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お役立ち仕事コラム

生活保護とは?条件や金額・申請の流れ・相談先を解説

更新日:2024/06/20

生活保護とは、日本国憲法第25条の理念に基づき、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度です。

 

持っている能力や資産を活用してもなお、健康で文化的な最低限度の生活を続けることが困難であると認められた場合に適用されます。

 

生活保護について耳にすることは良くあるけど、内容について詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、今回は生活保護の申請条件や申請の流れや相談先について解説します。

生活保護とは

生活保護の目的は、経済的な困窮の程度に応じて必要な保護をおこない、その人の自立を支援することです。

 

運用時の基本原理や原則は、生活保護法に基づきます。

 

まずは、生活保護とはどのようなものなのか、仕組みや条件について解説します。

生活保護の仕組みとは

生活保護では、原則として世帯(一緒に暮らしている家族)を一つの単位として考えます。

 

世帯の「最低生活費」の金額と「世帯の収入」を比べて、最低生活費よりも収入が低い場合に不足額が支給される仕組みです。

 

ここでの最低生活費には、家賃や食費、医療費など、生活に必要なものが含まれます。

 

また、世帯の収入とは下記を差します。

  • 労働して得たお金
  • 親やきょうだい、親戚からの仕送り
  • ほかの法律によって支給されるお金
  • 資産を売って得たお金
  • 資産を貸して得たお金 など

仕事をして収入を得ている場合も、生活保護を申請することは可能です。

 

ただし、収入の合計額が最低生活費を上回る場合、生活保護の制度は利用できません。

生活保護の種類と内容について

生活保護には、下記8種類の扶助(援助のこと)があります。

  1. 生活扶助
  2. 住宅扶助
  3. 教育扶助
  4. 医療扶助
  5. 介護扶助
  6. 出産扶助
  7. 生業扶助
  8. 葬祭扶助

これらの扶助を、必要に応じて組み合わせた額が支給されます。

 

そのため、生活保護で支給される額は誰もが同じ金額ではありません。

 

また、扶助の種類によって、サービスが直接支給される「現物給付」と現金が支給される「金銭給付」のどちらにあてはまるのかが異なっています。

 

それぞれの種類と内容について、順番にご紹介します。

 

1.生活扶助

生活扶助は、食費や衣類、光熱費など日常生活の中で必要となるお金に対する扶助のことです。

 

「基準生活費」と「加算」の2つの項目があります。

 

「基準生活費」は世帯の人数や年齢、住居のある場所などによって定められている生活費の基準です。

 

また、世帯の需要に応じて増額される「加算」は下記の8つです。

  • 妊産婦加算
  • 母子加算
  • 障害者加算
  • 介護施設入所者加算
  • 在宅患者加算
  • 放射線障害者加算
  • 児童養育加算
  • 介護保険料加算

例えば、18歳以下の子どもがいる場合は「児童養育加算」の対象となるため、一人につき、定められた額が加算されます。

 

その他、各加算の詳細については、厚生労働省の資料をご覧ください。

2.住宅扶助

生活保護を受給する世帯が暮らす住居の費用が支給されます。

 

賃貸の場合は毎月の家賃、持ち家の場合は住宅の修理費などが該当します。

 

家賃は金銭給付となり、住んでいる地域によって上限が定められています。

 

3.教育扶助

小学生や中学生の子どもに対して、義務教育にかかる費用を支給します。

 

教材費や給食費、交通費などが金銭給付となります。

 

4.医療扶助

病気やケガにより、治療を必要とする場合に支給されます。

 

対象範囲の例としては、下記が挙げられます。

  • 診察
  • 薬剤、治療材料
  • 医学的処置、手術、治療ならびに施術
  • 入院 など

また、医療扶助は金銭給付ではなく現物給付となります。

 

5.介護扶助

介護保険サービスを利用する際に必要な費用を支給(現物給付)します。

 

生活保護の有無にかかわらず、65歳以上の人(第1号被保険者)と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)は、介護保険の被保険者です。

 

介護保険とは、介護が必要な方に、その費用を給付する保険制度です。

 

介護保険の被保険者の場合、自己負担分の1割が生活保護から給付されます。

 

また、被保険者以外である場合、介護にかかる費用は、介護扶助によって10割全額が賄われます。

6.出産扶助

出産に伴い必要な入院費や検査費、衛生材料費(ガーゼや包帯など)が支給されます。

 

