障害年金とは病気やけがにより働けなくなり、生活に困ったときに受給できる年金です。名前は聞いたことがあるけれど障害年金とはどういった制度で申請手続きはどう進めればいいのか、金額はいくら受給できるのか、更新はあるのかなど、ご存じない方も多いかと思います。
この記事では障害年金の申請手続きや金額、精神障害、発達障害などの申請対象となる障害、もらうための条件はあるのかなどを解説します。
障害年金とは病気やけがにより働けなくなり、生活に困ったときに受給できる年金です。名前は聞いたことがあるけれど障害年金とはどういった制度で申請手続きはどう進めればいいのか、金額はいくら受給できるのか、更新はあるのかなど、ご存じない方も多いかと思います。
この記事では障害年金の申請手続きや金額、精神障害、発達障害などの申請対象となる障害、もらうための条件はあるのかなどを解説します。
目次
障害年金とは病気やけがなどによって障害のある方が申請できる公的な年金です。
障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、その障害で初めて診察を受けた日(以下「初診日」と記載します)にどの年金制度に加入しているかによって、申請できる年金の種類が決まります。
また年金額も年金の種類や等級によって変わってきます。この記事では申請方法や申請対象となる障害などを解説していきます。
申請対象となる障害の一例が厚生労働省のサイトに以下のように挙げられています。
上記の表では精神障害のカテゴリーの中に、知的障害と発達障害も記載されており、少しわかりづらいかもしれませんが、精神障害、知的障害、身体障害に加えて発達障害や一部の難病のある方でも障害年金を申請することは可能です。
申請をした結果、受給できるかはその他の条件などによって変わりますので、詳細は後ほど記載していきます。
障害年金の中の一つ、障害基礎年金とは初めて受診した際に、初診日に国民年金に加入していた方が申請対象になります。
障害の程度に応じて1級と2級に分けられますが、障害者手帳の等級とは別になりますので注意が必要です。
障害年金にはもう一つあります。障害厚生年金とは初診日に厚生年金に加入していた方が申請対象になる年金です。
障害基礎年金とは違い1級~3級まで等級があり、3級となった場合は障害厚生年金のみ受給できます。また3級に該当しない場合も「障害手当金」が受給できることがあります。
以前は障害共済年金という制度もありましたが、平成27年10月以降に障害厚生年金に一元化されました。
障害年金の等級と障害者手帳の等級は違うため、障害者手帳の等級がそのまま適用されるわけではありません。
障害者手帳の有無に関わらず。要件を満たせば障害年金を申請することができます。
例えば精神障害のある方で、精神障害者保健福祉手帳の等級が1級となっていても、障害年金の等級は2級など別の等級となる可能性があります。
障害年金で受給できる金額は加入している年金の種類や障害等級によって違います。また配偶者や子どもがいる場合はそれぞれ一定の額が加算されることがあります。
金額は年度によって改定されます。簡単になりますが以下に金額を記載します。
障害手当金は初診日に厚生年金に加入している方が障害等級が3級よりも程度が軽く、固定(症状が変わらない状態)している場合に申請できる一時金のことです。一時金とは継続して支給されるのではなく、申請した際に一度だけ支給されるお金の事です。
障害年金と同じく保険料納付要件などの要件を満たしていることが申請するうえで必要となります。
支給額は障害厚生年金額の2倍となります。また最低保証額として117万1,400円が保証されています。
障害年金を申請するためには以下の3つの要件を満たしておく必要があります。
①初診日要件
②保険料納付要件
③障害認定要件
これらの要件を全て満たしていることが必要となります。複雑ですが、①から順番に確認していくと把握しやすいと思います。一つずつ見ていきましょう。
障害年金における初診日とはその障害の原因となった病気やけがで初めて病院を受診した日のことです。以下の②と③の基準となる日になりますので最初に確認するといいでしょう。
初診日は病院で確認することができます。現在通院している病院と初めて受診した病院が違う場合は、初めて診察を受けた病院に確認が必要となります。
初めて受診してから年数がたっていると、カルテがないなど確認が困難なことがあります。障害年金の申請を検討している方は早めに確認をするようにしましょう。
また、初めて受診した病院が現在は廃院となっている、カルテが見つからない、などの場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出することで初診日の認定を受けることができる場合があります。
その際は、障害者手帳や診察券、領収書などの参考資料、第三者による証明書を添付するようにしましょう。
初診日が分からない状況でも申請できる可能性はあります。日本年金機構などの窓口や社労士に相談してみるといいでしょう。
初診日が特定できた後は、初診日以前に障害年金の保険料納付要件を満たしているか確認しましょう。
保険料納付要件には「原則」と「特例」があります。初診日が平成8年3月31日までの場合は特例が適用されますので、特例から解説します。
初診日から1年6ヶ月経過した日、または1年6ヶ月以内に治った日(症状が固定し治療効果がない状態)を障害認定日といい、障害認定日に一定以上の障害の等級になっていることが障害年金受給の要件となります。
そのため障害があってもすぐ障害年金を申請できるわけではなく、1年6ヶ月経過するか症状が固定してから申請する必要があります。
※また、障害認定日の時に障害状態に該当しなかった場合でも、その後該当した時は事後重症という形で申請ができます(65歳前まで)。
