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障害のある方の就職事例

「LITALICOでできたから、きっと会社でも大丈夫」と自信が持てた

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プロフィール

  • Aさん
  • 年代 : 40代
  • 就職先企業 : 株式会社フレスタ
  • 診断名 : ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)

困りごと

  • 臨機応変な対応が苦手
  • 口頭での指示や文章を見てすぐに理解できないことがある
ひとりで悩みを抱えていませんか?
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ストーリー

職場や普段の生活の中で、「自分の伝えたいことが上手く伝えられない」「コミュニケーションでいつもエラーを起こしてしまい悩んでいる」という悩みを抱えていたAさん。LITALICOワークス広島横川を利用し、現在はスーパーマーケット「フレスタ」で働いて6年になります。そんなAさんに、就労移行支援の利用を決めたきっかけや、コミュニケーション面で学んだこと、現在の仕事などについてお話を伺いました。

自分ひとりでの転職活動に限界を感じた

ーーLITALICOワークスを利用する前はどのような仕事をしていましたか?

ジーンズショップの販売員として、7年間ほど働いていました。商品陳列やジーンズの補正など、仕事内容も自分に合っていましたし、人間関係にもとても恵まれていた職場でした。

 

配置転換によるストレスなどの影響で体調を崩した時期もあり、病院を受診して軽いうつ病と診断されましたが、服薬しながらがんばり、店長から「正社員になりませんか?」と声をかけていただいたこともありました。うれしかったのですが、正社員としての業務内容や責任などを考えた時に、当時の体調などを考慮してお断りしました。

 

その後も社会保険付きのパートとして勤務を続け、体調も比較的良好でしたが、、30歳を過ぎたあたりから、その後のキャリアについて悩むようになりました。

 

同僚や後輩が昇進していく中で「自分はこのままでいいのかな?」「この仕事がこれから先ずっとやっていきたいことなのだろうか?」と考えるようになって……。もともと「木のぬくもりのある雑貨屋さんで働いてみたい」という夢もあったので、次のステップへ進むためにも退職を決意しました。そのあとは、実際に夢だった雑貨屋さんで働いたり、いくつかのお仕事を経験したりしました。

 

手先を使う仕事が自分には合っていると思ったため、リラクゼーションのお仕事にフルタイムのパートとして就職したものの、急な予定変更に臨機応変に対応する、決められた時間で作業を完了させるといった状況にパニックになることもありました。その頃はうつ病の症状も悪化し、薬の量が増えたりしましたが、一度も休まずに勤務しました。ただ、病気のことを伝えない「クローズ就労」だったので、心身の状態が悪くても職場に打ち明けることができず苦しかったです。

 

このように、ジーンズショップをやめてからは精神的に安定して働ける仕事がなかなか見つからなくて、どんどん自信がなくなっていきました。

 

ーーLITALICOワークスを利用することになった経緯は?

リラクゼーションの仕事も退職し、その後は不安定な状態が続きましたが当時は一人暮らしをしていたので、「とにかく生活のために働かなきゃ」という焦りがありました。ですが、一人で転職活動を進めることに限界を感じて、ある時ハローワークの障害者窓口に相談に行きました。

 

そこで窓口の方から「まずは自分の特性をちゃんと知った方がいいですね」と、発達障害者支援センターを勧められたんです。その時に発達障害の診断を受けたのですが、なにか生きづらいなと感じていたので、ホッとしたことを覚えています。その流れでLITALICOワークスにも見学に行きました。

 

ーーなぜLITALICOワークスの利用を決めたのですか?

「自分に合う仕事を見つけたい」という気持ちが一番でしたが、それまでの仕事を振り返ると、人とのコミュニケーションでつまずくことが多くて……。LITALICOワークスの見学に行った際に、スタッフの方から、人との距離感や職場での関わり方などについて学べるプログラムがあると聞いて、「ここしかない」と思いました。それから、その時のスタッフの対応が親切で、自分の話も親身になって聞いてくれたので、それも決め手になりました。

これまで溜まっていたものがあふれ、人生で一番泣いた時期

ーーLITALICOワークスの利用を開始して、どのようなことに取り組みましたか?

