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不安障害とは?種類ごとの症状や診断基準・治療方法について解説

更新日:2023/01/25

「不安障害」とは、強い不安感や恐怖心によって、生活に支障がでている状態をまとめて表す呼び方のことです。

 

いくつかの種類に分かれており、人によって症状の現れ方はさまざまです。

 

例えば、「人前でスピーチをしようとすると、体が震えて話せなくなる」といった症状が挙げられます。

 

不安障害は、決して本人の努力不足や甘え、性格によって引き起こされるものではありません。

 

今回は不安障害の症状や診断基準、治療方法についてわかりやすく解説します。

不安障害とは

まずは、不安障害がどのような障害なのか解説します。

「不安」とは?

もともと人間が不安を感じることは、おかしなことではありません。

 

不安を感じる事で、危機に備えて準備したり、危険を回避したりすることができます。

 

つまり、大勢の人の前で話さなくてはいけない会議の前や、大切な試験の前に緊張するのはごく自然なことといえるでしょう。

 

また、人によっては環境が変わる前や、初めての場所に行く際に不安になることもありますが、これらも人間に元々備わっている自然な反応です。

 

上記のことからも「不安を感じる=必ずしも不安障害である」とは言い切れないことがわかります。

不安や恐怖心を強く感じる場合

もしも、不安や恐怖心によって、仕事のパフォーマンス(能力)が落ちていたり、人間関係に悪い影響を与えていたりする場合は不安障害の可能性があります。

 

「人と比べて、不安を強く感じすぎていないか?」というところも判断するポイントのひとつです。

 

また、不安障害はいくつかの種類にわかれています。

 

それぞれの不安障害にどのような症状があるのか、次の項目でご紹介します。

 

自身にあてはまる項目がないか、チェックしてみましょう。

不安障害の種類ごとの症状

不安障害は主なものとして「全般性不安障害」「社会不安障害」「パニック障害」「限局性恐怖症」などが挙げられ、種類によってそれぞれ症状が異なります。

 

不安障害の症状について、種類(分類)ごとに解説します。

全般性不安障害

全般性不安障害は、職場や日常のさまざまな場面で不安を感じる症状が現れます。

 

また、会社や家庭のことだけでなく、例えば、自然災害や紛争など、自分に直接関係すること以外も含めて、あらゆるものが不安の原因となることがあります。

 

具体的な症状の例は下記の通りです。

 

  • 小さなことで不安な気持ちになる
  • そわそわとする
  • 疲れやすい
  • 便秘や頻尿になる
  • 集中力が悪くなる
  • イライラとしてしまう
  • ネガティブな気分になる
  • 夜中に目が覚めてしまう など

 

このように、精神面だけでなく、身体的な症状も現れるため、日常生活に支障が生じることがあります。

社会不安障害

社会不安障害は社交不安障害とも呼ばれます。

 

人から注目を浴びることや、誰かの前で恥ずかしい思いをすることに対して必要以上に恐怖や不安を感じます。

 

そのため、人との会話が怖いだけでなく、人がたくさんいる場所にいること自体が辛くなるケースもあります。

 

例えば、周りに沢山の人がいるときに、下記の症状が現れることがあります。

 

  • 頭が真っ白になる
  • 声が出なくなってしまう
  • 思った通りに話ができない
  • 胃のむかつきや吐き気がある
  • 顔が赤くなる
  • 手足や声が震える
  • 冷汗が出る など

 

また、上に挙げた症状が繰り返し現れることで、目立つことを避けたり、電話にでなくなったり、学校や職場へ行けなくなったりする可能性が考えられます。

パニック障害

パニック障害とは突然理由もなく、動機やめまい、手足の震えなどのパニック発作が現れて、日常生活や社会生活に困難が出ている状態のことをいいます。

 

パニック発作としては以下のようなものがあります

  • 動悸
  • めまい
  • 発汗
  • 窒息感
  • 吐き気
  • 手足の震え

 

パニック障害ではパニック発作以外にも「予期不安」や「広場恐怖」が現れることがあります。

 

予期不安とはパニック発作を繰り返すことで、「また発作が起きるのではないか」「次はもっと強いのではないか」といった不安が強くなっている状態のことです。

 

広場恐怖とは特定の場所に行くことに不安や恐怖を覚えて、その場所に行くことが困難になる状態のことです。場所は「広場」に限定されているわけではなく、例えば電車の中でパニック発作が起きたことがきっかけで電車に乗ることに恐怖を感じて避けるようになった場合は、「電車」に対して広場恐怖を抱いているということになります。

 

