Close
お役立ち仕事コラム

大人の発達障害とは?特徴や種類、診断や相談先を解説

更新日:2023/03/02

「大人の発達障害」という言葉を聞いたことはありますか?

 

日々の生活や仕事をしていく中で、さまざまな困難さを感じ「なぜ失敗するのかわからない」「ずっと同じ失敗が繰り返し起きてしまう」など、悩みが長期にわたっている場合には、もしかしたら、発達障害の特性が関係しているかもしれません。

 

発達障害というと子どもの頃からのものだと思われる方も多いかもしれませんが、大人になってから発達障害の特性に気づき、仕事や生活面で悩んでいる人はたくさんいます。

 

この記事では、「大人の発達障害」のある方の特徴や診断、利用できる相談先や支援サービスについてご紹介します。

「大人の発達障害」とは?

この記事をご覧になっている方の中には、大人になって社会に出た頃から、普段の生活や仕事の中で「ほかの人はうまく出来ているのに、なぜか自分だけいつもうまくいかない…」と悩むようになられた方もいるのではないでしょうか。

 

うまくいかない理由や原因がわからない、気を付けているのに改善が難しく何度も同じ失敗をしてしまうという困難な状態が続くようなら、それは発達障害の特性が関与しているかもしれません。

 

発達障害とは、生まれつきの脳のタイプの違いにより、物のとらえ方や行動に特性があり、人間関係や社会生活などに影響するような困難さが発達期(幼児から学齢くらいまでの間)から継続的に生じる障害です。ただし本人が過ごしている社会環境によっては、その特性によって困難さが生じることも、逆に生じないこともあります。

 

発達障害は一般的に発達期(幼児から学齢くらいまでの間)にその特性があらわれるものですが、大人になって仕事での困難さが続くようになったことがきっかけで、医師などに相談し、診断される方も多くいます。それを「大人の発達障害」と呼ぶようになりました。

 

近年、TVや雑誌・新聞などさまざまなメディアで「大人の発達障害」に関する特集が放映されたりすることで、大人の方も困りごとに対して「自分も発達障害の特徴があるかもしれない」と感じ、受診を希望される方が増えてきたと言われています。

 

また、同じように、うつ病・睡眠障害や不安障害・パニック障害・強迫性障害・依存症・パーソナリティ障害などの障害についても世間の認知が高まり、その症状改善のために病院を訪れ検査をしていると、実はベースに発達障害の特性があり、その結果としてさまざまな困難さを感じ、該当の症状を併発していたということが分かる場合もあるようです。これを二次障害と呼びます。

発達障害の種類

発達障害には、大きく分けて「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)※」があり、互いに重なり合うことがあります。

 

※正式名称は「限局性学習症 / 限局性学習障害」(SLD)になります。ここでは一般的によく使われている「学習障害(LD)」を使って説明します。

 

「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」について、詳しくは後の章でご説明します。

「大人の発達障害」の原因とは?

発達障害そのものの原因はまだ解明されていませんが、脳機能の偏りが原因のひとつではないかといわれています。

 

発達障害については基本的には先天的なものであると考えられています。前述した通り、発達障害の特性があったとしても、本人が過ごしている社会環境によっては困難さが生じることも、逆に生じないこともあります。

 

そのため、子どもの頃から診断を受ける人もいれば、大人になるまで特に困難さを感じてこなかった人もいて、診断を受けるタイミングもさまざまです。

「大人の発達障害」の特徴とは?

自閉スペクトラム症(ASD)の特徴

自閉スペクトラム症(ASD)は「コミュニケーションや対人面」や「こだわり面」に特徴がみられます。こういった特徴があると、大人になったり社会にでたときに、以下のような困り事を感じることがよくあります。

  • 暗黙のルールがわからない
  • その場の空気を読むことが難しい
  • 相手との適切な距離感がわからない
  • たとえ話やあいまいな表現・冗談などの理解が難しい
  • 自分の感情や考えを人に伝えることが難しい
  • 言葉の理解や使い方、イントネーションが独特になることがある
  • 生活のパターン(場所・時間・行程など自分の中のルール)に強くこだわりがある
  • 興味関心が狭い、あるいは偏りが大きい
  • 状況に応じて気持ちや行動を臨機応変に切り替えることが難しい
  • 急な予定変更があると混乱する
  • 特定の感覚(聴覚・視覚・触覚・嗅覚など)に過敏であったり鈍感であったりする など

注意欠如・多動症(ADHD)の特徴

注意欠如・多動症(ADHD)は、注意力、衝動性、多動性のバランスやコントロールに特徴が見られます。こういった特徴があると、大人になったり社会にでたときに、以下のような困り事を感じることがよくあります。

