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ナルコレプシーとは?原因や症状・診断や仕事中にできる対処法を解説

更新日:2024/06/20

仕事中に耐えられないほどの眠気に襲われたり、気がついたら眠っていたりする場合、「ナルコレプシー」と呼ばれる睡眠障害の可能性があります。

 

しかし、日中に眠たくなることは、睡眠障害のない方であっても起こり得ることです。

 

そのため「病院に行った方がよい状態なのか自分で判断がつかない」「そもそもナルコレプシーがどのような疾患か分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、ナルコレプシーの症状や原因、診断方法などを解説します。

 

また、ナルコレプシーは何科を受診すればいいのか、ナルコレプシーの症状に悩む方が、仕事をするうえでできる対処法もご紹介していきます。

ナルコレプシーとは

ナルコレプシーの特徴は「自分ではコントロールできないほどの眠気が日中に繰り返し起こる」という点です。

 

睡眠障害のなかの過眠症のひとつとされています。

 

日本人では、およそ600人に一人の割合で発症するとされており、大人よりも子どもや青年など若い年齢の方に多く、発症するピークは14~16歳と言われています。

 

ナルコレプシーの眠気は非常に強く、日常生活だけでなく学校や仕事に支障をきたすケースがあるため、悩む方も少なくありません。

ナルコレプシーの原因

近年、ナルコレプシーが起こる原因には「脳内物質のひとつであるオレキシンの欠乏が関係しているのではないか」ということが分かってきました。

 

まず、人間には下記3つの状態があるとされています。

 

  • 覚醒(目覚めている状態)
  • ノンレム睡眠(眠りが深い状態)
  • レム睡眠(脳が活動していて、夢を見ることもある状態)

 

オレキシンは、このうちの「覚醒」に関係する働きをしています。

 

上記のことから、オレキシンが何かしらの要因により、分泌できなかったり、足りなくなったりすると、強い眠気が起こってしまうのではないかと考えられています。

 

しかし、詳しいメカニズムについては、まだはっきりとは分かっていません。

ナルコレプシーの症状

ナルコレプシーの症状としては、下記4つが挙げられます。

 

  • 居眠りの反復
  • 情動脱力発作
  • 睡眠麻痺(金縛り)
  • 幻覚

 

共通しているのは「居眠りの反復」で、その他は人によってあったりなかったりします。

 

それぞれ具体的にどのような症状が起こるのか、解説していきます。

居眠りの反復

ナルコレプシーの代表的な症状は、日中の過度な眠気です。

 

ナルコレプシーの眠気は、しっかりと睡眠をとっている場合でも起こることがあります。

 

また、自分の意志で眠気を抑えることができないため、会議中や試験中、自転車に乗っているときや食事中など、本来であれば居眠りするとは考えにくい状況で眠ってしまうこともあります。

 

なかには、眠気がやってきたことに気付かないまま、知らないうちに寝てしまい、本人が起きた後に「今、自分は寝ていたのだ」と自覚するケースも見られます。

 

このように強い眠気が突然くることを「睡眠発作」と表現することもあります。

 

起きた後は、一時的にすっきりとしていますが、時間が経つと再び眠気が襲ってくることがあります。

情動脱力発作

情動脱力発作(カタプレキシー)は、怒りや笑い、恐怖など、突発的な感情がきっかけとなり、突然身体(筋肉)の力が抜けてしまう症状です。

 

具体的には、びっくりしたり、笑ったりしたときに、全身もしくは身体の一部(首や膝など)の力が抜けてしまいます。

 

例えば、掴んでいたものを落としたり、表情が引き攣ってしまったり、地面に倒れ込んでしまうケースもあります。

睡眠麻痺(金縛り)

睡眠麻痺(金縛り)は眠りかけているときや、眠った直後、目が覚めたときに、力が入らず、身体が動かせなくなる症状です。

 

基本的に、症状は時間が経つと自然に消えていきます。

 

睡眠麻痺(金縛り)はナルコレプシーのない方にも起こり得る症状ですが、ナルコレプシーのある方の場合、頻度が多かったり、程度が強くあらわれやすい特徴があります。

入眠時幻覚

ナルコレプシーのある方は、実際には起こっていない出来事の映像や音が見えたり、聞こえたりすることがあります。

 