パニック障害の治療では、薬物治療とともに心理療法が行われることが多くあります。その中でも認知行動療法の「暴露療法」などで治療を行っていきます。

限局性恐怖症

恐怖症があると、あるものごとに対して、必要以上に恐怖心を感じることがあります。

 

実際には危険ではないとわかりながらも、自分で恐怖や不安をコントロールすることができません。

 

恐怖の対象となるものは人によってさまざまです。

 

  • 高いところ
  • 狭いところ
  • 尖ったもの
  • 動物や昆虫
  • 血液
  • 水場などの自然 など

 

また、恐怖症は過去の出来事がきっかけとなり、発症するケースも見られます。

 

例えば「犬に噛みつかれた経験から犬が怖くなる」などです。

 

恐怖を感じるものごとや状況によっては、あらかじめ避けて生活することが可能です。

 

しかし、恐怖心を感じることで、生活に影響が出たり、仕事に支障をきたしたりするケースもゼロではありません。

 

このような場合、限局性恐怖症と診断されるケースがあります。

自分で不安障害の症状をチェックできる?

インターネット上には、不安障害の症状をチェックできるサイトがあります。

 

ただし、これらは不安障害の可能性を確かめるもので、正式な診断結果を表しているわけではありません。

 

そのため、自己チェックで判断せず、「不安障害かもしれない」と思った場合は、必ず専門医による診断を受けましょう。

不安障害の診断基準

不安障害の診断基準についてアメリカ精神医学会によって出版された「DMS-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」を基準にしてご紹介します。

 

「DMS-5」には、世界共通で使用されている精神疾患の診断基準が書かれています。

全般性不安障害の診断基準

まずは、全般性不安障害の診断基準についてご紹介します。

 

  • 学校や仕事などについて、過剰な不安や心配が6ヶ月以上続いている
  • 不安をコントロールすることができない
  • 不安や心配、身体に出ている症状が、臨床的に意味のある苦痛、もしくは社会的、職業的、他の重要な状況において障害を引き起こしている。
  • 薬物乱用や医薬品、他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない
  • うつ病や統合失調症などの他の精神疾患では説明がつかない
  •  下記の症状のうち3項目以上があてはまる(子どもの場合は1項目以上)
    • 落ち着きがない、緊張感、神経の高ぶり
    • 疲れやすい
    • 集中ができない・心が空白になる
    • 易怒性(怒りっぽい)
    • 筋肉の緊張
    • 睡眠障害(不眠症や過眠症など)

 

上記に該当する場合、全般性不安障害と診断されることがあります。

社会不安障害の診断基準

つづいて、社会不安障害の診断基準についてご説明します。

 

  • 他者の前で注目を浴びる状況に対する不安や恐怖がある
  • その人は、ある振る舞いをしたり、不安症状を見せたりすることが、否定的な評価につながることを恐れている
  • その社会的状況は、常に恐怖や不安を引き起こす
  • その社会的状況は回避、または強い不安や恐怖を感じながら耐えられている
  • 恐怖の対象や状況は、実際の危険性や社会文化的状況に釣り合わない
  • 恐怖や不安、もしくは回避は持続的で、典型的には6ヶ月以上続く
  • 恐怖や不安、もしくは回避は、臨床的に意味のある苦痛や社会的、職業的、他の重要な状況において障害を引き起こしている
  • 物質(薬物乱用や医薬品など)、他の医学的疾患によるものではない
  • 他の精神疾患の症状ではうまく説明がつかない
  • 他の医学的疾患がある場合、その恐怖、不安、もしくは回避はあきらかに医学的疾患とは無関係である

 

上記の10項目を満たした場合、社会不安症と診断されることがあります。

パニック障害の診断基準

パニック障害の診断基準はパニック発作が生じていることと、パニック発作が起きる心配があるか、または発作を避けるような行動をとることが1ヶ月以上続いていることになります。

 

そしてパニック発作とは、突然激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こることをいいます。

 

  • 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震いまたは震え
  • 息切れ感または息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸部の不快感
  • 嘔気または腹部の不快感
  • めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
  • 寒気または熱感
  • 異常感覚(感覚麻痺または熱感)
  • 現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
  • 抑制力を失うまたはどうかなってしまうことに対する恐怖
  • 死ぬことに対する恐怖

限局性恐怖症の診断基準

限局性恐怖症の診断基準は下記の7項目です。

 

  • 特定の対象や状況に対しての顕著な恐怖や不安がある
  • 恐怖の対象や状況がほぼいつも、即時、不安や恐怖を引き起こす
  • 恐怖の対象や状況は回避されるか、強い不安や恐怖を感じながら耐えられている
  • 恐怖の対象や状況は、実際の危険性や社会文化的状況に釣り合わない
  • 恐怖や不安、もしくは回避は持続的であり、典型的には6ヶ月以上続く
  • 恐怖や不安、もしくは回避は、臨床的に意味のある苦痛や社会的、職業的、他の重要な状況において障害を引き起こしている
  • その障害は社会不安症などの他の精神疾患の症状ではうまく説明がつかない