障害年金受給のための初診日や保険料納付要件などを解説しましたが、生まれつき障害のある方や未成年で国民年金に加入する前に、けがや病気などになった方の場合も申請が可能です。その場合は「20歳前傷病による障害基礎年金」という形で申請を行います。
20歳前傷病による障害基礎年金には2つのパターンがあり、生まれつきや20歳になる前に病気やけがなどがある方で、以下の日に1級または2級の障害等級に該当する場合に申請を行うことができます。
20歳前傷病による障害基礎年金を申請する場合は、初診日に保険料納付の義務がないため保険料納付要件は問われません。
障害年金の申請は必要な書類をそろえたうえで、年金事務所で行います。申請する際の書類には「医師に依頼する書類」と「請求者が記載する書類」があります。その他にも年金手帳などを用意し、申請を進めていきます。
年金事務所の場所は「日本年金機構」のホームページから検索することができます。
・受診状況等証明書
申請書類の一つ目は「受診状況等証明書」です。こちらは初診日を証明するための書類で、初めて受診した病院に作成依頼の申請を行います。
※ただし、初めて診察を受けた病院にそれ以降も通院している場合は、医師による診断書で初診日が証明できるため、用意する必要はありません。
・医師による診断書
申請書類う二つ目は「医師による診断書」です。こちらは障害の具体的な内容を証明するための書類です。
障害年金を申請するためには障害認定日における診断書が必要となります、そのため障害認定日にかかっていた医師に作成依頼の申請をする必要があります。
・病歴・就労状況等申立書
「病歴・就労状況等申立書」とは障害についての具体的な状況を記載する書類です。申請する本人や家族が記載します。
診断書だけではわからない具体的な症状や日常生活や就労において、どのような困りごとがあるのかなどについて記載します。
・年金請求書
「年金請求書」は障害年金を申請するためのの書類です。市役所や年金事務所でもらうことができます。申請する年金の種類によって異なりますので、必ず「障害年金」を申請する旨を伝えるようにしましょう。
※申請するためにはこのほかにも年金手帳、預金通帳、戸籍謄本や住民票も必要になります。加算対象者がいる場合は、申請する際にさらに子の在学証明書や配偶者の所得証明書も必要となります。
障害年金の申請手続きを行ってから審査結果が出るまで約3ヶ月程度かかるといわれています。申請してから審査を経て、支給決定された方に「年金証書」が送られてきます。
年金証書が送られてから約2ヶ月ほどで初回の振り込みが行われます。申請からかなりの時間がかかることをあらかじめ考慮しておくといいでしょう。
障害年金の支払いは2ヶ月に1回、偶数月の原則15日に前2か月分が振り込まれます。
支給日は毎月ではなく隔月であり、また年額が一度の支給日で振り込まれるわけではないので注意が必要です。
障害年金は一度支給決定したらずっと支給が続く「永久認定」と、一定期間ごとに更新手続きをする必要のある「有期認定」があります。
永久認定となるのは外部障害などが多く、障害の程度が変わらないと認められた場合で、原則として障害等級も固定となり更新申請の必要はありません。
有期認定となるのは精神障害や内部障害などで障害の程度に変化があると認められた場合で、更新が来たら再度診断書を提出するなど申請を行い、新たに審査を受ける必要があります。更新申請の審査で障害等級に該当していいれば引き続き障害年金を受給することができます。
もし審査の結果で障害等級が該当しない場合は支給が停止されます。あくまで支給停止なので、再度診断書を提出するなど申請を行い、障害等級に該当していると認定された場合は再開されます。
障害年金を申請し受給が決まった場合の大きなメリットは経済的な負担が軽くなるということです。
病気やけがなどで働けなくなると生活に困ることが多くあるでしょう。
そういった際に定期的に決まった金額が受給できることは経済的にも精神的にも助けとなるでしょう。
それでは障害年金を申請すること自体にデメリットはあるのでしょうか?
自分から伝えない限り障害年金を申請したことや受給していることが他の人に知られたり、就職に不利になるということはありません。
申請手続きや制度の複雑さをデメリットと感じる方は多いようです。以下のような項目を踏まえて申請するか検討していくといいでしょう。
デメリットでも挙げたように制度や申請手続きが複雑なため、申請を検討する方は市区町村の障害福祉課などの窓口や、年金事務所へ行くと詳細な相談ができます。
また、電話などでも相談することができますのでまずは相談してみるといいでしょう。
その他にも「社会保険労務士(社労士)」に相談する手段もあります。
社労士とは法律(年金)の専門家で、障害年金に必要な書類の準備から申請手続きや、支給決定がされなかった場合の不服申し立てなど様々なサポートを受けることができます。
初回の相談は無料が多く、依頼することになったら着手金や障害年金が支給決定となった場合は報酬を支払うことが一般的です。
障害年金とはけがや病気などで収入がなくなり生活に困った際に助けになる制度です。申請は様々な手続きが必要になりますが、受給できるようになれば治療や日常生活への負担も軽くなります。
また、障害年金を受給しながら負荷をかけずに働いている方も多くいらっしゃいます。無理なく働いていくためにも大切な制度といえます。
障害がある中で働くには困難も生じます。就労でお困りの方は一度LITALICOワークスへご相談ください。
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監修者
社会保険労務士
川島 嘉子
社会保険労務士事務所に約7年間勤務。主に労務業務を行っていたが、5年前より障害年金の申請サポートを中心に行っている。
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