ナルコレプシーの症状としての幻覚は、寝入りばなに起こる「入眠時幻覚」が代表的ですが、目が覚めたときの「出眠時幻覚」が起こることもあると言われています。

ナルコレプシーの診断基準と診断方法

ナルコレプシーは、アメリカ精神医学会「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」などをもとに診断されます。

 

この章では、ナルコレプシーの診断基準や診断方法について分かりやすく解説します。

ナルコレプシーの診断基準

ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気が生じ、うたた寝などの睡眠状態を繰り返します。1日に複数回うたた寝する状態が、3ヶ月以上にわたって週に3回以上起こります。

 

長期で罹患している場合は、意識はあるものの笑いなどが引き金となって突然筋緊張消失が起きるか、子どもや発症後半年以内であればしかめ面や舌の突出などが見られるか、いずれかの発作が月に数回起こります。

 

また、診断に際しては、睡眠ポリグラフ検査(脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度などの生体活動の検査)、睡眠潜時反復検査(過眠や日中の眠気を評価する検査)などがおこなわれます。

ナルコレプシーに似た疾患

ナルコレプシーに類似した疾患としては「突発性過眠症」が挙げられます。

 

突発性過眠症もナルコレプシーと同様に、日中に強い眠気を感じる症状があらわれます。

 

しかし、突発性過眠症の場合は「うたた寝をしてもすっきりとしにくく、日中の眠気が続く」という傾向があります。

 

また、ナルコレプシーのような入眠時幻覚があらわれることはなく、睡眠中に夢を見ることも少ないと言われています。

ナルコレプシーの診断方法

ナルコレプシーかどうかを診断する際は、まず問診(症状や経過を聞く)がおこなわれます。

 

問診をおこなったうえでナルコレプシーの疑いが高い場合、後述の検査を実施していく流れです。

 

この項目では「睡眠ポリグラフ検査」や「睡眠潜時反復検査(MSLT)」についてご紹介します。

 

睡眠ポリグラフ検査(PSG)

 

睡眠ポリグラフ検査(睡眠ポリソムノグラフィー:PSG)は、ナルコレプシーを含む睡眠疾患の診断に用いられる検査のひとつです。

 

患者さんは1日入院して、睡眠時は頭や胸、足などに電極を装着します。

 

これにより、脳波や呼吸、酸素飽和度などを測り、睡眠中の状態を調べます。

 

電極をつけているときも痛みはなく、お手洗いに行ったり、寝返りをうったりしても問題ありません。

 

睡眠潜時反復検査(MSLT)

 

睡眠潜時反復検査は、睡眠ポリグラフ検査をした翌日の日中におこなう検査です。

 

睡眠ポリグラフ検査と同じ内容を、数時間ごとにおこない、患者さんが感じている日中の眠気の程度を客観的に数値化します。

 

英語表記(multiple sleep latency test)の頭文字をとり、MSLTと呼ばれることもあります。

ナルコレプシーの治療方法

ナルコレプシーを根本的に治す治療方法は、まだ見つかっていないのが現状です。

 

しかし、生活環境の調整や薬物療法をおこなうことで、症状を和らげることができます。

生活環境の調整

ナルコレプシーを含む睡眠疾患は、生活習慣の改善が症状の緩和につながることがあります。

 

そのため、医師は規則正しい生活を心がけるようアドバイスをします。

 

具体的な例としては、下記が挙げられます。

 

  • できる限り、同じ時間に眠る
  • できる限り、同じ時間に起きる
  • 昼寝をする場合は時間は時間を決めて寝過ぎないようにする
  • 暴飲暴食やアルコール、カフェイン、ニコチン等を控える など

 

とくに、十分な睡眠時間や良質な睡眠は、症状を和らげるための重要な役割を担っています。

 

また、必要に応じて、睡眠時間や起床時間を記録する睡眠記録表を使う場合もあります。

薬物療法

ナルコレプシーの薬物療法で使われている薬には複数の種類があります。

 

例えば、日中の眠気を抑えるためには、脳機能を活発化させる中枢刺激薬が使われます。

 

夜間の不眠の症状が強いのであれば、睡眠薬を使い、夜間の睡眠を安定させることによって日中の眠気を予防します。

 

また、レム睡眠に関連する症状(入眠時幻覚や睡眠麻痺など)に対しては、レム睡眠抑制作用のある抗うつ薬が処方されることがあります。

ナルコレプシーは何科を受診すればいい?

