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お役立ち仕事コラム

福祉的就労とは?一般就労との違いや福祉的就労に関する相談先を解説

更新日:2023/10/06

障害のある方や、精神の状態に不安のある方が働く際の選択肢のひとつとして「福祉的就労」というものがあります。

 

福祉的就労とは、「体調や心の状態に合わせて、福祉サービス事業所で支援サービスを受けながら就労する働き方のこと」です。

 

一般企業での就労に比べて、自身の障害の特性や症状などを考慮しながら柔軟に働くことができます。

 

とはいえ「一般就労とは何が違うの?」「福祉的就労をする場所は?」など、疑問点のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで、今回は福祉的就労と一般就労の違いや、福祉的就労の種類、希望する場合の相談先について順番に解説していきます。

福祉的就労とは

「福祉的就労」は、一般就労(企業などへ就職し、雇用契約を結んで働くこと)が難しい障害のある方が、障害福祉サービスの中で就労の機会を選択しながら働くことを意味する言葉です。

 

利用者は、自身の障害の症状や体調の状態に合わせて、福祉サービス事業所内で、サポートを受けながら働くことができます。

 

福祉的就労を希望する方は、障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業所や、地域活動支援センターなどと利用契約を結び、作業をおこないます。

 

※障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)は、障害のあるなしに関係なく、皆が地域社会で分け隔てなく生活することを目的とした法律です。

福祉的就労の対象者

福祉的就労の対象となる方は、利用する施設によって異なっています。

 

例えば、下記の例が挙げられます。

 

就労継続支援A型事業所

対象者:企業などに就労することが困難な障害のある人(原則18歳以上65歳未満)で、雇用契約に基づき、継続的に就労することができる人

 

就労継続支援B型事業所

対象者:企業などに就労することが困難な障害のある人で、就労の機会を通して、知識や能力の向上が見込まれる人

(就労経験があるものの、年齢や体力の面で一般企業での勤務が難しくなった・50歳に達している・障害基礎年金1級受給者 など)

 

地域活動支援センター

対象者:障害のある方(センターのある市区町村に住んでいる)

 

事業所ごとの特徴や契約形態、代表的な作業内容は後ほど解説していきます。

福祉的就労での平均工賃(賃金)

福祉的就労を希望する方が、就労継続支援A型事業所や就労継続支援B型事業所で作業をした場合、どのくらいの賃金(工賃)を得られるのか見ていきましょう。

 

厚生労働省の公式サイトには、令和2年(2020年)の平均工賃(賃金)が記載されています。

 

就労移行支援の違い

出典:厚生労働省

 

上記の表を見ると、令和2年(2020年)に就労継続支援A型事業所を利用していた方の平均賃金は月額79,625円、就労継続支援B型事業所を利用していた方の平均工賃は月額15,776円であることがわかります。

 

もちろん、上記は平均額であるため、人によって表の金額よりも高くなったり、低くなったりする可能性があります。

一般就労と福祉的就労の違い

企業や公的機関へ就職する「一般就労」と、福祉的就労の違いは働き手の位置付けです。

 

働き手の立場

一般就労:労働者

福祉的就労:労働者かつサービス利用者

 

仕事の内容・量

一般就労:職場によっては、作業量が多かったり、希望が通りにくいこともある

福祉的就労:事業所のサポートを受けながら作業を進められる、利用者の希望が通りやすい

 

まず、一般就労について解説した後、福祉的就労との具体的な違いをご紹介します。

一般就労とは?

会社と労働契約を結び、労働者として勤務する働き方は「一般就労」と呼ばれています。

 

基本的には、会社が決めた勤務時間に出勤をして、与えられた業務をおこないます。

 

また、基本的に、労働者が個人の判断で勤務時間や仕事内容を変更することはできません。

 

このように、一般就労では会社側が主体となり、労働者は定められた内容に従います。

福祉的就労の利点

福祉的就労で働く利点は大きくふたつあります。

 

それは「支援サービスを受けながら働ける点」と「仕事量や働く時間の調整がしやすい点」です。

 

項目ごとに、それぞれ解説していきます。

 

就労に向けた支援が受けられる

仕事から離れている期間が長いほど、働くことそのものに不安を抱くこともあるでしょう。

 

福祉的就労の場では「数時間にわたって作業をおこなうこと」や「人とのコミュニケーションに徐々に慣れること」ができるよう、施設側がサポートしてくれます。

 

つまり、働くために必要なスキルや知識を向上させつつ、収入を得ることが可能です。

 

仕事量や勤務時間の調整がしやすい

障害の種類や心身の状態によっては、長時間働くことが難しかったり、体調により安定的な勤務ができなかったりすることもあるはずです。

 

福祉的就労であれば、上記の場合も希望を出しやすく、自分のペースで作業できます。

 

