人がいたから、 自分と向き合えた
プロフィール
- Eさん
- 年代 : 30代
- 就職先企業 : 株式会社サイバーエージェントウィル
- 診断名 : 広汎性発達障害
困りごと
- マルチタスクが苦手
- 優先順位付けが苦手
もしかして、発達障害?
現在は、サイバーエージェントグループの特例子会社サイバーエージェントウィルで、モニタリングやリサーチ業務を担当しています。グループ会社の業界情報やユーザーの声を調査するのが主な仕事です。1つのことを深く調べることが得意なので今の仕事は適職だと感じています。「これは自分に向いている」「これは苦手」と言えるようになるには、結構時間がかかりました。
LITALICOワークスに通う前、就労経験があります。
新卒で入社した会社は民間で図書館を運営している会社でした。図書館はいつも人が混み合っていました。お客さまの対応、データ入力など複数同時進行でやらなきゃいけない業務が多く、いつもミスを繰り返していました。上司からのプレッシャーもあり、半年で退職しました。当時はとても焦っていて、早く次を見つけて働かなくちゃということばかり考えていました。
すぐに決まった次の会社は、食品会社の物流業務です。前職で苦手と感じたマルチタスクとスピード対応に慣れようとチャレンジするも、同様のミスが続き退職に。結果、1年間で2社も退職してしまうことになりました。
学生時代の友人は普通に働いているのに、自分は2社も退職したという「現実」を受け入れる事ができなかったです。社会に取り残されたような感覚を当時は持っていました。
2社目を辞めてから半年ほど経った頃、発達障害と診断されました。診断を受ける前に「なぜ毎回同じミスをするのだろう?」その理由が分からずインターネットで調べたところ、ADHDというキーワードが出てきました。
働く上で「苦手なこと」「できないこと」怒られる要因が発達障害の特性にことごとく該当していたので驚きました。その頃、テレビで就労移行支援という存在を知りインターネットで調べたことがきっかけでLITALICOワークスを知りました。
正直、もう就職で失敗したくないと思っていたし、今度働く時は自分のできること・できないことを前もって伝え働きやすくしたいと考えていたので、LITALICOワークスに興味を持ちました。しかし発達障害の特性には納得できても、自分自身が障害者だと認めることに抵抗がありました。
家族の「前向きな挑戦は応援する。もう失うものはないしプライドは捨ててみたら?」という一言と、LITALICOワークスのスタッフの「LITALICOワークスは挑戦と失敗ができる場所です」という前向きな言葉で利用を決めました。
大学生活よりも 濃い2年間
LITALICOワークスで過ごした2年間は、大学生活の4年間よりも濃いです。利用初日に大遅刻したことも、就活ステージで周りの人が内定決まるのを見て焦ったことも、今となっては笑い話です。
障害のことを話せる人がいなかったのですが、LITALICOワークスでは互いの障害のことを普通に話せることがうれしかったです。利用者同士で話しているうちに喫茶店で12時間も語り合ったこともありました。ここで一生付き合える友だちもできましたね。
計画を立ててイベントを実行することが好きなので、LITALICOワークス利用中に、クリスマス会やOB・OG交流会など様々なイベント企画をしました。
人手が欲しい時、利用者に向けて依頼をするも、指示内容があいまいで分かりづらいと指摘され、その時はじめて自分の指示が抽象的であることに気づき、依頼の仕方を学ぶことができました。利用者やスタッフとの交流を深めるにつれ、自分の特性がよりはっきりと見えてきます。LITALICOワークスは、自分自身の障害を理解してもらえる安心感があります。人からもらったアドバイスを素直に受け止め、自分の障害と向き合えるようになる場所です。
また、プライベートでは「発達障害当事者団体」を立ち上げました。当時の自分が知りたかった発達障害のことをもっと楽に知り、発信できる場所をつくりたかったからです。Web上で当事者の方にインタビューをしたりコラムを書いたりしていました。
LITALICOワークスに通いながらそんなことしていいのかと悩みましたが、事業所のスタッフが「自分の好きなことを一生懸命やったらいい」と応援してくれました。おかげで悔いなくやりたいことができました。
自分の得意を活かせる仕事
自分が調査した情報が本社やグループ会社への報告で新たなサービスや製品開発に役立っていることは大変やりがいを感じています。
働いている今でも、課題である優先順位の付け方を本などから学び、業務に活かせた時や新たな発見を見つけられたときは楽しいですし、自分の得意なことで会社に貢献できるのはとても嬉しいです。
LITALICOワークスでイベント企画をしていたことから、人と関わることは割と好きな方です。将来的には、この会社へ来られる方へ業務レクチャーなどを通じて会社に定着できるようサポートする人材になりたいと思っています。メンタルヘルス・マネジメント3種の資格を昨年取得したので、次は2種の取得に挑戦したいです。
将来の大きな目標は「多くの障害者が堂々と生活できる社会」 を実現することです。挑戦も失敗もできてお互いの特性の話もできる。そういうことがどこでも、誰とでもできたらいいなと思います。子育てやペットの話をするみたいに、合コンや飲み会の場でも障害や特性の話ができるような社会が理想です。
※掲載内容(所属や役割、診断名など)は
インタビュー当時のものです。
企業からのコメント
株式会社サイバーエージェントウィル 取締役 星野 様
スタッフからのコメント