病院を受診するかどうかお悩みの方へ、受診の目安のひとつが「睡眠に関係する問題が続いており、改善を試みても1ヶ月以上良くならない場合」と言われています。

 

もしも「ナルコレプシーかもしれない」と思ったら、下記の医療機関を受診を検討しましょう。

 

  • 睡眠障害を診ている睡眠外来
  • 精神神経科
  • 精神科
  • 神経内科

 

病院によっては、診察後の検査などをほかの医療機関と連携しておこなう場合もあります。

 

そのため、気になる方はあらかじめ「同じ場所で検査や治療もできるのか?」問い合わせておきましょう。

ナルコレプシーのある方が仕事上でできる対処法は?

ナルコレプシーの症状にお悩みの方が、仕事上でできる対処法を解説します。

会社へ伝えておく

どのような方であっても、会議や事務作業中に眠気がやってくることはあります。

 

そのため、ナルコレプシーについてよく知らない方から「食後に眠いのはみんな一緒だ」「仕事中に寝るなんて怠けている」と勘違いされてしまうことも考えられます。

 

しかし、ナルコレプシーの場合、本人のやる気でどうにかなるものではありません。

 

怠けやサボりだと思われないためにも、できる限り会社へ知らせておいた方がいいでしょう。

 

具体的には、下記の3点を意識して伝えます。

 

  • 「ナルコレプシー」という睡眠障害があること
  • 症状が起こるのは仕事中だけではないこと
  • 希望する配慮について(休憩時間の分割など)

 

なかには、ナルコレプシーという名称をまったく知らない方もいらっしゃいます。

 

そのため、上手く伝えられるか不安な方は、分かりやすく伝わるよう、あらかじめ文章で考えておくとよいでしょう。

 

また、会社側に伝えておくことによって、次の項目でご紹介する「休憩のとり方を変える」などの対策をとるための相談がしやすくなります。

 

とはいえ、自身が悩んでいる疾患について話すことは、勇気のいることです。

 

まずは、話しやすい上司や先輩、会社のカウンセラー、産業医などに相談してみましょう。

休憩のとり方や働き方を変える

 

ナルコレプシーの対策として「休憩時間を分割して短時間の仮眠を複数回に分けてとる」という方法が挙げられます。

 

6時間以上の勤務の場合、60分以上の休憩をとらせることが労働基準法で定められています。

 

この60分を午前中30分と午後30分に分けて、短く過眠をとる方法です。

 

ただし、これらを実施するためには、会社側の理解を得ておく必要があります。

 

事故につながる可能性のある業務は避ける

ナルコレプシーの症状が見られる場合、避けた方がいい業務があります。

 

それは、車の運転や高いところでの作業など、自分や他人の危険に関わるお仕事です。

 

上記の状況に身を置いている場合、ナルコレプシーの症状である睡眠発作が起こったときに、事故につながる可能性が高いと考えられます。

 

そのため、これから転職や就職する場合は「具体的にどのような業務を担当するのか?」「車や自転車の運転は必要か?」などをよく確認するようにしましょう。

必要な時には薬を使う

さまざまな対処法をやりつつも、睡眠発作が生じてしまうのがナルコレプシーの大変さです。

 

どうしてもここは寝てはいけないという場面では、薬を使うことも一つの対処法になります。

 

ただし、自己判断で服用することは避け、かかりつけの医師と必ず相談しながら使うようにします。

ナルコレプシーのまとめ

ナルコレプシーのある方は、日中に強い眠気がやってくるため、人によっては日々の生活や仕事に影響が出てしまう場合もあります。

 

とくに、一瞬の眠気が事故につながる状況(はしごで高いところに上ったり、乗り物の運転をしたりするなど)は避けるようにしてください。

 

また、「ナルコレプシーかもしれない」と疑いつつも、まだ医師に診てもらっていない場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

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参考文献・URL

更新日:2024/06/20 公開日:2022/06/14

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