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お役立ち仕事コラム

就労継続支援B型とは?B型事業所や仕事内容・工賃(給料)についても解説

更新日:2023/09/05

就労継続支援B型とは、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である方に対して、就労の機会や生産活動等の機会の提供、また、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練・支援を行う事業所及びサービスになります。

 

この記事では、「就労継続支援B型」を利用して、社会復帰を目指す方へ向けて以下の内容について解説します。

  • 就労継続支援B型の特徴
  • 作業内容、工賃(給料)・雇用形態の仕組み
  • 対象者の条件と利用方法・流れ・利用料金
  • 事業所の選び方のポイント

また、他の就労支援サービスとの違いにも触れながら解説していきます。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型とは、障害のある方が、一般企業に就職することに対して不安があったり、就職することが困難だったりする場合に、雇用契約を結ばずに生産活動などの就労訓練を行うことができる事業所及びサービスです。

 

障害者総合支援法という法律で定められた、国の就労支援サービスのひとつで、「就労の機会の提供」や「就労に必要な能力を育む」ことを目的としています。

事業所とは雇用契約は結ばない「非雇用型」と呼ばれる

就労継続支援には、A型とB型の2種類があります。

 

就労継続支援B型では雇用契約は結びません。
そのため、支払われる給料についても、正式には「賃金」と呼ばず「工賃」と呼びます。

 

何かしら作ったもの、作業したことに対する成果報酬として工賃が支払われます。

 

一方、就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることは困難ではあるが、雇用契約に基づく就労は可能な方が、原則、雇用契約を結んで生産活動などの就労訓練を行うことができる事業所及びサービスです。

※就労継続支援A型でも雇用契約を結ばずに利用できるケースもあります。

自分のペースで働くことができる

就労継続支援B型では、下記のような利点もあります。

 

それは、就労継続支援B型事業所(※)の場合、自分の障害や症状にあわせて、無理をしない範囲で比較的簡単な軽作業を少しずつ自分のペースでこなしていくことができる点です。

 

(※)就労継続支援B型事業所とは、就労継続支援B型のサービスを受けられる(働ける)場所のことです。

 

自分の出来る範囲から始めることができるなど、サポートを受けられることもあり、現在、30万人以上の方が就労継続支援B型事業所を利用しています。

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就労継続支援B型の作業内容・工賃(給料)は?

就労継続支援B型事業所では、どのような作業を行うのか、どのぐらいの工賃(給料)がもらえるのか、具体的に確認していきましょう。

就労継続支援B型の仕事内容

就労継続支援B型事業所での作業内容は、事業所ごとで大きく異なります。

 

主な作業内容の一例をあげると、下記の通りです。

  • 衣類のクリーニング
  • パンやお菓子などの製造
  • 農作業
  • ミシン作業や手工芸
  • 清掃作業
  • 袋詰めや値札付け
  • 簡単なパソコン入力作業
  • 製品の梱包作業、発送作業

就労継続支援B型事業所での目的は、工賃をもらうことだけでなく、サポートを受けながら、仕事で必要な能力・スキルを身につけていく就労訓練の側面もあります。

勤務時間や日数について

事業所によってさまざまな条件があるので、少ない日数・時間での利用を検討している方は、事前に事業所に相談することをおすすめします。

就労継続支援B型の工賃(給料)

令和元年度における就労継続支援A型とB型の平均工賃は下記の通りです。

就労継続支援A型は原則、雇用契約に基づく就労になりますが、就労継続支援B型は原則、雇用契約は結びません。

<令和元年度の平均工賃>

  • 就労継続支援A型事業所:78,975円(月額)/887円(時間額)
  • 就労継続支援B型事業所:16,369円(月額)/223円(時間額)

就労継続支援B型の事業所利用料は?

事業所を利用するにあたり、利用料金がかかります。
利用料金については、原則1割が利用者負担となります。

 

ただし、前年度の世帯収入によって、利用料の自己負担額の上限が定められており、条件によって、「0円」、「9,300円」、「37,200円」のいずれかに区分されます。

就労継続支援B型の対象者はどんな人?

