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大人の学習障害(LD・SLD)とは?特徴や症状・診断基準について解説

更新日:2024/06/28

学習障害(LD・SLD)のある方は、読み書きや計算の分野において、困難が生じることがあります。

 

今のところ、学習障害(LD・SLD)の原因は明確になっていませんが、先天性(生まれつき)の脳の機能障害によるものと考えられています。

 

学習障害(LD・SLD)は決して、本人の甘えや努力が足りないことが要因ではありません。

 

しかし、大人の場合、仕事などのビジネス面において、学習障害(LD・SLD)の症状に悩む方が多いといわれています。

 

そこで今回は、学習障害(LD・SLD)の診断基準や治療方法だけでなく、仕事をするときに意識したいポイントについてもご紹介します。

大人の学習障害(LD・SLD)とは?

学習障害は発達障害のひとつです。

 

LD(Learning Disability)と呼ばれることもあります。

 

また、アメリカ精神医学会が出版した国際的な診断基準であるDSM-5では、「限局性学習症 / 限局性学習障害」(SLD)という名称がついています。

 

※学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「学習障害(LD)」といわれることが多くあるため、ここでは「学習障害(LD・SLD)」と表記します。

 

まずは、大人の学習障害(LD・SLD)がどのような障害なのか解説します。

学習障害(LD・SLD)とは?

学習障害(LD・SLD)の特徴は「知的水準や身体の機能に障害がないものの、特定の学習が困難な状態にあること」です。

 

医学的に定義されている特定の学習とは、「読むこと」「書くこと」「計算すること」の3つです。

 

必ずしも、すべての学習に対して困難を感じるわけではありません。

 

人によって「文字をうまく書き写せない」「読み書き全般が苦手」など、症状の現れ方は異なり、読みにくさや書きにくさの程度にも個人差が見られます。

 

また、一見しただけでは症状が分かりづらいため、まわりからは「本人が怠けているだけ」と誤解され、本人が苦しい思いを抱えるケースもあります。

大人になって学習障害(LD・SLD)と分かるケース

学習障害(LD・SLD)は生まれつきの障害であるため、大人になってから発症することはありません。

 

学習障害(LD・SLD)と診断されるきっかけとして多いのは「小学校に入学後、授業についていけない」などの状況だといわれています。

 

しかし、なかには子どもの頃に周囲から気づかれない場合もあります。

 

例えば「障害ではなく、苦手な分野だと思われていた」などのケースです。

 

実際、学習障害(LD・SLD)があまり知られていない時代もあったため、大人になってから仕事で困った経験などがきっかけで診断を受け、学習障害(LD・SLD)と分かる方もいらっしゃいます。

二次障害につながることもある

学習障害(LD・SLD)などの発達障害は、二次障害の発症につながるケースがあります。

 

例えば「苦手なことを周囲からからかわれて傷つく」「ミスが続いて落ち込む」などの状況が続いた場合、ストレスからうつ病や不安障害などを発症する可能性が考えられます。

 

また、「職場に行きたくない」と家に引きこもってしまう方もいらっしゃいます。

 

もちろん、学習障害(LD・SLD)があるからといって、必ずしも二次障害を引き起こすわけではありません。

大人の学習障害(LD・SLD)の特徴・症状は?

学習障害(LD・SLD)の特徴や症状は、下記の3種類に分かれています。

  • 読字障害・・・「読むこと」が困難
  • 書字表出障害・・・「書くこと」が困難
  • 算数障害・・・「算数や推論」が困難

それぞれ、どのような特徴や症状があるのかご紹介します。

読字障害(ディスレクシア)

読字障害(ディスレクシア)があると「読むこと」が難しいと感じます。

 

学習障害(LD・SLD)であると診断された方の中で一番多く見られる障害です。

 

具体的には、下記のような症状が現れます。

  • 「わ」と「ね」など形が似ている字を判別するのが難しい
  • 「っ」や「ょ」などの小さい文字の認識が難しい
  • 文字を読み飛ばしてしまう
  • 語尾を読み間違える
  • 一文字ずつ区切って読むため、音読スピードが遅い
  • どこを読んでいるのか分からなくなる など

まったく読めないわけではありませんが、正確に読んだり、スムーズに読んだりすることが難しいと感じます。

 

読字障害(ディスレクシア)がある方は、文字の一部がぼやけて見えたり、重なって見えたりと、黒いかたまりに見えたりと人によって見え方が異なっています。

 