生活保護受給中の方が妊娠して出産する場合に加えて、生活保護を受給する前に妊娠していた方が生活保護受給開始後に出産する場合も適用されます。

 

つまり、出産時期に生活保護を受給していれば、どなたでも出産扶助が適用されます。

 

また、もしも妊娠中に何かしらの症状が起こり、入院や治療が必要になった場合は、医療扶助の対象となります。

 

7.生業扶助

働くために必要な資金のうち、一部が支給されます。

 

例えば、技能習得のための授業料や教材費、高校に通うための費用、就職のためのスーツなどが挙げられます。

 

ただし、大学や専門学校の受験料や学費は対象となりません。

 

8.葬祭扶助

経済的な事情により、遺族が葬儀をおこなえないときには、葬祭料や読経料などが扶助されます。

 

また、遺族以外の人が葬儀を手配する場合も対象です。

 

基本的には、最低限の葬儀(遺体搬送や安置、火葬など)のための費用が金銭給付として支給されます。

生活保護の申請条件

生活保護は、対象となる方の「収入」が厚生労働省が定める「最低生活費」に満たないことが申請の条件になります。

 

生活保護を申請できる方の一例は下記の通りです。

  • ケガや病気により働きたくても働けない
  • 働いているが、給料が「最低生活費」より少ない
  • 生活が困窮しており、年金制度や国の融資制度が利用できない

「最低生活費」は世帯の人数や地域によって異なり、国によって定められている算出方法によって決まります。

 

また「収入」には最低限の生活に必要のない資産(持ち家や土地、車、2代目の携帯電話など)が含まれるため、資産を持っている場合は先に売却を求められる場合が多いです。

 

基本的には、資産を売ってもなお生活が難しいと判断された場合に生活保護の申請ができますが、申請者の状況によっては車や持ち家の所有が認められることもあります。

 

条件にあてはまるかどうかは申請者ごとに異なるため、詳細について知りたい方は、まずは窓口(お住まいの地域の福祉事務所の生活保護担当)へ問い合わせましょう。

生活保護の受給金額について

生活保護の受給金額の計算方法や受取方法について解説します。

生活保護の受給金額の計算方法は?

生活保護の受給金額

 

生活保護の受給金額の計算方法は下記の通りです。

  • 生活保護費=最低生活費₋世帯全体の収入

例えば、最低生活費が12万円の世帯に、4万円の収入がある場合は「12万円 – 4万円 = 8万円」が生活保護として支給されます。

 

最低生活費の額は、8種類の扶助(あてはまる項目のみ)の合計金額です。

 

また、最低生活費を計算する際に基準となる、生活保護基準は毎年改定されています。

生活保護費はどうやって受け取るの?

生活保護は、各自治体が定めた支給日に、銀行振込、または福祉事務所の窓口で受け取ります。

 

支給日は、月初(1日~5日)のいずれかに設定されている場合が多く見られます。

 

また、支給日が土日祝に重なった場合は、受け取れる日が前後します。

生活保護の申請手続きの流れ

生活保護の申請から受給までの流れは、下記の通りです。

  1. 生活保護の相談・申請
  2. 審査
  3. 生活保護が必要かどうかの決定
  4. 受給開始

申請してすぐにその場で支給を受けられるわけではないことを覚えておきましょう。

 

各段階ごとに、詳しく解説していきます。

1.生活保護の相談・申請

まずは、福祉事務所の窓口へ行き、生活保護の申請を考えている旨を伝えます。

 

生活保護の申請ができるのは、本人もしくは扶養義務者、同居している親族です。

 

相談の段階では、世帯の収入や資産の状況、ほかの制度で対応できないか、などの確認を受けます。

 

生活保護を申請する必要があると判断された場合、申請手続きをおこないます。

 

申請時には、本人確認書類のほか、状況に応じて、収入や資産状況を証明する書類の提出を求められることもあります。

2.審査

申請後、生活保護の受給可否を決めるための審査がおこなわれます。

  • 生活状況の確認(自宅訪問)
  • 働く能力の有無
  • 扶養調査
  • 預金残高など資産の調査
  • 借金に関する調査 など

主に上記の項目に関しての確認があると考えておきましょう。

 

※福祉事務所は、個人の資産や家族について、調べることができる権限を持っています。

4.生活保護が必要かどうかの決定

生活保護の申請後、基本的には14日以内に保護が必要かどうかが決定します。

 

結果は郵送もしくは電話で通知されます。

5.受給開始

生活保護の受給が決まったら、担当者から受給に関する説明を受けます。

 

また、生活保護受給中は、定期的に担当者が自宅を訪れ、相談に乗ったり、必要に応じて指導や援助をしたりします。

生活保護の相談・申請窓口は?

