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お役立ち仕事コラム

強迫性障害とは|原因と治療方法、日常での対処法などを解説します

更新日:2024/06/29
  • 日常生活で、何事も必要以上に心配してしまう
  • 戸締りを何度も何度も確認してしまう
  • 感染症が気になって、10分以上手洗いを続けてしまう
  • 繰り返し確認しすぎて、待ち合わせや仕事の納期に遅れてしまうことがある
  • やりすぎているという自覚はあるが、どうしても止めることができない

 

この記事は、上記のような不安や悩みを抱えている方に向けた内容、「強迫性障害(強迫症)」について解説しています。

 

  • 強迫性障害(強迫症)の症状・原因について
  • 強迫性障害(強迫症)は治療することができるのか?
  • 病院に行った方がいいのか?
  • 病院に行った場合、どのような治療をおこなうのか?

 

このような内容を「強迫性障害(強迫症)」という言葉を初めて調べる方にも分かりやすいようにまとめていますので、興味・関心のある方はぜひ最後までご覧ください。

強迫性障害(強迫症)とは?

「強迫性障害(強迫症)」とは、自分の意思とは関係なく、ある考えやイメージが頭に浮かんで離れなくなり(強迫観念)、そこで生まれた不安を払拭するために同じ行動を何度も繰り返すこと(強迫行為)で日常生活に支障が出てしまう不安障害のひとつです。

※強迫性障害は現在、「強迫症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「強迫性障害」といわれることが多くあるため、ここでは「強迫性障害(強迫症)」と表記します。

強迫性障害(強迫症)は「誰もが日常的にやっていること」の延長線上

キレイに手を洗ったつもりでも汚れが気になってしまったり、家を出てから「戸締まりをしたか?」と何度も不安になったりする経験は、誰しも一度はあることだと思います。

 

強迫性障害(強迫症)は、誰もが日常的におこなうこと(例えば、玄関の戸締まりの確認や帰宅後の手洗いなど)の延長線上にあります。

 

やっていること自体は当たり前のことなので「自分は人よりも少し神経質なだけ」なのか?「もしかしたらちょっと度が過ぎている」のか?という自分では判断することが難しいという側面もあります。

 

もしも、その行為や不安によって日常生活や仕事に支障が出ていたり、大きなストレスになっている場合は、できるだけ早めに医師による診察を受けることをおすすめします。

強迫性障害(強迫症)の原因

強迫性障害(強迫症)が発症する原因は、まだはっきりと解明されていません。

 

性格傾向や育ってきた環境、抱えているストレスや感染症など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

 

また、「なぜ強迫性障害(強迫症)の症状が続くのか」「強迫性障害(強迫症)の症状が悪化する原因」など、最新の研究で少しずつ解明が進んできている部分もあります。

強迫性障害(強迫症)の症状

前の章でも少し触れましたが、強迫性障害(強迫症)の症状は「強迫観念」と「強迫行為」の2つに分かれます。

強迫観念とは

どうしても頭から離れない考えやイメージのことで、たとえそのイメージや内容が不合理(理に合っていないこと)であると分かっていても頭から追い払うことができません。

強迫行為とは

強迫観念による不安を打ち消すためにおこなう行為のことです。自分でも「さすがにやりすぎだ」「これ以上は無意味だ」と自覚していても止めることができません。

 

それでは、強迫観念と強迫行為の具体的な症状を確認していきましょう。

強迫観念・強迫行為の具体的症状

強迫性障害(強迫症)の強迫観念と強迫行為の代表的な症状は、下記の通りです。

 

不潔恐怖と洗浄

汚れ・細菌による感染を恐れ、必要以上に手を洗う、入浴や洗濯、掃除を繰り返してしまいます。

また、不特定多数の人が触るドアノブや手すりやエレベーターのボタンなど、不潔だと感じるものを恐れて、触れることができません。

 

加害恐怖

誰かに危害を加えたかもしれないという不安が頭から離れず、周囲の人に確認したり、テレビや新聞の報道を確認します。

また、運転中や歩行中に人とすれ違う時、「ぶつかっていないか・あたっていないか」を確認するために、何度も振り向いてしまうことがあります。

 

確認行為

自宅の鍵の閉め忘れ、電化製品の電源の消し忘れ、ガス栓の締め忘れなどが不安で、何度も必要以上に確認してしまいます。

 

儀式行為

自分で決めた手順で物事を進めないと、恐ろしいことが起きるのではないかという不安から、いつも同じ手順で行動しようとすることがあります。

もし途中で手順を間違えると、はじめからやり直そうとすることで、一つの物事を終えることに時間がかかる場合があります。

具体例としては、靴を履く順番や、ご飯を食べる順番などがあります。

 

数字へのこだわり

不吉と感じる数字や幸運とされる数字に、過剰なまでにこだわりを見せることがあります。

 

物の配置・対称性などへのこだわり

物の配置や対称性に一定のこだわりを持っており、必ずその通りになっていないと不安を感じてしまいます。

強迫性障害(強迫症)の診断基準

この章では、強迫性障害(強迫症)の診断基準についてお伝えします。

 

