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自立支援医療制度とは?受給者証の申請・更新、払い戻しや対象をわかりやすく解説

更新日:2022/06/29

障害の治療にかかる医療費が気になる方も多いのではないでしょうか。そんなときは自立支援医療制度を利用することで、医療費の自己負担を抑えることができます。
この記事では自立支援医療制度の中でも「精神通院医療」という、精神障害にかかる医療費の制度を中心に、対象疾患、発達障害も対象となるのか、受給者証について、またメリット・デメリットはあるのかを解説していきます。

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度とは、障害の治療にかかる医療費の自己負担を少なくする制度です。通常の医療費が原則3割負担なのに対して、自立支援医療制度を利用すると原則1割負担となります。

 

自立支援医療制度には「精神通院医療(精神疾患のある方)」「更生医療(身体障害のある方)」「育成医療(身体障害のある子ども)」の3種類があります。以下にそれぞれ説明します。

自立支援医療制度の「精神通院医療」

精神通院医療は、統合失調症などの精神疾患のある方で、通院による継続的な治療が必要な方が申請・利用できるものとなっています。

ただし、制度の対象になる医療の範囲は「通院での診察、精神薬の処方、デイケア、訪問看護」などで、「入院」は対象外です。実施主体は都道府県や指定都市になります。

精神障害の治療は長期にわたることが多く、自立支援医療を利用する場合としない場合では、医療費の自己負担に大きな違いが出てきます。制度を理解し活用していきましょう。

自立支援医療制度の「更生医療」

更生医療は、身体障害者手帳が交付されている身体障害のある方(18歳以上)で、その障害に伴う症状を軽減する手術など治療により改善が見込まれる方が申請・利用できます。実施主体は市区町村になります。

自立支援医療制度の「育成医療」

育成医療は、身体障害のある児童(18歳未満)で、その障害に伴う症状を軽減する手術などの治療により改善が見込まれる児童に対して申請・利用できる制度です。実施主体は市区町村になります。

自立支援医療制度の自己負担額は?

自立支援医療制度の月額負担上限額は?

自立支援医療制度では通院治療などの医療費が原則1割負担となりますが、世帯所得や障害の程度によって月ごとの負担上限額が決まっています。該当する月額上限負担額を超えた分の金額は公費でまかなわれるため、利用者が負担することがありません。詳細を以下の表と図にまとめました。

自立支援医療の負担上限額

例えば世帯所得が「中間所得1」で、障害の程度が「重度かつ継続」に該当する方が支払う医療費は「月額5,000円」までとなります。
※「重度かつ継続」は高額な治療を長い期間継続しなければならない場合に該当します。

 

  • 生活保護を受給している世帯
    月額の負担は0円/「重度かつ継続」に該当する場合も0円
  • 低所得1(市町村民税が非課税の世帯で、本人の所得が80万円以下の場合)
    月額の負担上限は2,500円/「重度かつ継続」に該当する場合も2,500円
  • 低所得2(市町村民税が非課税の世帯で、本人の所得が80万円を超える場合)
    月額の負担上限は5,000円/「重度かつ継続」に該当する場合も5,000円
  • 中間所得1(市町村民税が3万3,000円未満の世帯)
    月額の負担上限は医療保険の自己負担上限額または高額療養費制度 の限度額が適用/「重度かつ継続」に該当する場合は5,000円
  • 中間所得2(市町村民税が3万3,000円~23万5,000円未満の世帯)
    月額の負担上限は医療保険の自己負担上限額または高額療養費制度の限度額が適用/「重度かつ継続」に該当する場合は10,000円
  • 一定所得以上(市町村民税が23万5,000円以上の世帯)
    月額の負担上限は対象外となり適用されない/「重度かつ継続」に該当する場合は20,000円

自立支援医療の適用外となる医療費は?

自立支援医療は通院での診察、精神薬の処方、デイケア、訪問看護などにかかる医療費に適用されます。

次のような医療は対象外となりますので注意が必要です。

  • 入院医療の費用
  • 公的医療保険が対象とならない治療費
    (例:病院や診療所以外でのカウンセリングなど)
  • 精神障害と関係のない疾患の医療費

指定自立支援医療機関とは

自立支援医療は「指定自立支援医療機関」と呼ばれる、都道府県または政令指定都市によって定められた医療機関でのみ利用することができます。ここでの医療機関とは病院、診療所、薬局、訪問看護ステーションなどを指します。

申請する際はあらかじめ現在通院している医療機関が指定自立支援医療機関に該当するか確認しておきましょう。確認する際は通院している医療機関または市区町村の障害福祉課などの窓口へお問い合わせください。

自立支援医療制度の「精神通院医療」の対象について

自立支援医療制度の精神通院医療は通院での診察、精神薬の処方、デイケア、訪問看護などの費用が原則1割負担となります。対象となる障害や負担上限額などを紹介していきます。

精神通院医療の対象疾患

精神通院医療の対象疾患は以下のようになります。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)などのストレス関連障
  • パニック障害などの不安障害知的障害、心理的発達の障害
  • アルツハイマー病型認知症、血管性、認知症、てんかん など

自立支援医療制度の適用は、これらの疾患について主治医が「精神医療を長期継続する必要がある」と判断した場合に限られます。

また、これらの疾患でなくても主治医が自立支援医療の適用と判断し、都道府県や指定都市が認めれば申請・利用することが可能になる場合もあります。

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ADHDなどの発達障害も対象となる?

自立支援医療制度の精神通院医療では、ADHDを含む発達障害のある方も対象となっています。

精神通院医療という名称ですが、発達障害のある方も申請方法や負担割合など他の対象疾患と変わりません。

自立支援医療制度の申請方法は?