そのため、福祉的就労は「ゆくゆくは一般就労を目指しているけれど、いきなり働くのは不安」という方のニーズも満たしてくれます。

福祉的就労の種類

障害者総合支援法に基づいた就労支援のサービスを受けながら作業できる場所は、主に「就労継続支援A型事業所」「就労継続支援B型事業所」「地域活動支援センター」の3つです。

 

就労継続支援A型事業所

雇用契約:原則あり

支払われる報酬:賃金

 

就労継続支援B型事業所

雇用契約:なし

支払われる報酬:工賃

 

地域活動支援センター

雇用契約:なし

支払われる報酬:工賃

 

上記からもわかる通り、違いは「雇用契約があるかないか」と支払われる報酬の種類です。

 

事業所ごとに特徴を見ていきましょう。

就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型事業所の特徴は、利用する方と事業所が雇用契約を結ぶ点です。

 

雇用契約とは「一方(利用者)が労働力を提供し、もう一方(事業所)はその働きに対して報酬を与えると約束するための契約」のことです。

 

労働基準法に準じて業務をおこなうため、基本的には最低賃金以上の賃金が支払われます。

 

実際の作業を通し、働くうえで必要な技能を得て、最終的には一般就労を目指します。

 

作業内容

就労継続支援A型事業所での仕事内容は、基本的に一般就労と大きな違いはありません。

 

しかし、短い時間からでも働きやすく、1日あたり4~8時間程度勤務します。

 

仕事内容の一例は下記の通りです。

  • 飲食店での調理・接客
  • ホテルの清掃
  • ネットオークションの出品代行
  • WEBデザイン
  • パソコンを使った事務仕事
  • 商品の梱包
  • 部品などの加工 など

接客や事務、清掃や軽作業など幅広い業務があります。

 

事前に自分の得意なことや興味のある分野を明確にしておくと、やってみたい作業が見つかりやすいかもしれません。

 

とはいえ、利用する事業所によっても仕事の内容は異なるため、利用を検討している方は事前の確認が必須です。

就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型事業所では、利用する方と事業所が雇用契約を結ばない点が特徴です。

 

そのため、就労継続支援A型事業所のように雇用契約を結んで働くことが難しいという方でも、障害や体調に合わせて柔軟に作業できます。

 

ただし、法律で定められている最低賃金額にはならないことが多く、作業に対して支払われるお金は「賃金」ではなく「工賃」と呼ばれます。

 

作業内容

就労継続支援B型事業所でおこなう作業の例としては下記が挙げられます。

  • 農作業
  • 部品などの加工
  • パンやお菓子の製造
  • パソコンでのデータ入力
  • 衣類のクリーニング
  • 手工業
  • 飲食店での調理 など

上記のような作業に携わりながら、就労に関する能力を養っていきます。

 

また、工賃は事業所により、作業により生産された商品(サービス)の量に応じて支払われる場合や、「1日通うごとに〇円」と決まった額がもらえる場合などがあります。

地域活動支援センター

地域活動センターとは、障害者総合支援法に基づき、創作的活動・生産活動・社会との交流の機会を提供している機関のことです。

 

ただし、地域活動センターの目的は「生産活動の場の提供」であり、就業ではないため、工賃が発生しない場合もあります。

 

そのため、利用する前に「工賃が出るかどうか」を確認しておきましょう。

 

人によっては、まず地域活動センターで作業をすることに慣れてから、就労継続支援A型(B型)事業所に通う方もいらっしゃいます。

 

また、地域活動センターだけでなく、就労継続支援A型(B型)事業所も含めてですが、利用する事業所によって、作業内容・現場の雰囲気が異なるため、見学や体験の制度がある場合は、活用することをおすすめします。

福祉的就労に関する相談先は?

福祉的就労に興味はあるものの「自分はどの事業所の対象なのか?」や「どのような作業が向いているのか?」わからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そのようなときに、相談できるのは福祉的就労の支援サービスを提供している事業者や、相談支援事業所、市区町村の福祉担当窓口です。

 

また、福祉的就労だけでなく一般就労(一般企業への就職)も合わせて検討している障害のある方は、就労移行支援事業所の利用もご検討ください。

 

就労移行支援事業所では、障害のある方の一般企業への就労をサポートしています。

 

就労移行支援事業所の「LITALICOワークス」では、各地で随時見学・相談の受付をしています。

 

「福祉的就労と一般就労のどちらが良いか迷っている」などを含め、障害による就労に関するお悩みがある場合は、お気軽にご連絡ください。

福祉的就労とは?のまとめ

福祉的就労の特徴は、事業所での作業を通して、自身の障害の特性や症状に合わせて無理なく働くヒントを得たり、周囲の人との関わり方を学べたりすることです。

 

勤務時間や作業量などの希望や意見などを事業所側へ伝えやすいため、まだ体調が万全ではない方や、一般企業への就労に不安を感じている方は、就労の選択肢のひとつとして考えてみると良いでしょう。

 

もしも、福祉的就労について不明点がある場合は、一度事業所などへ相談してみましょう。

更新日:2023/10/06 公開日:2022/06/07

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