アメリカ精神医学会が出版した国際的な診断基準「DMS-5」をもとに解説します。

 

  1. 「強迫観念」または「強迫行為」のどちらか、もしくはその両方が存在する
  2. 「強迫観念」または「強迫行為」が時間を浪費させる(1日1時間以上)または臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的機能に障害を与えている
  3. ほかの不安症・うつ病・統合失調症など、ほかの精神疾患ではうまく説明できない

 

上記のような内容が診断基準としてあげられています。

「強迫性障害(強迫症)かも?」と思ったら

強迫性障害(強迫症)は、早期発見、早期治療が大切です。

 

症状について自己判断せず、「強迫性障害(強迫症)かも?」と思った場合や、少しでも不安がある場合は、専門の医師による診察を受けるようにしましょう。

 

強迫性障害(強迫症)の診察・治療は主に精神科やメンタルクリニックでおこないます。

 

初めての診察で不安な方は、あらかじめ電話やメールなどで問い合わせておくと安心です。

強迫性障害(強迫症)の治療方法

強迫性障害(強迫症)の代表的な治療方法としては、次の2つの治療方法を組み合わせることがよいとされています。

 

  • 認知行動療法
  • 薬物治療

 

それぞれ、詳しくみていきましょう。

認知行動療法

認知行動療法は、心理学を用いた治療法です。

 

日常生活の中で生じる、さまざまな問題に対してどのように考え、行動するのか、または感情や身体がどのような反応をするのか把握し、その対処法を考え、柔軟に行動するよう働きかける治療法です。

 

なかでも、強迫性障害(強迫症)の治療方法としてよく使われるのが、「曝露反応妨害(ばくろはんのうぼうがい)」という治療方法です。

 

強迫観念による不安が原因で、やらずにはいられなかった強迫行為を減らしていくという行動療法です。

 

一例をあげると下記の通りです。

  • ドアノブなど、汚いと思っているものを触っても手を洗わないようにする
  • 外出するとき、鍵をかけたか不安になっても戻らないようにする など

 

最初は強い不安を覚えるかもしれませんが、このような取り組みを続けていくことで、「強迫行為をしなくても大丈夫だ」と理解し、徐々に不安が下がることで次第に強迫行為をしなくなる方向に向かいます。

薬物治療

強迫性障害(強迫症)の薬物療法では主に「抗うつ薬」が用いられます。

 

抗うつ薬は脳内のセロトニン(神経伝達物質)の量を調節する効果があり、うつ病などの治療にも用いられます。

 

早期治療や副作用の点から、薬物治療は自己判断で勝手にやめたり、量を増減させることは必ず避けましょう。

 

必ず医師と相談しながら服薬量を調整していくようにしましょう。

治療の第一歩は、正しい診断から

強迫性障害(強迫症)は、症状の程度も現れ方も人によって、さまざまです。

 

そのため、先ほど紹介した治療方法も、すべての人に最適な答えがある訳ではなく、本人の症状や状態、併発している疾患なども考慮しながら、診断・治療方法を考えていくことになります。

 

かかりつけの医師と相談しながら、焦らずに時間をかけて丁寧に治療をおこなうようにしましょう。

強迫性障害(強迫症)のある方が日常でできる工夫や対処法

ここでは、強迫性障害(強迫症)のある方が日常でできる工夫や対処法をご紹介します。

食事や睡眠など心身共に健康な状態をキープする

食事や睡眠など、生活のリズムを整え、身も心も正常な状態を保つことは、不安や恐怖に対する心の抵抗力を維持することにつながります。バランスの取れた食事、規則正しい生活、十分な睡眠を意識的にとるようにしましょう。また主治医の指示通り、通院・服薬を続けることも大切になります。

環境調整をおこなう

環境調整をおこなうことで、自分が安心して行動できることにつながる場合があります。例えば、何度も確認してしまう行為については「Todoリストを作って、やったかどうかをチェックする」「ガスを止めたかどうかを確認するために写真をとる」といったように確認を見える化することで不安を少しでも払拭させます。

周囲へ理解・協力を得る

自分が不安に感じる要素を払拭するために、周囲へ理解・協力を得るのも手段のひとつです。例えば「鍵を閉めたかどうか」の不安を感じる場合、「周囲へ鍵の管理をお願いし、自分は確認しないようにする」「ひとりで確認するのではなく、ふたりで確認する」などがあります。

強迫性障害(強迫症)のある方が仕事を続けるうえで大切なこと

最後に、強迫性障害(強迫症)のある方が仕事を続けるうえで大切にしてほしいことを、いくつか紹介します。

 

生活リズムや環境の調整をおこなうなどの工夫をすることで、症状とうまく付き合いながら働き続けることは可能です。

自分のことを知る

症状とうまく付き合うために、自分の症状が出やすいときはどのようなときか、そのときの対処法を知ることが第一歩になるでしょう。

 