就労継続支援B型は、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害も含む)や難病などがあり、主治医から事業所の利用の了解がされた方のうち、指定された要件に当てはまる方が対象者となっています。

就労継続支援B型事業所を利用できる対象者の要件

就労継続支援B型事業所を利用できる対象者は、下記のいずれかに当てはまる方です。

  • 就労経験があり、年齢や体力の面で、一般企業に雇用されることが困難になった方
  • 50歳以上の方
  • 障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面の課題が把握されていてが行われていて、かつ就労継続支援B型事業所を利用する方が適切だと判断された方

 

就労継続支援B型は、たとえば、特別支援学校卒業直後に利用することはできません。

 

上記要件に記したように、一度就労経験をするか、就労移行支援事業所を利用するかなど、条件が定められています。

 

ただし、就労継続支援B型事業所の利用については、臨機応変に対応される部分もあり、お住まいの自治体によっても、若干要件が異なることがあります。

 

まずは「就労継続支援B型事業所の利用が自分に向いているのか?」主治医に相談するところから始め、具体的な要件については、直接自治体の窓口(障害福祉課など)に相談しましょう。

就労継続支援B型の利用に「障害者手帳」は必須ではない

障害者手帳を取得していない場合でも、就労継続支援B型は利用することができます。

 

ただし、先程も説明したように、医師の診断と対象者の要件を満たす必要があります。

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就労継続支援B型の利用期間はどのくらい?期限は?

就労継続支援B型には利用期間について、上限は定められていません。ゆっくりと時間をかけながら、就労経験を積み、トレーニングを重ねることができます。

 

別の就労支援サービス「就労移行支援」を利用する場合は、基本的に「2年」という利用期限が設けられています。そのため、2年間就労移行支援を利用したものの、一般就労に結び付かなかった場合に、就労継続支援B型事業所は利用期限がない分、引き続いて就労トレーニングを受ける、といった使い方もできるようになっています。

就労継続支援A型・B型・就労移行支援の違いは何?

就労継続支援B型とよく比較される、他の就労支援サービスについても解説します。
「就労継続支援A型」と「就労移行支援」の2つは、B型の利用者と決して無関係なものではありません。

 

将来的に、就労継続支援B型事業所で就労訓練を受けて、一般就労を目指す次のステップとして、これらの就労支援サービスに移行する方もいるからです。

3つの就労支援サービスを比較する主なポイントは下記の通りです。

  • 雇用形態の有無
  • 利用料金/給料
  • 対象年齢
  • 利用期限の制限

それぞれ確認してみましょう。

就労継続支援B型

まずは、「就労継続支援B型」の特徴を確認します。

  • 雇用形態:なし
  • 利用料:支払う場合もあり ※所得(世帯収入)による
  • 賃金:工賃が支払われる
  • 平均工賃:16,369円/月額 223円/時間額 ※令和元年度実績
  • 対象年齢:年齢制限なし
  • 利用期間:規定なし

就労継続支援A型

続いて「就労継続支援A型」を見てみます。

  • 雇用形態:あり(※ない場合もある)
  • 利用料:支払う場合もあり ※所得(世帯収入)による
  • 賃金:給料が支払われる
  • 平均賃金:78,975円/月額 887円/時間額 ※令和元年度実績
  • 対象年齢:原則65歳未満
  • 利用期間:規定なし

就労継続支援A型事業所

 

大きく違う点は、雇用契約を結んだうえで働いていることです。

 

また、利用期間に制限はないものの、年齢制限があったり、平均賃金はB型よりも高いことがポイントとしてあげられます。

就労移行支援

就労移行支援は、就労継続支援A型・B型とは、目的と支援内容が異なります。

 

就労継続支援A型・B型の利用者は、その事業所のなかで働くことを目的にしているのに対して、就労移行支援は、事業所で就労訓練を受けながら、「一般企業への就職」を目指すところです。

 

また、「職場探し」「職場への定着」のサポートも行っています。

  • 雇用形態:なし
  • 利用料:支払う場合もあり ※所得(世帯収入)による
  • 賃金:なし
  • 平均賃金:-
  • 対象年齢:原則65歳未満
  • 利用期間:2年 ※延長あり

就労移行支援

 

就労移行支援には、年齢や利用期間にも制限がかけられています。

 

また、一般企業で働くためのトレーニングやサポートが目的なため、原則、工賃がない場合が多いです。(事業所によっては、工賃業務を実施して工賃を受け取る場合もあります。)

 

あくまでも就労に向けた訓練という位置づけです。

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就労継続支援B型の利用方法や利用料金は?