仕事においては「マニュアルや資料を読むことが困難に感じる」などの影響が出る可能性が考えられます。

書字表出障害(ディスグラフィア)

書字表出障害(ディスグラフィア)は、書くことに困難を感じる障害です。

 

症状としては、下記などが挙げられます。

  • 鏡文字を書いてしまう
  • 漢字が覚えられない
  • 文字の書き写しが苦手
  • 誤字脱字が多い
  • 雰囲気で文字を書いてしまう
  • ひらがなやカタカナを書き間違えることがある
  • 文字の大きさがバラバラになる
  • マス目からはみ出してしまう など

まったく文字が書けないわけではありませんが、正確に書けなかったり、書き写しに時間がかかったりすることがあります。

 

そのため「素早くメモすることができない」「会議の内容を書き留められない」などの状況が起こるケースが考えられます。

 

また、文章でまとめて資料や書類を作成することが「難しい」と感じる可能性があります。

算数障害(ディスカリキュリア)

算数障害(ディスカリキュリア)は数字や数式を理解することが困難な障害です。

 

数字に関することにのみに症状が現れることが多く、算数の学習が始まってから気づくケースがほとんどだといわれています。

 

症状の例は下記の通りです。

  • 数字を覚えるのが苦手
  • 繰り上げや繰り下げができない
  • 図形やグラフが理解できない
  • かけ算の九九が覚えられない
  • 時計が読めない
  • 一桁のたし算やひき算の暗算が難しい

仕事上では、お釣りの計算やお金の管理ができず困るケースが考えられます。

 

しかし、スマートフォンや電卓などのツールを使うことで苦手をカバーすることも可能です。

大人の学習障害(LD・SLD)の診断基準

大人の学習障害(LD・SLD)の診断基準や診断方法について見ていきましょう。

学習障害(LD・SLD)の診断基準

学習障害(LD・SLD)の診断は世界共通で使用されている診断基準、DSM−5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)をもとにおこなわれます。

 

なお、DSM-5では、学習障害(LD・SLD)は「限局性学習症 / 限局性学習障害」(SLD)と呼ばれています。

 

大人か子どもかは関係なく基本的には同じ診断基準です。

 

DSM-5には「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」の症状がひとつ以上、6ヶ月以上続いている場合に限局性学習症 ( 限局性学習障害)の可能性があると記載されています。

 

また、診断の際には「読み書きや計算がどのように苦手なのか」だけでなく「ほかの疾患がないか」や「ほかの発達障害と併発していないか」なども調べます。

 

そのほか、生まれてから過ごしてきた環境や、過去にかかった病気について聞かれることもあります。

 

上記のようにさまざまな面から問診や検査をして、総合的に診断します。

学習障害(LD・SLD)の診断はどこで受ける?

発達障害の診断は、心療内科や精神科、メンタルクリニックで受けることができます。

 

しかし、学習障害(LD・SLD)を含む大人の発達障害を専門に診ている病院は限られています。

 

そのため、医療機関へ行く前に発達障害の診断をしているかどうか確認しましょう。

 

また、「医療機関を受診するのは抵抗がある」という方は、発達障害者支援センターや、精神保健福祉センターなどの専門機関へ相談することも可能です。

 

発達障害者支援センターは、仕事や日常生活など、幅広い相談を受け付けています。

 

大人の学習障害(LD・SLD)に対応している医療機関を紹介してくれる場合もあるため、病院選びに迷ったら一度相談してみるとよいでしょう。

 

発達障害者支援センターの場所は、国立障害者リハビリテーションセンターの公式サイトにまとめられています。

大人の学習障害(LD・SLD)の治療方法

学習障害(LD・SLD)を根本的に治す治療方法はまだ見つかっていないのが現状です。

 

しかし、学習障害(LD・SLD)の症状は、環境の調整をおこない苦手な分野をカバーすることである程度対処することが可能です。

 

また、学習障害(LD・SLD)によってうつ病や不安障害、睡眠障害などのほかの症状が出ている場合は、各症状に合わせて治療をおこないます。

学習障害(LD・SLD)のある方が仕事を続けるうえで大切なこと

学習障害(LD・SLD)とうまく付き合いながら、仕事を続けるときのポイントについて解説します。

苦手なことを把握する

まずは、自身が仕事をする中でどのような場面で困るのか把握しましょう。

 