  • 気が散りやすく集中できない
  • 忘れっぽい
  • 物事の順序だてが苦手
  • 整理整頓が苦手
  • 時間や締め切りに合わせて行動することが難しい
  • 落ち着きがない
  • カッとなりやすい
  • 思い付きで行動する
  • 人の話に割り込んでしまう など

学習障害(LD)の特徴

学習障害(LD)は、知的発達には遅れはないが、「読む」「書く」「計算」などの特定の能力を要する学習が極端に困難な障害です。会話は困りごとがなくできるが文字を読むことはスムーズにできない・文字を正しく書けないなど、現れ方はそれぞれ異なります。学習障害のうち多くの方が、読み書きの能力に著しい困難があるといわれています。自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)に合併することも多いといわれています。

 

学習障害(LD)の特徴は以下のようなものが挙げられます。

  • 単語をまとまりで認識できず、一文字ずつ読む
  • どこを読んでいるか分からなくなり、文字や行を飛ばしてしまう
  • 形や音が似ている文字を読み間違える
  • 漢字を正しく覚えられない
  • 文字の大きさや形がバラバラで枠内に収めることができない
  • ペンなどの筆記具の操作が難しく筆圧が安定しない
  • 暗算ができず、指を使って計算をする
  • 繰り上がり・繰り下がりの筆算ができない
  • 九九が覚えられない など

こういった特徴があると、大人になったり社会にでたときに「マニュアルを読むことが難しい」「お釣りの計算が苦手」などの困り事を感じることがよくあります。

「大人の発達障害」の診断・検査について

「大人の発達障害」と言われる方が、どのような流れで発達障害と診断されるのかについて説明していきます。

何科の病院を受診する?

仕事や私生活上での困りごとが続き、自分が発達障害の傾向があるかもしれないと感じたとき、どこに相談して病院は何科を受診すればいいのだろうと悩まれている方もいるかもしれません。

 

診療科としては、精神科や心療内科で診断をうけます。しかし、すべての精神科や心療内科でうけられるとは限らないため、事前に病院やクリニックへ確認するようにしましょう。

 

また、どこの病院やクリニックを受診するか迷った場合は、発達障害者支援センターに相談するといいでしょう。「大人の発達障害」に対応できる病院の情報を確認したうえで、本人が信頼できると感じる通院先を検討しましょう。

診断・検査の流れ

はじめに、医師の問診で本人が抱えている悩みや問題などをお話します。子どものときの様子や家族関係、心身の症状、これまでの仕事の状況や環境・人間関係、服薬や既往歴などについても聞かれる場合があります。また、医師の判断で必要に応じて下記の検査などをおこなう場合もあります。

  • 発達障害に関するスクリーニング検査
  • 心理検査(知能検査など)
  • 血液検査
  • 脳波検査、CT、MRI など

発達障害の診断にあたっては、現在の心身症状のほか、さまざまな検査結果を確認したうえで、診断基準に沿って診断をします。現在広く使われている診断基準は「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」です。

 

このように医師は、問診や検査の結果をふまえて、本人が発達障害であるかどうか、総合的な判断のうえで、診断をします。

 

とくに「大人の発達障害」の場合は、受診当日に診断がつくことは少なく、診断まで時間がかかることが多いです。ですが、診断を受けるだけではなく、困りごとに対する必要な支援や対処法を考える際にも病院や支援機関などに相談ができます。そのため、生活や仕事上での困りごとが続くようであれば、早めに病院へ相談するといいでしょう。

「大人の発達障害」の治療

発達障害が根本から治る、という治療法はまだ見つかっていません。そのため、現在の発達障害の治療は、本人が感じている生活での困難や不適応がどのように生じているかを把握し、環境を整える・困難に感じていることへの対応スキルを獲得していくことで、生きづらさを解消していくということが目的になります。

 

環境調整

ここでいう「環境」とは、周囲の施設や設備といったハード面の環境だけでなく、人間関係や暗黙のルールなどといったソフト面も含めて考えます。つまり環境調整とは、発達障害のある方の特性や困りごとに沿って、物理的な側面に関わらず本人を取り巻くさまざまな条件を整えていくことで、本人の感じる困りごとを解消したり減らしたりすることをいいます。困りごとに対して実際にある例としては、以下のようなものがあります。

  • (困り事)時間を忘れて作業に没頭してしまう
    (対処例)タイマーを使う、アプリで予定をリマインドする など
  • (困り事)周りに意識がいって集中できない
    (対処例)
    壁向きの席に移動する、耳栓やイヤホンを使う など
  • (困り事)口頭指示の理解が苦手
    (対処例)メモに書き出してもらう、メールでの指示をお願いする など

上記の困りごとにあわせてさまざまな方法が考えられます。

 

カウンセリング(認知行動療法など)

