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お役立ち仕事コラム

障害者控除とは?対象者や控除される金額・申請方法について解説

更新日:2022/05/23

「障害者控除」とは、障害のある人やその家族が受けることのできる税法上の制度のことです。

具体的には、所得税や住民税、相続税などの税金の負担を減らすことができます。

しかし「障害者控除」という言葉は知っていても「詳しくはわからない」「計算がややこしそう」と、感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「控除(こうじょ)ってどういう意味なの?」という部分からわかりやすく解説します。

また、障害者控除の制度を活用するとどのくらいの金額が控除されるのか、例を挙げてご紹介します。

障害者控除とは?

まずは「障害者控除とはどのようなものなのか?」解説します。

そもそも「控除」ってどういう意味?

「障害者控除とは何か?」を理解するためには、所得控除(しょとくこうじょ)について把握する必要があります。

 

「所得」は収入から必要経費を差し引いて残った金額になります。

 

「控除」という言葉そのものには「お金を差し引く」という意味があります。

 

そして「所得控除」は、税金がかかる分のお金(課税対象額)を計算する際に、差し引くことができる一定の金額のことを差します。

 

所得控除額が大きいほど、税金の負担額が少なくなります。

所得控除の種類

所得控除にはさまざまな種類があります。

 

代表的な所得控除の種類としては下記の通りです。

  • 基礎控除
  • 医療費控除
  • 配偶者控除
  • 寄付金控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 障害者控除
  • 寡婦・ひとり親控除 など

各控除によって、適用される条件が定められています。

 

例えば、対象となる年に医療費が10万円以上かかった場合は「医療費控除」の対象です。

 

また、所得の合計が48万円以下の配偶者がおり、本人の所得合計が1000万円以下の場合、「配偶者控除」が受けられます。

 

このように、さまざまな控除を適用することで、個人の状況に合わせて納税の負担を調整することができます。

 

上記は所得控除についてです。

 

住民税控除に関しても、控除となる項目はほぼ同じですが控除額が異なります。

障害者控除について

障害者控除は、ひとつ前の項目でお伝えした所得控除のうちのひとつです。

 

障害者控除は大きく下記の3つの区分に分けられます。

  • 障害者
  • 特別障害者
  • 同居特別障害者

区分によって、対象となる条件や控除額が異なっています。

 

また、障害者控除は、特別障害のある本人だけでなく同じ家計内で生活している家族も対象(上記区分上の「同居特別障害者」)です。

 

特別障害者とは、障害により困難が多くある方になります。

 

例えば「重度の知的障害に該当する」「常に寝たきりの状態で周囲からの支援が必要」などの状態です。

 

そのほかに、どのような方が特別障害者にあてはまるのかについては、国税庁の公式サイトをご覧ください。

障害者控除の対象者

障害者控除の対象者となる人のケースを「障害者」と「特別障害者」、それぞれの区分ごとに解説します。

障害者控除の対象者

一例ですが、下記にあてはまる場合、障害者控除の対象となります。

  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
  • 身体障害者手帳に身体上の障害があると記載されている
  • 療育手帳※の交付を受けている
    ※「療育手帳」は地域によって「愛の手帳」「みどりの手帳」など名称が異なることがあります。
  • 65歳以上かつ市町村によって障害者控除の対象と認められている
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている など

ただし、場合によっては、障害者控除の対象外になる可能性があります。

 

例えば、身体障害者福祉法上7級に相当する場合、障害者控除にはなりません。

特別障害者に該当する場合

以下の項目に該当する場合、区分上、特別障害者として障害者控除を受けることができます。

  • 重度の知的障害がある
  • 身体障害者手帳の等級が1級もしくは2級
  • 精神障害者保健福祉手帳の等級が1級
  • 原子爆弾被害者の認定を受けている
  • 寝たきりで複雑な介護を必要としている など

上記は一例です。

 

障害者控除の対象、および特別障害者にあてはまるか否かどうかを知るためには、国税庁の公式サイトを確認しましょう。

障害者手帳がなくても対象になることがある

障害者控除は、手元に障害者手帳がなくても受けられることがあります。

 

具体的には下記の2つのパターンがあります。

市町村などで障害者認定を受けている

障害者手帳を取得していなくても、市町村が発行している「障害者控除対象者認定書」を持っている場合は、障害者控除を受けることが可能です。

 

「障害者控除対象者認定書」の交付対象は、65歳以上かつ「寝たきりの高齢者」や「知的障害者に順ずる症状がある」などです。

 

詳しく知りたい方へは、お住まいの市町村の窓口へお問い合わせください。

障害者手帳を申請中

障害者手帳を申請中の場合、医師の診断書で代用することができます。

 

もしも、書類を提出する時期に間に合わないときは、お住まいの市区町村の窓口へ相談をしてみましょう。

障害者控除で控除される金額

障害者控除で控除される金額を、所得税と住民税に分けてご紹介します。

所得税の障害者控除額

障害者控除で所得から控除される金額は以下の通りです。

  • 区分:障害者 控除額:27万円
  • 区分:特別障害者 控除額:40万円
  • 同居特別障害者 控除額:75万円

障害のある方は27万円、特別障害者にあてはまる場合は40万円が所得から差し引かれる仕組みです。

 

また、同居している配偶者や扶養家族のなかに、特別障害者がいる場合、1人あたり75万円が控除されます。

住民税の障害者控除額

つづいて、住民税における障害者控除額を見ていきましょう。

  • 区分:障害者 控除額:26万円
  • 区分:特別障害者 控除額:30万円
  • 区分:同居特別障害者 控除額:53万円

ひとつ前の項目でご紹介した所得税の控除額とは金額が異なります。

 