●自分の体調不良やストレスに気づくためのサインを知る
(例)
・確認する回数の基準を決め、回数基準を越えたときがサイン
・毎日、手帳に確認回数を記入し、体調変化を把握する など

 

●サインを越えたときの対処法を考える
(例)
・病院に行って主治医へ相談する
・業務の調整をしてもらう
・周りの人へ相談する など

 

自分のことを知ることが難しい場合、専門機関の支援を受けることを検討するといいでしょう。専門機関の支援については後述します。

合理的配慮を得る

合理的配慮とは「お互いが平等・公正に支えあい、共に活躍するための調整をする」という考え方をもとに、障害のある方が働きやすくなるために事業主(企業)が必要なサポートや配慮を検討・実施することです。

 

強迫性障害(強迫症)のある方の合理的配慮の一部をご紹介します。

  • 症状が強く出そうな業務をなるべく避ける
    (例)封入作業だと何度も確認し体調がくずれやすいため、電話応対などを中心とした業務にしてもらう など
  • 余裕をもったスケジュールを設定してもらう
    (例)初めておこなう作業は時間がかかる傾向があるため、期日を長めにしてもらう など
  • 自分が確認したものをほかの人に確認してもらう(タブルチェック)

合理的配慮の内容は、人によって異なります。いずれも、自分のことを知ったうえでどのように配慮があると自分が働きやすくなるかを整理することが大切になります。

「見える化」で頭の中を整理する

仕事を進めていくうえで、自身の業務量を把握したり、先々のスケジュールや締め切りを整理するために、タスクやスケジュールを書き出し「見える化」することは非常に大切です。

 

やるべきことを可視化することで、頭の中の情報や記憶が整理でき、集中力が増し、先々への安心感・不安を払拭することにも繋がります。

休職・退職も、選択肢のひとつ

強迫性障害(強迫症)の症状により、日常生活や仕事で困難やつらさを感じている場合は、休職なども選択肢に入れて検討することも大切です。休職や退職を検討する際は、どの程度療養期間が必要かなど、今後のスケジュールについて主治医に相談してみましょう。休職や退職は、自己判断せず、医師に相談したうえで、その内容を会社に報告・相談するとよいでしょう。

 

強迫性障害(強迫症)で休職・退職する場合に利用できる公的な支援制度は?

  • 自立支援医療制度(精神通院医療制度)
  • 障害者手帳
  • 障害年金
  • 生活保護
  • 傷病手当金

 

それぞれ条件を満たすことで、さまざまな経済的支援を受けることができるので、気になる方は各種相談窓口にて詳しい条件・支援内容について確認してみましょう。

就職や職場復帰の際は専門機関の支援の利用を検討する

強迫性障害(強迫症)のある方が就職や職場復帰を考える際は、専門機関の支援制度を検討してみるのも一つの手です。

 

支援を受けることで、自分ひとりで行動するよりもスムーズに、より多くの選択肢から最適な職場を探したり、復帰することができるでしょう。

 

ハローワークを利用する

就職支援をおこなう機関の代表例として、ハローワークがあります。

 

ハローワークには、「専門援助部門」という障害や疾患のある方の就労を支援する専用の窓口があります。

 

就職に関する相談やカウンセリングをおこなってくれる支援のほかにも、障害や疾患のある人を対象とした求人を紹介してもらうこともできます。

就労移行支援事業所を利用する

就労移行支援事業所とは、強迫性障害(強迫症)をはじめとする精神疾患や障害のある方が、事業所に通いながら、一般企業で長く安心して働くために必要な知識やスキル向上を目指すサポートを受けることができる場所です。

 

就職活動に必要なさまざま支援(職業訓練・面接指導や履歴書添削など)を受けることができます。

 

LITALICOワークスは、障害のある方の「働きたい」という気持ちにこたえるため、一人ひとりの状態や特性を理解し、その人にあった目標やペースで、就職までの道のりをサポート

する就労移行支援事業所です。

 

さまざまな障害や疾患について理解のあるスタッフが、長く安心して働くために必要な知識の習得やスキル向上のサポートを提供しています。

 

退職後に一時的な療養を経て社会復帰を目指す方や詳細を知りたい方は、お気軽にご相談ください。

強迫性障害(強迫症)のまとめ

強迫行為の原因の一つであると考えられるストレスや不安を、日常生活で感じるのはごく当たり前のことです。

 

強迫観念や強迫行為といった症状により困難や苦痛を感じている方は、無理せず専門医による診察・相談を受けてみましょう。

 

また、強迫性障害(強迫症)の治療も大切ですが、強迫性障害(強迫症)と上手に付き合いながら、症状の悪化や再発を予防することも大切です。

障害のある方の就職サポート機関

障害があって働くことにお悩みの方への支援として「就労移行支援」があります。

 

LITALICOワークスでは全国に就労移行支援事業所を展開し、就職のためのサポートをおこなっています。

就職でお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

更新日:2024/06/29 公開日:2022/10/05
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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