 

職場での話しかけ方や報連相の仕方など、SST(ソーシャルスキルトレーニング)に参加しました。実際の職場を想定して、「こんな場面に遭遇したら何て言う?」のような事例をもとに答えを考えるのですが、他のメンバーさんとは全然違う答えを書いてしまったり、言ってはいけないようなことを書いてしまったりしたこともありました。

 

あとは、特性に合わせて文章問題のワークなども用意していただき、取り組みました。私は障害の特性として、長文を読むのが難しいんです。3行くらいまでならいいのですが、それ以上の長文になると頭に入ってこなくて…。

 

そういう時も、文字を隠しながら読むことで読みやすくなるという工夫を学んだり、意味が分からない言葉はスタッフに確認しながら勉強したりしました。

 

ーーLITALICOワークスで印象に残っているエピソードはありますか?

実は私、LITALICOワークスを利用して一度就職したものの、すぐに退職して戻ってきて、再利用したんです。そのため、今の職場はLITALICOワークスを利用して2回目の就職先です。

 

1回目の就職の時は、4か月足らずで退職してしまいました。当時はとにかく就職に対する焦りが大きくて、雇用前実習に行った企業から「ぜひうちで頑張ってほしい」と言っていただけたので、「そんな風に受け入れてくれる会社があるなら……」という気持ちから、勢いで入社しました。

 

ただ、冷静に振り返ると、働く環境が合っていなかったと感じています。結果的に短期離職をして、LITALICOワークスにすぐに戻る形になったので、とてもつらかったです。

 

この時期は、それまで心に溜まっていたものがあふれるような感じで、人生で一番泣いたかもしれません。LITALICOワークスのスタッフの方に対しても、感情のコントロールができなくて怒ってしまったり、伝えたいことがうまく伝えられなくてもやもやしたりすることもありました。

 

当時、LITALICOワークス横川センターでは「朝練」の時間があり、ワークのようなものをしていたんです。それも苦手意識が強かったので、スタッフの方に「やりたくありません!」と伝えたことがありました。スタッフの方も、最初は「無理して来なくていいよ」と見守ってくれていたのですが、私が何もかもイヤイヤ期のような状態だったので、ある時「Aさん、それじゃあ成長はしないよ。失敗してもいいし、フォローもするから一緒にやりませんか?」と言われて…。

 

そこからは、朝練にも参加するようになり、自分ひとりでなんでも決めるのではなく、他の人の意見も聞いてみるようになりました。あの時のスタッフの方の言葉に救われましたし、私が不安定な時期にも寄り添っていただけて感謝しています。

 

ーー再利用してから意識していたことは何ですか?

前回の就職で、「LITALICOワークスの中でできないことは、職場でもできない」ということを痛感したので、「まずはここを職場だと思って過ごそう」と思うようになりました。例えば、最初に利用した時は基本的に一人で過ごしていたのですが、再利用の時は自分から他のメンバーさんに話しかけてみたり、お昼ごはんも一緒に食べたりするようになりました。

 

あとは、自分に合った環境を知るために、お惣菜や青果などを扱っている小売店での実習や、車の部品の決められた箇所にマスキングテープを貼っていくという軽作業の実習にも参加しました。どちらも作業自体は好きでしたが、車の部品の軽作業は、複数人でずっと同じ空間で作業をする仕事で…。コミュニケーションが苦手な自分は、こういった環境はストレスになって長くは続けられなさそうだと感じました。

 

一方で小売店の方は、品出しや青果の袋詰め、レジなどを体験したのですが、仕事的にも環境的にも合っていると感じました。就職するならこんな雰囲気の職場がいいとイメージすることができました。

「素の自分」でいられることが何より嬉しい

ーーなぜ今の仕事に決めたのですか?

 

小売店での経験を活かせる仕事を探していたところ、フレスタで体験実習をする機会をいただきました。3~4日ほど実習をしたのですが、今までに経験してきたものと作業内容が似ていたので、そこまで心配はなかったです。

 

コミュニケーション面が一番の不安要素でしたが、バックヤードでの袋詰めだけではなく、商品陳列などで表に出たりする仕事もあるので気分転換ができ、「この環境なら続けられそう」と思えました。

 

無事に内定をいただき、入社して早6年となります。主に青果担当として働いていて、最初は4時間勤務からのスタートでしたが、今では1日7時間、週5日働いています。

 

ーー6年間続けられている秘訣はなんだと思いますか?