就労継続支援B型の利用方法と利用料金について解説します。

就労継続支援B型の利用方法とは?

就労継続支援B型を利用するときの一連の流れは、下記の通りです。

 

<就労継続支援B型の利用方法>

  • 主治医に相談し、利用の許可をもらう
  • 希望する事業所を探す
  • 市区町村の障害福祉窓口で利用申請を行う
  • サービス等利用計画書を作成し、提出する
  • 受給者証(障害福祉サービス等利用受給者証)を発行する
  • 事業所と契約手続きを行い、通所を開始する

1.主治医に相談し、利用の許可をもらう

精神科や心療内科などに通院している方は、まずは主治医に就労継続支援B型を利用したい旨を伝え、相談するようにしましょう。

 

まずは、以下の点を主治医に判断してもらう必要があります。

  • 就労継続支援B型のサービスを利用する必要性があるか?
  • 障害や疾患の状態をみて、事業所で作業できるか?

2.希望する事業所を探す

主治医から事業所利用の許可が出た後は、実際に通いたい事業所を探していきましょう。

 

ネットを使って自力で調べることも出来ますが、ご自身の住む市区町村の障害福祉窓口にて紹介してもらうことも可能です。

 

気になる事業所を見つけたときは、問い合わせをして、事前に見学や体験をすることをおすすめします。

3.市区町村の障害福祉窓口で利用申請を行う

利用したい事業所が見つかり、実際に通所することが決定したら、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にて、就労継続支援B型の利用申請を行います。

 

事業所との話し合いだけで、働き始められる訳ではないので注意が必要です。

 

窓口で必要な手続きを行うと、現在の状況などについての聞き取り調査があります。

4.サービス等利用計画書を作成・提出する

国の障害福祉サービスを利用するためには、「サービス等利用計画書」を提出する必要があります。

 

サービス等利用計画書とは、以下の点等をまとめた計画書になります。

  • 障害福祉サービスを利用するにあたって、どのような援助を希望するのか?
  • 解決すべき課題は何か?
  • そのために必要な援助方針や支援計画はどうするか? など

この計画書は、家族・自分で作成することもできますが、難しい場合は、特定相談支援事業者に作成を依頼する事もできます。

 

なお、依頼といっても、費用はかかりません。

 

サービス等利用計画書の作成は地域により、特定相談支援事業者が作成する必要があったりと、指定されている場合がありますので、作成前に事前に確認しておくようにしましょう。

5.受給者証(障害福祉サービス利用受給者証)を発行する

必要書類を提出し、無事に市区町村の認定が下りれば、「障害福祉サービス利用受給証」が発行されます。

 

この受給証は、就労継続支援B型も含めて、さまざまな福祉サービスを利用するのに必要な証明書となっています。

 

ちなみに受給者証には、有効期限があります。
継続してサービスの利用を希望する場合は、期限が切れる前に更新手続きが必要になります。

 

更新手続きは、1ヶ月ほどかかるので、なるべく早めに余裕をもって手続きを行うようにしましょう。

6.事業所と契約手続きを行い、通所を開始する

受給者証を受け取り後、就労継続支援B型事業所で契約の手続きを進めていきます。

 

契約完了後、通所開始することができます。
事業所の見学や体験は、受給者証の発行前からでも可能です。

就労継続支援B型の利用料金について

就労継続支援B型の利用料金は、厚生労働省によって定められています。

 

利用料金は、利用者の世帯年収や事業所の利用日数によっても変わってきますが、全額負担ではありません。

 

市区町村の補助金で9割負担してくれるので、利用者は1割負担で通所できるようになっています。

 

また、1割負担の部分についても、人によっては、支払う必要がない方もいます。

 

利用者の自己負担額には、上限が設けられ、前年度の所得(世帯収入)によって4区分に分けられています。

 

障害福祉サービスの利用料金について

 

利用サービスの内容・回数などには関わらず、上限額を超えて利用料金を支払う必要はありません。

 

具体的な利用料金やより細かな条件は、各自治体によって若干変わってきます。
詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談・確認してみましょう。

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就労継続支援B型事業所の選び方は?