「マニュアルが読めない」「会議の内容をメモすることが難しい」など、思い当たる部分を書き出す方法がおすすめです。

 

苦手なことを明確にしたら、次にどうすればカバーできるか考えます。

 

例えば、「マニュアルは口頭で説明してもらう」「会議の話を耳で聞き返せるようにボイスレコーダーを使う」などが挙げられます。

 

また、人によっては、作業を覚えなくてはいけない場合、動画を撮影して目で見た方がスムーズに理解できるパターンもあるでしょう。

 

学習障害(LD・SLD)の症状の現れ方や苦手分野は人それぞれなので、上記のようにできる範囲で、自分に合わせて工夫することが大切です。

周囲の理解を得る

可能な範囲で自身の症状について周囲に説明するとよいでしょう。

 

理解を得ることで、状況に応じて配慮や支援をしてもらうことで心身への負担を減らし、仕事をスムーズに進めることにつながります。

電子機器などを使う

学習障害(LD・SLD)による困難をフォローするために、電子機器を使う方法もおすすめです。

  • 読むことが苦手⇒読み上げソフトを使う
  • 書くことが苦手⇒パソコンへ入力する
  • 計算が苦手⇒電卓アプリを使う など

メモをとることが難しい場合は、ボイスレコーダーを使って録音したり、動画撮影をしたりすることで、後から聞き返せます。

 

また、ボイスレコーダーなどを使用する場合はトラブルを防ぐために、あらかじめ確認したり、症状についてできる範囲で説明しておくようにしましょう。

学習障害(LD・SLD)のある方が就職や職場復帰で利用できる支援機関は?

学習障害(LD・SLD)がある方が就職をしたり、職場復帰をしたりする際は、専門機関の支援の利用を検討するとよいでしょう。

 

ここでは、ハローワークと就労移行支援事業所をご紹介します。

ハローワーク

ハローワークは数多くの求人を取り扱っている機関です。

 

障害や精神疾患などがある方を対象とした専門の窓口では、就労の相談だけでなく、障害の症状や程度に合わせた求人の紹介もおこなっています。

 

障害者手帳を取得していない場合も利用できますが、症状を正しく伝えるために、診断書などがあれば、持っていくことをおすすめします。

障害者就業・生活支援センター

障害のある方に対し、身近な地域で就業面と生活面に総合的な支援をおこなう支援機関です。

障害のある方向けには求職相談、職場定着相談、生活相談などをおこなっています。また事業主に対しても、雇用管理に関わる助言、職場の環境改善などの支援をおこなうこともあります。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害がある方の就労をサポートしている機関です。

面接対策やパソコン操作の練習など、さまざまな面から利用者をフォローしています。

ただし、事業所によって支援内容は異なるため、まずは自宅の近くにある就労移行支援事業所がどのようなサポートをしているのか確認してみましょう。

 

LITALICOワークスは、「企業に就職したい」「働きたい」という思いを持っている方に対して、ビジネススキル向上のためのワークショップ、ご本人にマッチした求人開拓、就職後の対人関係サポートまで、一人ひとりの自分らしい働き方の実現に向けて、一貫したサービスを提供しています。

障害特性への理解があるスタッフにより、精神障害・身体障害・知的障害のある方に限らず、発達障害や難病のある方など幅広い方に利用いただける環境を整えています。
また、自分に合った働き方を見つけるために数多くの企業で実習できる機会を提供しています。

障害者手帳をお持ちでいない方でも利用可能な場合がありますので、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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大人の学習障害(LD・SLD)のまとめ

学習障害(LD・SLD)は、症状を理解し、工夫することで仕事が進めやすくなることがあります。

 

しかし、仕事内容によっては業務がうまくできなかったり、周囲からの理解を得られなかったりして、悩んでしまうこともあります。

 

もしも、学習障害(LD・SLD)のことで悩んでいたり、困難や辛さを感じている場合は、早めに専門の医療機関の受診を検討しましょう。

大人の学習障害(LD・SLD)のある方の就職サポート

学習障害(LD・SLD)などで働くことにお悩みのある方への支援として、「就労移行支援」があります。

就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。

LITALICOワークスでは学習障害(LD・SLD)のある方の就職実績も豊富にあります。周囲との連携をうまく取る方法や働くうえでの工夫の仕方など理解し、自分に合った仕事を一緒に見つけましょう。
働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。

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参考文献・URL

更新日:2024/06/28 公開日:2022/02/22
  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

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