 

自立支援医療制度の申請手続き

自立支援医療の申請はお住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口へ、以下の書類を揃えて行います。自治体によってそのほかの書類などが必要な場合がありますので、申請前に一度窓口へ詳細を確認しましょう。

自立支援医療制度の申請に必要な書類

自立支援医療制度を申請する際に必要となるのは以下の書類です。自治体によって異なることがありますので、詳しくはお住まいの自治体の障害福祉課などの窓口へお問い合わせください。

  • 申請書(自立支援医療支給認定申請書)
  • 医師の診断書(自立支援医療申請用)
  • 健康保険証
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 世帯の所得が確認できるもの(課税・非課税証明書など)

自立支援医療受給者証の交付

書類がそろったあとは以下のように申請手続きを進めていきます。

  • 主治医に自立支援医療(精神通院医療)の適用について相談する
  • 主治医から申請の許可が出たら所定の申請書に記入してもらう
  • 各都道府県または指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」の中から通院する医療機関を指定する
  • 市区町村担当窓口で必要な書類一式を提出し、申請する
  • 申請が認められたら、「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が送付される
  • あらかじめ指定した医療機関で「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を提示することで自立支援医療の適用となる

申請が認められると「自立支援医療受給者証」「自己負担上限額管理票」が交付されます。この受給者証と上限額管理票を診察の際などに医療機関へ提示することで、自立支援医療を利用することができます。

自立支援医療受給者証と上限額管理票がそろうまで

自立支援医療受給者証が届くまでは1~2ヶ月かかることがあります。
その間は申請後にもらえる「申請書の控え」など(市区町村により違いがあります)を提出することで、自立支援医療が適用される場合があります。ただし扱いは医療機関によって異なります。

申請書の控えの提出では適用されない場合は、受給者証が届いた後で払い戻しの手続きをする必要があります。

自立支援医療の払い戻しの手続きについて

自立支援医療受給者証が届くまでの間に、申請書の控えがあっても自立支援医療が適用されなかった場合は、申請日から受給者証が届くまでの間に支払った医療費のうち、自立支援医療を利用した場合の自己負担額との差額の払い戻しを受けることができます。

払い戻しの手続きには以下の書類が必要になります。

  • 自立支援医療受給者証
  • 自己負担上限額管理票
  • 医療費を3割負担で支払った際の領収証(原本)

※医療機関などにより違いがあります。払い戻しが受けれない場合などは市区町村の窓口へご相談ください。

自立支援医療受給者証の更新方法は?

自立支援医療受給者証の期限は1年以内です。継続するためには毎回更新の手続きが必要です。以下の書類をもって、市区町村の障害福祉課などの窓口へ申請します。手続きは受給者証の期限の3ヶ月前から行うことができます。

  • 申請書(自立支援医療支給認定申請書)
  • 主治医の診断書(自立支援医療申請用)
  • 自立支援医療受給者証
  • 健康保険証
  • マイナンバーが確認できるもの

診断書の提出は障害の程度に大きな変化がない場合は、2回に1回の提出となる場合があります。また、受給者証の有効期限が切れた場合は更新ではなく「再交付」の手続きが必要となります。どちらも詳細は申請した市区町村の障害福祉課などの窓口へご確認ください。

自立支援医療制度のメリット・デメリットはある?

自立支援医療制度のメリット

自立支援医療制度を利用することのメリットとしては、これまで書いてきたように医療費の負担が軽くなることです。
治療は長くかかることが多いため、医療費が3割から1割に変わることは経済的なメリットといえるでしょう。

対してデメリットはあるのでしょうか?
人によっては「会社にばれてしまうのでは…」と不安を感じる方もいますが、基本的には自分から伝えない限り勤務先など他者に自立支援医療を利用していることが伝わることはありません。

ただし制度の複雑さや申請・更新の手続きが必要なところは、デメリットと言えるかもしれません。要点を抑えて活用しましょう。

自立支援医療制度のデメリットはある?

毎回書類を提示する必要がある

  • 通院などのたびに「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を病院や薬局へ提出する必要があります。
    忘れた場合は公的医療保険が適用され、原則3割負担となります。後日の払い戻しができるかなどは医療機関によって扱いが異なりますので、支払いをした医療機関へお問い合わせください。

原則的に特定の医療機関でしか使えない

制度が利用できるのは指定自立支援医療機関のみになります。
さらに申請の際に指定自立支援医療機関の中から自分が利用する医療機関や薬局を選択します。
原則的にこのときに選択した医療機関以外では利用できませんので注意が必要です。

自立支援医療受給者証の更新が必要

継続して利用するためには毎回更新の手続きを行う必要があります。受給者証の有効期限は1年以内で受給者証に記載されています。期限の切れる3ヶ月前から更新手続きが可能となります。更新手続きも1~2ヶ月の時間がかかるため、診断書が必要な場合は早めに主治医に依頼するなど準備をしておきましょう。
※新型コロナウイルスの影響などで、診断書の取得ができない場合などは市区町村の窓口へご相談ください。

自立支援医療制度のまとめ

自立支援医療制度は複雑ですが、制度を理解すれば長期にわたる治療にかかる医療費を軽減できるメリットがあります。

発症した際はまず療養することが大事です。自立支援医療は療養中の精神的、経済的な助けとなる制度といえます。

 

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参考図書・URL

更新日:2022/06/29 公開日:2021/09/27
  • 監修者

    社会保険労務士 行政書士

    高橋 悠

    行政書士事務所にて約8年間、介護・障害福祉サービス事業所の立ち上げ・運営支援に携わった後、2016年10月に独立開業。顧問先のうち7割以上は介護・障害福祉サービス事業所介護・障害福祉サービス事業所であり、別会社「合同会社サニープレイス」にて小規模保育所B型及び企業主導型保育所を経営している。

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