最後に、就労継続支援B型事業所の選び方についてご紹介します。数ある事業所のなかから、出来る限り自分にあった事業所を選ぶことが大切です。

 

就労継続支援B型事業所を選ぶときにチェックすべきポイントを5つご紹介します。

1.作業内容が自分にあっているか?無理せず続けられるか?

まず最初にチェックすべきは、作業内容です。

 

作業内容は、事業所によって、さまざまな作業内容があります。

 

どんな作業内容が自分にあっているのか、無理せずに続けられる内容はどのようなものか、じっくり考えましょう。

 

また、事業所に応募する前に見学、できれば数日体験させてもらい、実際に自分の肌で感じてから判断できれば、ミスマッチを減らすことができるでしょう。

2.事業所の雰囲気は自分にあっているか?

作業内容も大切ですが、それと同じくらい重要なのが、事業所の雰囲気です。

 

雰囲気が良い・悪いというよりは「事業所の雰囲気が自分にあっているか?」という基準で判断すると良いでしょう。

 

自分以外の利用者の様子や、サポートしてくれるスタッフの方の雰囲気、事業所内の雰囲気や環境など、ストレスを感じずに働き続けられそうかなど、見学・体験をする時に確認すると良いでしょう。

3.可能な限り、自身の体調にあった働き方が選べるか?

勤務時間や日数について、利用者の方の体調や症状にあわせて臨機応変に調整することができることが、就労継続支援B型事業所の特徴です。

 

事業所によって、どこまで対応してくれるのか、最低限求められる基準はどこまでなのかなどが異なってくるので、事前に確認しておくことが大切です。

4.工賃(給料)の金額も確認しましょう

事業所や地域によって、工賃の差は違うので事前に確認するようにしましょう。

 

金額について高いのか低いのかよく分からないという方は、就労継続支援B型事業所の平均工賃等と比較してみると良いでしょう。

 

<令和元年度の平均工賃>

  • 就労継続支援B型事業所:16,369円(月額)/223円(時間額)

5.事業所までのアクセスは?

最後に、事業所までのアクセスも意外と大切なポイントです。
毎週通うことになるので、あまり遠すぎる事業所だと、行き帰りの負担が大きくなってしまいます。

 

本人の体力的、時間的な問題ももちろんですが、交通費などの金銭面についても確認が必要です。

 

往復にいくらかかるのか?交通費の支給があるのか?支給があったとしたら上限はいくらか?など必ず事前に確認しておきましょう。

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就労継続支援B型のまとめ

就労継続支援B型をはじめ、障害のある方の就労を支援するサービスには、さまざまな種類があります。

 

国としても、より多くの方が、自分のできることにあわせた就労機会を手に出来るように、毎年さまざまな施策を講じています。

 

就労継続支援A型や就労移行支援など他の就労支援サービスについても情報を集め、自分に一番あったサービスは何なのか、調べてみることをおすすめします。

 

近い将来、新しく仕事を始めたいと思っている方、一般就労を目指して、まずは就労継続支援B型で就労経験を積んでいきたいと考えている方は、市区町村の障害福祉窓口に相談したり、気になる事業所があれば直接問い合わせて、見学や体験をしてみてはいかがでしょうか。

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障害のある方の就職をサポートする就労移行支援「LITALICOワークス」

 

就労移行支援は一般企業に就職を希望する方々へ、働くためのさまざまなサポートを行う福祉サービスです。

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万3千人以上の方の就職をサポートしてきました。

 

障害のある方が自分らしく働くために、ストレスコントロール・PCプログラム・企業インターン・面接練習など一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。

 

「働くことに悩んでいる」「体調が不安定で働けるかわからない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

 

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参考文献・URL

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更新日:2023/09/05 公開日:2021/12/03
  • 監修者

    社会保険労務士 行政書士

    高橋 悠

    行政書士事務所にて約8年間、介護・障害福祉サービス事業所の立ち上げ・運営支援に携わった後、2016年10月に独立開業。顧問先のうち7割以上は介護・障害福祉サービス事業所介護・障害福祉サービス事業所であり、別会社「合同会社サニープレイス」にて小規模保育所B型及び企業主導型保育所を経営している。

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