以外にも、障害者雇用の就職活動や実際に働き始めてからの試行錯誤などを、必要な方に伝えていきたいという気持ちもあります。LITALICOワークスを利用していた頃、障害者雇用で働き始めた方がにどのような課題があり、それをどんなふうに解決しているのかなどの情報を探したのですが、リアルな声や実例はあまり探せませんでした。
実際に障害者雇用で働き始めて、「障害者雇用だから」「特例子会社だから」自分の働きやすいように働けるか?
といえば決してそうではないと気付きました。
自分が働きやすい環境をつくるためには声を上げたり、自分で工夫しなければいけない場合もあります。会社任せ、人任せではダメだと思うんです。
私自身もいろいろと試行錯誤しながら働いているので、そういったことを必要な方に届けられるように、将来的に何か形にできればなと思っています。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。
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