うつ・不安など発達障害に合併しやすい症状に関して、認知行動療法などを取り入れたカウンセリングをおこなう病院もあります。カウンセリングの方法やどのような心理療法を用いるかは、本人の状態や専門機関にカウンセラーの状況によって異なります。

 

基本的には、本人が考えや悩みを話し、専門家がその解説や助言をおこない、本人が実践し、その結果をまた話していくという過程でおこないます。本人とカウンセラーがともに、自己理解や特性理解を進め、その人に合う解決策を模索していきます。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)
SSTとは、対人関係(自己発信や他者とのコミュニケーション)や自立(服薬や症状など疾病の自己管理)などに対し、日常生活で使える対応スキル・生活技能を高める方法です。

薬物療法
特定の症状(例:ADHDの多動性や衝動性など)をコントロールするために、薬物療法がとられることもあります。また、併存障害・二次的に生じる症状や障害への対症療法としても、抗うつ薬や抗精神病薬・気分安定薬や睡眠薬などを用いた薬物治療がおこなわれることがあります。

 

服薬治療は、医師の診療と処方箋によっておこなわれます。必ず医師との相談のもとで服薬し、自己判断で減薬や断薬せず、適切に服用・症状に合うよう調整することが重要です。

「大人の発達障害」に関する相談先や受けられる支援について

実際に発達障害の特性があっても、生活環境によって困難さや生きづらさを感じないという方もいます。 一方で、その特性と周囲の環境がマッチしていない場合、生活や仕事での困難が生じやすくなり、場合によっては抑うつなどの二次障害を併発することがあると言われています。そのため、自分の特性を知り、その上で自分に合った対処法と自分に合う環境調整をしながら、困りごとや悩みに対する解決法を考えていくことが大切です。

 

ひとりでは対処が難しいと感じられている場合は、まずはその困りごとを専門家と話しながら自分の特性を知ることをはじめてもいいでしょう。次の章では、さまざまな相談にのってくれる支援機関を紹介していきますので、ご自身の悩みに合わせて相談してみましょう。

「大人の発達障害かも」とお悩みの方へ各支援機関のご紹介

発達障害の特性からくる私生活や仕事上での困りごとを相談できる支援機関があります。以下のいずれの支援機関も障害者手帳や診断書がなくても相談することができます。ただし、実際にサポートを受ける場合は障害者手帳や診断書などが必要になる場合もありますので、詳しくは各支援機関へご確認ください。

 

発達障害者支援センター
対象は、発達障害のある人の生活全般のこと、仕事に関することなど、幅広い相談を受けつけています。発達障害の診断がついていない方も相談することができます。本人のご希望や状況によって、ほかの就労支援機関との連携をすることもあります。

障害者就業・生活支援センター
発達障害・知的障害・精神障害・身体障害・難病など障害種別を問わず、障害のある方を対象に、生活から仕事のことまで一体的に支援しています。

地域障害者職業センター
障害のある方を対象に、職業リハビリテーションを提供している専門機関です。企業へのジョブコーチの派遣や、本人の就労相談・職業能力の評価など、おこなっています。

地域若者サポートステーション
対象は15~49歳までの無業状態(ひきこもり、不登校など)にある若者です。企業での就労体験やコミュニケーションプログラムをおこない、就労と自立を支援しています。

就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職のために必要となる知識や能力を高められたり、自己理解を深め自分に合った仕事を見つけるサポートをおこなっています。障害者手帳の有無に関わらず、医師や自治体の判断などにより、就職に困難が認められる方も利用することができる場合もあります。

就労移行支援の資料をダウンロードする

「大人の発達障害」のまとめ

発達障害は、生まれつきの脳機能の特性と本人が過ごされる環境の相互作用により社会生活に影響するような困難が発達期(幼児から学齢くらいまでの間)から継続的に生じる生じている状態をいいます。

 

自身の得意・苦手などの特性を理解すること、過ごしている環境をどのように整えていくとよいのかを理解することで、生きづらさを解消し自分らしく過ごす第一歩とできる可能性があります。

 

社会で過ごしていく中で、さまざまな場面で困難を感じ、ひとりで困難を解決していくことが難しく感じている場合は、医師や支援機関など、ご自身の周りにある環境へ相談してみましょう。

「大人の発達障害」のある方の就活をサポート

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万人以上の方の就職をサポートしてきました。「働くことに悩んでいる」「体調が不安定で働けるかわからない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

 

 

【無料】働くことのお悩みをLITALICOワークスに相談する

参考文献・URL

更新日:2023/03/02 公開日:2021/06/23
  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

関連ページ

まずはお気軽にご相談ください
障害や就職のこと、LITALICOワークスに相談してみませんか?
ちょっとした質問・相談もお気軽にどうぞ。無料でご相談いただけます。
お電話でのご相談もお待ちしています。
受付時間 平日10:00〜17:00

このページに関連する
おすすめコンテンツ

ページトップへ