また、住民税の障害者控除については、国税庁の公式サイトではなく、各自治体の公式サイトに記載されています。

 

そのため、より詳しく知りたい場合は、お住まいの市町村の公式サイトを確認しましょう。

障害者控除の控除額の計算方法

障害者控除の控除額を計算する方法をご紹介します。

 

年収のうち、課税所得金額(税金がかかる金額)がいくらかによって変わるため、手順を踏んで計算をする必要があります。

 

障害者控除の控除額を計算する手順は下記の通りです。

  1. 年収のうち課税所得金額(税金がかかる金額)がいくらか計算する
  2. 税率を確認する
  3. 控除額に税率をかけて計算する

ここでは、会社に勤めている年収300万円のAさん(精神障害者保健福祉手帳3級)をモデルにして、計算していきます。

1.年収のうち課税所得金額(税金がかかる金額)がいくらか計算する

まずは、年収から給与所得控除や基礎控除などを差し引いて、課税所得金額がいくらになるのか計算します。

 

具体的な計算式は下記の通りです。

  • 基礎控除(48万円)+障害者控除(27万円)=75万円(所得控除額)
  • 年収300万円₋給与所得控除(300万×30%+8万円)₋所得控除額(75万円)=127万円

基礎控除とは、一定の所得以下の方すべてに適用される控除です。

障害者控除とは

出典:国税庁

今回、合計所得金額は2,400万円以下なので、基礎控除額は48万円で計算しています。

 

また、給与所得控除額は、国税庁の公式サイトに掲載されている金額をもとに計算しています。

 

障害者控除とは

出典:国税庁

ただし、給与所得控除額の計算式は変更されることがあるため、最新の情報を確認するようにしましょう。

 

他に受けられる控除がある場合は、それらも含めた額を年収から引いて、課税所得金額を計算しましょう。

2.税率を確認する

日本は累進課税制(収入がたくさんある人ほど税率が高くなる仕組み)であるため、所得によって税率が異なっています。

 

1.で計算して出た金額(127万円)の場合、税率は5%になります。

3.控除額に税率をかけて計算する

障害者控除によって引かれる税金の額は「障害者控除額×税率」で導き出すことができます。

 

Aさんの所得税の障害者控除額は27万円なので「27万×5%=13,500円」となり、13,500円が障害者控除によって引かれる所得税の金額になります。

 

また、住民税の場合は、税率が一律10%です。

 

Aさんの住民税の障害者控除額は26万円なので「26万×10%=26,000円」の計算式です。

 

つまり、26,000円が障害者控除によって引かれる住民税の金額になります。

障害者控除の申請方法

所得税や住民税の障害者控除を適用する場合は、一年間の税金を確定する「年末調整」や「確定申告」の際に申請をする必要があります。

所得税・住民税の障害者控除

まずは、所得税と住民税の障害者控除の申請方法をご紹介します。

 

申請方法は、会社員か個人事業主かによって異なります。

会社員の方は年末調整のとき

会社員の方は、勤務先の会社が年末調整を行います。

 

そのため、会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載します。

 

具体的には「C障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄に必要事項を書きましょう。

 

もしも、年末調整の書類に書き忘れてしまった場合は、確定申告にて障害者控除の申請を行うことができます。

個人事業主の方は確定申告のとき

個人事業主やフリーランスの方は、確定申告の手続きの際に申請をします。

 

確定申告書を作成する際に「勤労学生、障害者控除」の欄に記入をしましょう。

 

障害者手帳のコピーなどの添付書類は、原則必要ありません。

相続税の障害者控除

遺産などを相続する際にかかる相続税に関しても、障害者控除を受けることが可能です。

 

ただし、相続税の障害者控除は「相続人が障害者であるとき」に適用されるため、被相続人(亡くなった方)に障害がある場合は対象外です。

 

障害者控除を受けられる条件は下記の3つです。

  • 相続時に日本国内に住所がある
  • 相続時に障害者であること
  • 法定相続人(被相続人の配偶者、被相続人の血族)であること

すべてにあてはまる場合、本人が満85歳を迎えるまでの年数1年ごとに10万円(特別障害者の場合は20万円)を控除することができます。

 

相続税の障害者控除を受けるためには、相続税の申請を行うときに「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」と呼ばれる書類を提出します。

 

また、このとき、障害者手帳のコピーなど、要件を満たしていると証明できる書類が必要です。

障害者控除のまとめ

障害者控除を活用することで、所得税や住民税、相続税の負担を軽減することができます。

 

まずは「障害者控除の対象になるのかどうか?」や「控除される金額はいくらか?」などを確認してみましょう。

 

また、障害者控除は自動的に適用されるわけではないため、こちらから申請を行う必要があります。

 

そのため、年末調整のタイミングや確定申告時に手続きを忘れないように注意しましょう。お近くの税務署でも相談が可能です。気になる点があったら問い合わせてみるといいでしょう。

障害のある方の就職支援について

働くことにお悩みの障害のある方への支援として「就労移行支援」があります。

就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは全国に就労移行支援事業所を展開し、就職のためのサポートをおこなっています。障害があり、働くことにお困りなことがあれば是非ご相談ください。

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参考文献・URL

更新日:2022/05/23 公開日:2022/02/04
  • 監修者

    東京福祉大学・大学院 社会福祉学部 講師

    中里 哲也

    EBP(Evidence Based Practice)に基づいたソーシャルワーク支援展開を目指し活動中。
    専門は「医療福祉」「教育福祉」「地域福祉」「人材育成」など多岐に渡る。

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