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障害のある方の就職事例

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -品出し・接客-

統合失調症(精神障害)の仕事・就職事例 -品出し・接客-

統合失調症や自分自身と向き合えた就職

女性/40代/小売業/品出し

統合失調症(精神障害)

違和感から10年、統合失調症と診断

手先が器用なMさんは、20代から30代にかけて、清掃や倉庫での梱包作業に従事していました。男性社員との関わりが多い職場のためか、ミスの指摘や業務効率化のためアドバイスをもらう中で、次第に男性に対して「怖い」と感じるようになっていきました。

Mさんは、職場でのストレス状態が高まり、これまでにはなかった男性の声の幻聴が聞こえ、上の空になるタイミングが増えていきました。
仕事の休みも増えてきたことからも、一緒に暮らすご家族は、これまでのMさんの様子と異なることにいち早く気付き、Mさんに声がけをしていましたが、「自分の気持ちが弱いから仕事を休んでしまう」のだと感じ、無理をして仕事を続けていました。

40歳を迎える頃、仕事を退職したMさん。その後は引きこもりがちになってしまい、その時やっと心療内科に相談しようと決心しました。
診断は、統合失調症。通院中には、医師の勧めで障害者手帳も取得をしました。
統合失調症の症状が出てきてから、初めて心療内科を受診するまで、10年の年月が流れていました。

自分に合った支援探し

家族から「就職を焦らないでいいから、今後のためにどこか相談に行ってみては?」という一言があり、そこで、就職について相談先を見つけるためサポート制度や施設を探しました。最初に足を運んだのは市区町村が運営するサポートセンターでした。

サポートセンターの担当者に、Mさんが特につらく感じていること——統合失調症の症状の1つである幻聴や集中力や意欲の低下——、この状態で就職活動やフルタイム勤務をすることへの不安を相談しました。

Mさんの話を聞いたサポートセンターの担当者は「体調を整えることからスタートできるし、就職に必要なスキルも学べるので、就労移行支援に見学に行ってみませんか」と、いくつか就労移行支援の事業所を紹介してくれたそうです。

紹介された事業所の中で「プログラム内容や事業所の雰囲気がよさそう」と感じたMさんは、早速LITALICOワークスに予約をしました。

はじめて訪れたLITALICOワークスでは、スタッフの笑顔が優しく、過去の話も含めて受け止めてくれたような気持ちになれ、最初はスタッフと目を合わせて話をすることができませんでしたが、自然と笑顔になれたそうです。

また、詳しくサービス内容を聞いてみると、様々な職種を体験できる企業インターンや、自己理解を深めるプログラムなど、自分の学びたいことが学べる環境だと感じたMさんは、LITALICOワークスへ通うことを決めました。LITALICOワークスへ相談に行って、就職に向けて選択肢がぐっと広がったように感じたとMさんは話してくれました。

統合失調症の私が働くにはどうしたらいいですか?

Mさんの希望で、LITALICOワークスのスタッフが通院に同行したときのことです。

今後就職する意志があること、フルタイム勤務がしたいことを医師に相談すると「1週間に20時間以上の勤務は難しいかもしれないね」と医師からアドバイスがありました。

Mさんは「私は何を変えれば、20時間以上働けるようになりますか?」と医師に前向きな質問をすることができました。その姿勢を見たLITALICOワークスのスタッフは、就職にかけるMさんの決意を感じました。

Mさん、主治医、LITALICOワークスの3者で、今後の目標について話し合いました。「LITALICOワークスに安定して通えるようになること」を目標に、まずは週2日からスタートすることに決めました。

統合失調症と本当の意味で向き合えた

「1人では気付けなかったり解決できなかったことが、LITALICOワークスに来たことでできるようになりました」

LITALICOワークスの利用開始から半年ほどの間、男性の声で「お前は就職できない」と幻聴が聞こえることが多々ありました。Mさんはスタッフに相談することで、そのような症状が出るときには、前日に出かけたり、夜更しをして疲れているなどの、一定のサインがあることに気づくことができました。

LITALICOワークスに着いたらまず体のストレスサインのチェック。そうすることで「今日は幻聴があるかもな」と事前に予測ができ、心の余裕につながったそうです。

その他にも、Mさんが安心できる工夫をスタッフと一緒に考えながらトレーニングをしました。

幻聴の声は、いつも後ろから聞こえるような気がするため、部屋の中央ではなく壁側の席を常に利用したり、それでも幻聴が聞こえるときには、スタッフと一緒に声の方向に振り返り、幻聴は、現実に起きていることではないと確認したりしました。

スタッフと共に考えた手立ては、LITALICOワークスへの通いやすさと安心につながりました。こうした日々の工夫から、不安要素が減り、だんだんと通うペースも安定していきました。

Mさんはこれらの取り組みをこのように振り返りました。

「LITALICOワークスに通って、本当の意味で統合失調症と向き合うことができました。通院や障害者手帳を持つことで、私は統合失調症と向き合えていると思っていました。それだけだと、これからも幻聴が続くかも…という不安感や、終わりのない苦しみを感じている自分を置き去りにしたままだったように思います。」

新しい自分が見つかり、就職へ

これまでの経験から、コミュニケーションが必要な職場や男性がいる職場は苦手だと考えていたMさんでしたが、LITALICOワークスの企業インターンを経験することで、新しい自分を発見することができました。

事前に練習していたトレーニング内容や、想定できる範囲内のコミュニケーションであれば問題なく対応できることが色々な職場を体験することで分かったのです。

1社目の業務内容は、広告の折込作業です。作業が早めに終わったら、周囲の同僚に自ら手伝いの声がけをし、チームで想定以上の成果を残すことができました。同僚とのコミュニケーションができることに自信を持てるようになりました。

2社目の業務内容は、小売業の品出しと接客でした。主な業務は品出しですが、お客さまから商品の置いてある場所など質問を受けることもある業務です。Mさんは不安もありましたが、2つの準備をしたことで自信を持って実習に臨むことができました。

1つは、急な対応に慌てないように、事前に想定できる質問と回答を作成しておいたことです。もう1つは、万が一想定外の質問があったときには、周囲のスタッフに相談させてほしいとお願いをしておいたことです。

お客さまからの質問に回答できたときの達成感は、Mさんの働く上での励みになりました。

インターン期間が終わると、やりがいを感じられる接客や品出し業務を中心の就職活動に励みました。LITALICOワークスに通いはじめてから1年半、ついに就職が決まりました。

「LITALICOワークスに通うまで、辛いことも悲しいことも抱え込み自問自答する毎日でした。自分から周囲に相談すること、つながりをつくることの大切さが、この1年半でわかったような気がします。就職を通して新しい自分と出会えました。1人で考えていたら新しい業種にチャレンジしてみようとも思わなかったと思います。卒業してからも相談できるLITALICOワークス、職場の同僚、主治医、今はたくさんの味方がいるのだと感じています。今後は、新しい友人や恋人を作ってより充実した毎日を過ごしたいです」

照れくさそうにお話するMさんでしたが、その目はとてもキラキラと輝いていました。

 

※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。

※掲載内容(所属や役割、診断名など)はインタビュー当時のものです。

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