 

あるものごとや状況に対して強い恐怖があったとしても、日常生活や社会生活に影響が出ていない場合、恐怖症と診断されることはありません。

不安障害の治療方法

不安障害の治療方法は、不安障害を根本的にとりのぞくというものではありません。

 

日々の生活へ支障をきたす症状を和らげる目的で行われます。

 

治療方法は大きく、薬物療法と精神療法のふたつに分かれています。

薬物療法

不安障害の発症には、うつ病と同じく「セロトニン(脳内の神経伝達物質)」が、影響していると言われています。

 

そのため、薬物療法では抗うつ剤や抗不安剤が使われます。

精神療法

精神療法では、不安をコントロールする「認知行動療法」を行うことがあります。

 

認知行動療法とは、認知(ある出来事に対しての受け取り方や見方のこと)に働きかけて、バランスの良い考え方ができるようにしていく療法のことです。

 

より柔軟な思考ができるようになることで、ストレスや不安を和らげる効果に期待できます。

不安障害のある方が仕事を続ける上で大切なこと

この項目では、不安障害のある方が仕事をするうえで意識したいポイントをご紹介します。

気になることは医師へ相談する

かかりつけの医師に、日常生活や症状のことだけでなく「どのような仕事をしているのか?」や「職場の環境について」なども伝えておくことをおすすめします。

 

また「話を聞いてもらっている」という状況が、不安を減らすことへも繋がるため、気になることがあった場合は医師に相談してみると良いでしょう。

生活習慣を見直す

栄養バランスを考えた食事や十分な睡眠、適度な運動などは、体だけでなく心を整えるためにも大切な要素です。

 

とくに、生活リズムが乱れてしまうと、夜に眠れなくなったり、体調が悪くなったりする可能性があるため要注意です。

 

食事の時間や睡眠時間はなるべく一定に保つように心掛けましょう。

出勤時のストレスを減らす

電車やバスの人混みがストレスになる場合は、時差出勤や在宅勤務の制度を利用しましょう。

 

会社に上記のような制度がないときは、できる範囲で利用者が少ない電車やグリーン車などに乗ることで混雑を避ける方法もあります。

リラックス方法を見つけておく

少しでも「不安な状態になりそう」と感じたら、すぐにリラックス方法を実践しましょう。

 

例えば「深呼吸をする」「ストレッチをする」などが挙げられます。

 

とくに深い呼吸は、リラックスに影響する副交感神経の働きを良くする効果があるため、日常的に取り入れると良いでしょう。

 

上記のポイントを抑えながら仕事を続けている方でも、その症状によっては「仕事が辛い」と感じることがあります。

 

そういった場合は、かかりつけの医師に相談して、休職や退職も合わせて検討しましょう。

就職や職場復帰の際は専門機関の支援の利用を検討する

仕事が辛く退職を検討しているものの「復職できるか不安」と感じることもあるはずです。

 

そのようなときは、ハローワークや就労支援事業所などの支援機関を利用しましょう。

 

まず、ハローワークには障害や疾患がある方をサポートする窓口(専門援助部門)があります。

 

また、就労支援事業所(一般企業への就職を目指す障害や疾患がある方の支援を行う機関)を活用することもできます。

 

ただし、受けられる支援は施設によってさまざまです。

 

そのため、自身の悩みや症状に合わせて選ぶ必要があります。

 

例えば、「LITALICOワークス」では、職場体験実習や就労後のフォローなどを通して、働きたい方をサポートしています。

 

働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。

 

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不安障害のまとめ

不安障害は、誰にでも起こり得る可能性があるものです。

 

そのため、もしも強い恐怖や不安感が生活に支障をきたしている場合は我慢や自己判断のみに頼らずに、医療機関へ相談することが大切です。

 

また、不安障害は薬や精神療法で症状を和らげることもできるため、症状と付き合いながら仕事を続けている方もいます。

 

かかりつけの医師や、可能であれば職場の上司や同僚と相談し、なるべく心身への負担を減らしながら仕事を続けることが大切です。

 

就労移行支援であなたの働くをサポート

LITALICOワークスでは、全国で不安障害のある方の就職と定着の支援を行ってまいりました。

 

不安障害があり、働くことにお悩みのある方は「就労移行支援」を活用することで、自分らしくそして安心して長く働くことができるかもしれません。

 

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参考文献・URL

更新日:2023/01/25 公開日:2022/02/07
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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