生活に困ったときに相談できる窓口をご紹介します。

福祉事務所

各市町村にある福祉事務所は生活保護を申請する窓口です。

 

また、申請だけでなく、生活についてケースワーカーに相談することもできます。

 

ケースワーカーとは、身体・精神・社会上などさまざまな理由により、生活が困窮している人の相談に乗り、支援をおこなう職種のことです。

 

「自分は生活保護の申請条件を満たすのか?」など、生活保護制度に関する不明点や気になる点がある場合は、遠慮なく質問しましょう。

生活困窮者自立支援制度の窓口

2015年からはじまった「生活困窮者自立支援制度」により、生活における困りごとを相談できる窓口が全国に設置されました。

 

相談内容の例としては、下記が挙げられます。

  • 住む場所がない(なくなりそう)
  • 社会との関わりに不安を感じている
  • 働きたいのに仕事が見つからない
  • 病気で働けない
  • 家族のことで悩みがある など

窓口では、相談内容に合わせて、一人ひとりに合った支援プランを作成してくれます。

 

生活保護の専用相談窓口ではありませんが、相談者の状況によっては、福祉事務所へ連絡をとってくれることもあります。

 

相談窓口の場所に関しては、厚生労働省が公表している資料をご覧ください。

法律に関する専門家

必要に応じて、法律に関する専門家の力を借りましょう。

 

例えば、日本弁護士連合会は、生活保護を受給できる条件を満たしながらも、障害などにより申請することが難しい方へ対して、弁護士費用を援助する支援をおこなっています。

 

また、日本司法支援センター(法テラス)では、経済的に余裕がない方がトラブルにあったときに、無料で法律相談を受けたり、弁護士費用の立替えをおこなったりしています。

民生委員

民生委員は非常勤の地方公務員で、地域の身近な相談相手として話を聞いたり、支援をしたりしています。

 

子育てや介護に関する悩みのほか、日々の生活に関する相談も受け付けています。

 

民生委員には守秘義務があるため、相談した方の秘密は守られます。

 

民生委員について詳しく知りたい場合は、お住まいのエリアの市町村へお問い合わせください。

民間の支援団体

生活に困っている方の支援をする民間の団体は全国各地に数多く存在しています。

 

なかには、一緒に生活保護の申請へ行ってくれる団体もあります。

 

ボランティアでおこなっているところもあれば、営利目的の団体もあり、数が多いため、依頼する場合は、信頼できるかどうか慎重に見極めましょう。

うつ病などで仕事にお悩みのある方へ

うつ病などより、仕事へのお悩みがある方は「就労移行支援」が活用できます。

 

就労移行支援では、精神疾患や障害のある方の就職をサポートをおこないます。

 

例えば「技能を習得するための研修」「面接対策」「就活時の書類作成のフォロー」「就労後の面談」のほか、事業所によっては、体調にあった働き方を考えたり、体調管理の方法を身につける研修などをおこなっているところもあります。

 

就労移行支援事業所の「LITALICOワークス」は、全国各地で就職の支援をしています。

 

相談や見学も受け付けているため、就職に関するお悩みがある方はお気軽にお問い合わせください。

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生活保護のまとめ

生活保護制度は、条件を満たす方は誰でも申請することができる制度です。

 

しかし「生活は苦しいけれど、自分に申請する資格があるのかわからない」「相談しても断られてしまうのでは?」などのお悩みを抱えている方も多いはずです。

 

そのような場合も、まずは一度、お近くの福祉事務所へ問い合わせてみるとよいでしょう。

 

また、生活や仕事に関するお悩みは、一人で抱え込まず、自立相談支援機関や民生委員などの活用を積極的にご検討ください。

更新日:2024/06/20 公開日:2022/04/20

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