これまでは障害のことを会社に伝えずに働いてきましたが、今はオープン就労なので、とても働きやすいです。今は素の自分でいられているし、困ったことがあれば相談もしやすくなりました。

 

例えば入社当時、先輩の品出しの仕方や指示内容が一人ひとり違うので、混乱することがありました。これまでの就職先では、困ったことがあっても相談の仕方が分からずにうまく伝えられず、失敗してしまうことが多かったのですが、その時はLITALICOワークスのスタッフにも相談しました。

 

困りごとの伝え方を一緒に練習してもらったり、企業側には相談先のフォロー体制を明確にしてもらったりすることで対処ができるようになりました。

 

ーー今後頑張りたいことや目標はありますか?

 

まだまだ先の話になりますが、定年退職までここで働きたいと思っています。履歴書作成はもうこりごり…というのもありますが(笑)、純粋にフレスタが好きだからです。精神的に無理のない状態で働けているので、身体が元気なうちはここで成長していきたいです。

LITALICOワークスは「社会に出る前の準備運動」

ーーAさんにとってLITALICOワークスはどんな存在ですか?

社会に出る前の準備運動であり、気づきをもらえた場所です。LITALICOワークスでコミュニケーションを学んだからこそ、言っていいことと悪いことが何となく掴めるようになりましたし、一方的に話すのではなく相手の話を聞けるようになりました。

 

「LITALICOワークスでできたから、きっと会社でも大丈夫」と自信をつけることができた場所です。

 

ーーこれまでのご経験を振り返って、伝えたいことはありますか?

私をずっと励ましてくれて、応援し続けてくれる家族や友人、フレスタのみなさん、LITALICOワークスや相談支援センターのスタッフさんへ感謝を伝えたいです。

 

たくさんの方が時間とエネルギーを使ってくださって、背中を押してくれたからこそ、ここまで来られたと思っています。一生懸命働いて、元気な姿をお見せすることが恩返しだと思うので、常にその気持ちを忘れずにがんばっていきたいです。本当にいつもありがとうございます。

 

ーーこれを読んだ人へ一言メッセージをお願いします

自分を好きになり自信をつけることで、前に進めると思います。だから頭でグルグル考えるより、行動するしかないと思っています。私は、LITALICOワークスのスタッフや信頼できる方に相談しているうちに、思いもよらない道が拓けました。自分に合った仕事内容と環境の両方を知ることで、とても働きやすくなるので、悩んでいる方はぜひ一歩踏み出してみてください。

 

企業からのコメント

 

分からないことがある時はすぐに質問し、やってほしいことを伝えるとすぐに実行に移し、売場変更や商品陳列をしてくれていて、本当に頼れる人材で感謝しています。物腰がやわらかく、接客も丁寧なので、いつもたくさんのお客さまから声を掛けられています。「おはよう、今日は何がいい?」「今日はこの商品がおすすめです」Aさんとお客さまのこのような会話を売り場でよく耳にします。

「おすすめ品」や「お買得商品」は自分で試食し、その感想をお客さまに伝える力もあり、売場の販売員として欠かせません。商品陳列も丁寧で、鮮度チェックもよくできています。時間内で仕事が終わるように、アルバイトに任せる作業は任せる、自分がやることはやる、という判断力もあります。周りのことにも、目配りや気配りをしてくれて、あいさつや感謝の言葉は絶対に忘れません。Aさんとなら、気持ち良く一緒に仕事に取り組めます。

(横川本店 青果チーフ 沖朋花 様)

インタビュー:2024年2月7日

※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。

スタッフからのコメント

LITALICOワークスを利用され、1度目の就職先を短期間で退職されたAさん。当時は、早期退職して再利用でワークスに戻ってきたということに対する劣等感や今後への不安で、精神的に不安定な状態でした。しかしスタッフと何度も面談しながら気持ちを整理したり、プログラムに参加したりしながら、ご自身の特性について理解を深め、どのような職場環境が合うのかを考えておられました。LITALICOワークス内の訓練や職場実習に何度も参加することで、働く上での得意不得意やコミュニケーションの取り方を把握し、苦手な場面に対する対処方法を身につけられていたことが、とても印象に残っています。定年まで働きたいと思える職場環境に出会えたのは、Aさんが自己理解を深め、努力されて自信を深められたことが一番の要因だと思います。これからも好きな環境でAさんらしく仕事を続けられるよう、応援しています。
LITALICOワークス 広島横川

利用していた事業所

広島の就労移行支援事業所 LITALICOワークス 広島横川

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